死因究明のための司法解剖などを行う大学医学部の法医学教室で、平均の医師数が13年前の平成6年に比べて4分の3となり、教室運営費も10年との比較で39%減少していることが25日、日本法医学会のアンケートで分かった。

大相撲時津風部屋力士の死亡で、愛知県警が解剖を行わなかったことが問題となったが、調査した徳島大の久保真一教授は「法医学教室は人も予算も削られている。日本の死因究明体制は他の先進国に比べて大きく出遅れており、早急な対策が必要だ」と話している。

調査は11月から12月にかけて実施し、80の法医学教室のうち61教室が回答。過去の調査データがある37教室の数字を比較した。非常勤職員や大学院生らを含めた教室の人員は、6年と比較して4.7人から4.0人に減少。医師数も2.6人から1.9人で、4分の3ほどになった。

平均の教室運営費は10年からの9年間で、392万円から240万円と39%減少。特に独立行政法人化した国立大22校に限ると、357万円から191万円とほぼ半減した。全61教室の中で医師が1人なのは16。医師がゼロで解剖ができない教室も4つあった。

一方、警察庁によると、昨年中に警察が扱った死体で解剖の実施は1万4042件。10年前の8年は9560件だったといい、法医学教室の負担が増大している実態がうかがえる。
(医師4分の3に減少 死因究明の法医学教室、お粗末な実態)


法医学とは「法律上の問題となる医学的事項を考察し、これに解決を与える医学」と定義されるそうです。一般的には、「犯罪検証上の応用や司法上の問題解決に応用される医学分野」であり、行政解剖、司法解剖、親子鑑定(別)、個人識別のような領域が専門分野などを扱うそうです。

一般に実務上で用いられる"検死"は、医師が死体を検分する作業を指すことが多く、検察官(または代行として司法警察員)が行う死体検分は"検視"と表記されることが多いそうです。ですので、上記の通り、刑事調査官はカッコ付けで『検視官』と表記されています。

警察にいわゆる「変死」したと思われる御遺体が運ばれてくると、検視官や監察医が事件性の有無などを判断します。そこで行われるのは「死体検案」といいます。こえは、検死によって得られた所見や患者の受診歴などを考慮して、死因、死因の種類、死亡時刻、異状死との鑑別を総合的に判断することを指します。

死体検案の結果、異状死でないと判断したら、医師は死体検案書を作成します。異状死の疑いがある場合は検視を行い、死因などが判断できない場合は解剖を行います。ここで法医学教室などの医師が解剖を行います(ですので、全ての御遺体が解剖に回される、というわけではありません)。

最近では上記にあるとおり、以下のような問題点が指摘されています。
大相撲時津風部屋でけいこ中に力士が急死した問題で、愛知県警が検視官の出動要請をせず、病死と判断したことについて大きくクローズアップされるようになりました。もちろん、この行政的な手続きの中で"複雑な関係性"があることも問題であると思われますが、その背景として、「法医学教室は人も予算も削られている」といったことがあると思われます。

「教室の人員は、6年と比較して4.7人から4.0人に減少。医師数も2.6人から1.9人で、4分の3ほどになった」といったことや「平均の教室運営費は10年からの9年間で、392万円から240万円と39%減少」といったことからも、明らかに法医学分野での先細りが見て取れます。

さらに、「ポストが少ない。学生にもおいそれと薦められる分野でない」といったことを読売新聞での取材で答えてらっしゃる先生もいらっしゃいました。たしかに、産婦人科医や小児科医の不足のように、社会的にすぐさま影響がみられることはないかもしれませんが、今後もこうした状況が進むことは、問題があると思われます。やはり、この分野の拡充や研究など、遅れを取り戻すことは必要不可欠であると思われます。

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