自分はたばこを吸わないのに夫が吸う女性は、夫も吸わない女性と比べ肺腺がんになる危険性が約2倍高まるとの疫学調査結果を、厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)が12日、発表した。夫の1日の喫煙量が20本以上だと、リスクがさらに高まるという。

同センターの最新の推計値によると、平成13年に肺がんを発症した女性は2万1000人あまり。別の調査では、肺がんの女性の約70%は非喫煙者とのデータもある。調査をまとめた倉橋典絵・国立がんセンター予防研究部研究員は「分煙を進め、他人のたばこの煙を避けることが重要だ」と話している。

調査は岩手、秋田など全国8県の40〜69歳のたばこを吸わない女性約2万8000人が対象。平均13年間の追跡調査で109人が肺がんと診断された。

このうち肺腺がんだったのは82人で、さらに夫が喫煙者、もしくは以前喫煙者だった女性は67人。統計学的な計算によると、30人は受動喫煙がなければ肺腺がんにならずに済んだはずだという。肺がんには最も発生頻度の高い腺がんを含め4種類あるが、肺がん全体でも、受動喫煙でリスクが高まる傾向があったという。
(夫の喫煙で肺がん危険性2倍 吸わない女性を追跡調査)


喫煙はなぜ害とされているかというと、
1)依存症
動物実験などの知見から、ニコチンは明らかな依存性を持つことが知られています。ニコチンは、神経伝達物質であるアセチルコリンに分子構造が類似し、ニコチン性アセチルコリン受容体(レセプターとも)に作用することで、中枢神経のドパミン神経系、特に脳内報酬系を活性化します。

そのため、摂取後に一時的に快の感覚や覚醒作用を得られるそうです。ちなみに、このような報酬系を介した薬理作用は、覚醒剤など依存性を有する他の薬物と共通です。

ニコチン摂取を続けると、ニコチン受容体がダウンレギュレーション(受容体の数が減ること)を起こし、ニコチンを外部から摂取しないと神経伝達が低下した状態となります。これがニコチン離脱症状であり、自覚的にはニコチンへの渇望が生じます。喫煙に対して依存性を示す者は「喫煙でリラックスできる」と表現するが、実際は離脱症状を喫煙によって一時的に緩和しているに過ぎません。
2)発ガン性
喫煙によって罹患率が増加することが示されている癌として、肺がん、喉頭がん、咽頭がん、食道がん、膀胱がんなどがあります。

ヒトの身体を構成する細胞は、分裂・増殖を繰り返しています。がんは、細胞分裂の際、特定の遺伝子のコピーにミスが起こることで生じます。喫煙の際には、煙によって気道や肺の炎症・破壊が生じ、修復のために細胞の増殖が促進されます。また、タバコの煙に含まれる物質は遺伝子毒性を持つことが実験的に示されています。このように、細胞分裂が活発に行われ、しかも遺伝子のコピーミスが生じやすい環境におかれることで癌が発生しやすくなると考えられています。
3)呼吸器疾患・循環器疾患
喫煙により慢性気管支炎、肺気腫(これらの2つの疾患のことをCOPDとも言う)などが生じます。軽度のものを含めると、習慣的喫煙者のほぼ100%に気腫性変化が生じます。

タバコの煙に含まれる活性酸素は、血管内皮細胞を障害することが知られています。そのため、動脈硬化が促進され、狭心症、心筋梗塞、脳血栓 、脳塞栓、動脈硬化、動脈瘤、閉塞性血栓性血管炎(バージャー病)などのリスクが増加することが統計的に示されています。

他にも、妊娠中の影響や免疫低下・感染症、歯周病などのリスクがあります。
さらに、受動喫煙は以下のようなリスクがあります。
受動喫煙とは、喫煙をする人の周囲の人が、その煙を自分の意思とは無関係ににたばこの煙に暴露され、それを吸引させられることです。問題としては、喫煙者以外の者が当人の意思に関わりなく環境たばこの煙を吸わされてしまうことで、健康被害が出てしまう点です。

受動喫煙によって、主に急性影響によって咳やくしゃみ、眼のかゆみなどを生じることがあります。慢性影響等により、がん、心臓疾患及び呼吸器系疾患などの様々な疾病の危険が高まることも指摘されています。

上記の通り、夫が吸う女性は、夫も吸わない女性と比べ肺腺がんになる危険性が約2倍高まるとの疫学調査結果があり、さらに、喫煙量が20本以上だと、リスクがさらに高まるとのことです。

さらに、大阪府の小児科医の調査での結果によれば、児患者の母親167人に喫煙歴などをアンケートしたところ、喫煙経験は47%にあり、妊娠時にも35%が喫煙していたそうです。特に出産時の年齢が20〜24歳の母親では、喫煙率が88%にのぼったそうです。

パートナーだけでなく、子供のためにも、しっかりと禁煙をすることが勧められます。

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