乳幼児を中心に発熱、発疹などの症状が出て、心臓に冠動脈瘤ができて重症になる場合がある「川崎病」の発症にかかわる遺伝子を見つけたと、理化学研究所などの日米共同チームが16日、米科学誌ネイチャージェネティクス電子版に発表した。

川崎病の症状は、過剰な免疫反応によるとみられるが原因は不明。関連遺伝子が見つかったのは初といい、病気の解明や重症化の予防につながるのではないかという。
 
チームは、日米の川崎病の患者約640人と健康な人約1000人の遺伝子を調べた。「ITPKC」という遺伝子に塩基配列のうち1つが異なる「多型」があり、特定の型の人は、そうでない人の約1.9倍川崎病になりやすいことを見つけた。
 
ITPKCが作るタンパク質は免疫細胞の活性を抑えるとみられる。研究チームは、特定の型が原因でこのタンパク質が少なくなり、過剰な免疫反応が起きて川崎病の発症や重症化につながるとみている。
 
同研究所の尾内善広上級研究員は「複数あるとみられる遺伝要因のうちの一つで、治療法開発の第一歩になるだろう」と話している。
(川崎病の関連遺伝子を発見 理研)


川崎病は、患者数が増加を続け、平成17、18年には2年連続で1万人を超えたことが中村好一・自治医科大教授らの全国調査で分かっています。過去に全国規模の流行があったのは昭和54、57、61年の3回で、患者が1万人を突破したのは57年(1万5,519人)と61年(1万2,847人)だけです。3回目の流行後はしばらく落ち着いていましたが、10年ほど前に上昇に転じ、ここ数年は増加ぶりが目立っています。

患者数は17年が1万41人、18年が1万434人と初めて2年連続で1万人を突破しました。少子化にもかかわらず患者数が増えているため、0〜4歳児(川崎病は4歳以下に多い)の10万人あたりの罹患率は急上昇しています。

別名「小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群」とも呼ばれます。この別名の通り、主要症状は以下のようなものがあります。
5日以上続く原因不明の発熱(ただし治療により5日未満で解熱した場合も含む)
⇔沼Υ禝綏詼譴僚七
四肢の末端が赤くなったり堅く腫れる(手足の硬性浮腫、膜様落屑)
と乕罎良堋蠏身疹
ジ唇が赤く爛れる、いちご舌、口腔咽頭粘膜のびまん性発赤
μ議棒の非化膿性頸部リンパ節腫脹

以上6つの主要症状のうち、5つ以上を満たすものを本症と診断します。
ただ、上記の診断基準に合致しなくとも、経過中に断層心エコーもしくは心血管造影法で冠動脈瘤が確認され,他の疾患が除外されれば本症とする場合もあります。

日本をはじめとするアジア諸国に多く、欧米では少ないという特徴があります。男女比は、1.3〜1.5:1でやや男児に多くなっています。発症年齢は4歳以下が80%以上を占め、特に6ヶ月〜1歳に多いとされています。

原因は上記の通り不明です。ただ、冬に多く地域流行性があることから何らかの感染が引き金となって起こる可能性が示唆されています。

治療としては、以下のようなものを行います。
根治療法は存在せず、急性期治療の目的は、炎症反応の抑制・血栓形成予防・冠動脈瘤予防です。そのため、免疫グロブリン(γ-グロブリンの大量投与)とアスピリンを併用するのが通常です。この併用療法により、48時間以内に解熱しない、または2週間以内に再燃が見られる場合を「不応例」としています。

「不応例」には、免疫グロブリンの再投与を行うか、ステロイドパルス療法が有用な例も報告されています。また、冠動脈が拡張を来していないか、心エコーによりフォローする必要があります。

上記の通り、国内ではかなり多い疾患ですが、原因などは不明でした。治療法の開発などで、致死率は劇的に低下したものの、冠動脈瘤などが生じて後遺症を残してしまうこともあり、原因の解明が急がれていました。疫学的データなどから、川崎病には、感染症が何らかの形でかかわっていると指摘され、日本人や日系人に多いことから遺伝的要素も関係するとみられていました。

今回の研究により、ITPKCの遺伝子多型によって起こりやすい、ということが分かってきたそうです。今後はさらに踏み込んで、どのような因子が重なると起こりやすいのか、といった解明がなされれば、予防や治療に役立てることができそうです。

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