政府の経済財政諮問会議は14日、保険診療と自己負担となる保険外診療の併用を認める混合診療の解禁について、平成16年の基本的合意に基づき、部分的に認める範囲を拡大する形で設置された現行の「保険外併用療養費制度」を、より実効性を上げるよう修正していくことで一致した。規制改革会議が求めていた全面解禁については、原則自由とした上で条件を付けるか、条件を付ける形で解禁していくのかで意見が分かれ、当面、見送られる方向となった。
 
福田康夫首相は「混合診療は、患者の立場にたってどうするかという視点も大事にして、16年の基本的合意をしっかり実現させてほしい」と指示した。修正の具体策としては、混合診療拡大の阻害要因として指摘されてきた、薬事法で未承認の医療機器や医薬品を使用した医療技術を混合診療として認めないとした厚生労働省の課長通達を見直す。通達が廃止されることで、今年度限りで混合診療の適用が終了する高度先進医療などが、一定ルール下で来年度以降も認められることになる。

また、海外で承認された薬が日本で承認されるまで平均4年程度かかっていることから、審査体制を充実させて、23年度までに米国並みの1年半程度に短縮する。近く舛添要一厚生労働相と岸田文雄規制改革担当相が、見直しスケジュールについての調整を図り、規制改革会議の第2次答申に反映させる。

混合診療をめぐっては、厚労省は16年の厚労相と規制改革担当相との基本的合意に基づき、それまでの制度を拡充する形で保険外併用療養費制度を新設し、先進医療や制限回数を超える医療などを拡大してきた。
(混合診療の全面解禁は見送り 現行制度の実効性アップへ 諮問会議)


混合診療とは、日本の医療における保険診療に保険外診療(自由診療)を併用することを指します。保険診療において保険外診療(自由診療)を併用することは原則として禁止されていますが、禁止する明文化された規定は存在しません。

通常であれば、健康保険(政府管掌健康保険、組合管掌健康保険、国民健康保険)が適用される診療内容にそれ以外の保険外診療が加わった場合、保険外診療分に加えて本来健康保険からの給付対象分を含めた医療費支払いの"全額"が患者の自己負担となります。そのため、高度で先進的な医療を受けたいと思っていても、全額負担となると実際に受けるのは難しい、という現状があります。

この問題は、腎臓癌の男性が、保険適用対象のインターフェロン治療に加えて、保険が適用されない「活性化自己リンパ球移入療法」を併用したため、インターフェロン治療についても全額負担すべきだとされたことに端を発しています。

混合診療の問題は、2007年11月09日に、その保険適用を求めて起こしたこの訴訟の判決によって、クローズアップされました。東京地裁において、定塚誠裁判長は「保険が適用されない法的な根拠はない」と述べ、男性の請求を認めています。このように、混合診療の保険適用を容認する司法判断は初めてでした。

混合診療の保険適用をめぐっては、以下のような問題が起こっています。
一部の患者が求める一方、厚生労働省や日本医師会は反対しています。この件を受けて、舛添要一厚生労働相は、全額自己負担とした国の法的判断(地裁判決)は誤りとして、医療保険の一部適用を認めた東京地裁判決について「(混合診療の)基本的な原則は曲げない」と述べ、控訴する方針を明らかにしています。

未承認薬や先端医療を公的医療保険の適用対象と認めない理由については、「有効性、安全性で新薬承認をする。薬害が起きてはいけない(つまり、問題が起こる可能性もあるから、自己責任で受けてくれ、ということのようです)」とのことで、混合診療を認めない方針としているようです。また、高度先進医療も保険適応とすると、財政的な問題も生じてくる可能性もあると考えられるのではないでしょうか。

今後は、部分的に認める範囲を拡大する形で設置された現行の「保険外併用療養費制度」を、より実効性を上げるよう修正していくことで決定したようです。全面的には難しいと思われますが、このように範囲を拡大することならば現実性が高いと考えられます。この改革によって、さらに良質な医療を受けられることが期待されます。

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