大衆薬(OTC)大手が、美容の効能をうたった商品に力を入れ始めた。薬事法の改正によって2009年からコンビニエンスストアなどで「医薬品」の販売が解禁されるため、美容関連商品の潜在需要を喚起できる可能性が高まるためだ。人口減を背景に大衆薬の国内市場が縮小するなか、今回の販売制度の見直しを機に、「美容」や「予防」を切り口に新規ユーザーの開拓に乗り出す。

大衆薬最大手の大正製薬は17日、美容液「リビタQ10ブライトニングエッセンス」(30ミリリットル、4800円)を20日から、全国のドラッグストアなどで販売すると発表した。華やかなブランドイメージを強みとする化粧品メーカーとの違いを強調し、初年度1億円の売り上げを目指す。

大正製薬は、健康食品などの「リビタ」ブランドから昨年10月に化粧品も発売。軟膏技術を応用したクリームなどを手がけてきた。今回、東京理科大と共同開発した美肌の技術「リポダイヤ」を生かし、美容液にまで手を広げることにした。

エスエス製薬は二日酔い薬として販売してきた「ハイチオールC」を、肝臓への働きかけで肌のしみ、そばかすを治療するとの切り口でリニューアル。“美白ブーム”に乗り、年間売り上げ20億円程度から、02年のピークで85億円(2002年)のヒット商品を生み出した実績がある。これをうけて今年11月には、リニューアルした東京駅八重洲口の大丸東京店の2階化粧品売り場に、国内初の試みとして薬局を開設した。

一方、ロート製薬は来年1月に東京・麻布十番に美容皮膚科の「アオハルクリニック」を開院する。少子高齢化社会に向け、今秋に発表した「ウェルエイジング(よりよく年を重ねる生き方)」プロジェクトの第1弾だ。

美容分野でも予防の意識が広がることを見込み、開院に先立ち1億円を出資して医療法人財団を立ち上げた。処方する医薬品などで協力するほか、臨床現場のデータを研究開発に役立てる。

第一三共ヘルスケアも今年9月、しみ改善の医薬品「トランシーノ」を発売。先行するエスエス製薬は製品が競合することで「薬局にしみ専用コーナーが設置されるなど相乗効果を生み、全体の売り上げを伸ばした」と語る。
(大衆薬大手、皮膚科開業も? 「美容」「予防」で攻勢)


OTCとは、Over The Counter Drugの略で、直訳すれば「カウンター越しの医薬品」という意味です。一般用医薬品のことであり、患者あるいはその家族らが医師の診断によらず、自覚症状に基づいて自らの判断で使用することを目的として使われる医薬品のことを指します。

中でもスイッチOTC薬とは、医療用医薬品として用いられていた有効成分を一般用医薬品として使用できるようにスイッチ(転換)したものです。一般用医薬品として適切な医薬品かどうかについて審査が行われ、医療用医薬品の再審査または再評価が終了していることが必要となります。

最近では、このスイッチOTC薬が、以下のような理由で注目を集めています。
スイッチOTC薬は、効き目が高く、増え続ける医療費の削減にも効果のあるといわれています。そのため、厚生労働省が普及促進体制を強化しており、医薬品メーカー各社も縮小が続く大衆薬市場の起爆剤として開発に力を入れている状況があります。

医療用医薬品で実績をあげた痰の除去成分の「アンブロキソール塩酸塩」を日本で初めて大衆薬に配合した総合風邪薬「エスタックイブファイン」が、12月26日にエスエス製薬が発売する予定とのことです。初年度の売上高目標は30億円ということですから、力の入れようが分かります。

ですが、やはり元々は医師・薬剤師の指導のもとで使われるものですので、承認後の一定期間は、薬事法第29条に基づく厚生労働大臣の指定医薬品として、販売を薬剤師が管理する薬局・薬店に限定して市販後調査する必要があります。その後、広く販売されるようになります。

こうしたスイッチOTC薬の他、一般的なOTC薬としては、上記のように美容分野での隆盛がみられるようです。特に、しみやそばかすに困っている消費者をターゲットした「美肌」などは、TVCMでも知られていると思われます。アンチ・エイジングという言葉が流布したことも背景となり、医療における美容分野の役割も、今後は広くなってくるのではないでしょうか。

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