平成18年度に精神性疾患で病気休職した公立学校教職員は4675人で前年度より497人増加し、14年連続で過去最多を更新したことが28日、文部科学省のまとめで分かった。懲戒処分や訓告などの処分を受けた教職員も前年度比445人、10・9%増の4531人に上り、過去10年間で2番目に多かった。昨秋に発覚した未履修問題に絡む処分者が490人が全体の数を押し上げた格好だ。

同省が毎年行っている教職員の懲戒処分に関する調査で明らかになった。精神的疾患による病気休職は4連続で前年度比1割以上の伸びとなっており、病気休職者全体に占める割合も初めて6割を超えた。

文科省では「生徒、保護者、教員間での人間関係や、勤務の多忙化など複雑な要因が絡んでいるのではないか」としている。
(教員の「心の病」過去最多 公立校で4675人)


アメリカ薬物乱用・精神衛生管理庁(SAMHSA)の調査によると、チャイルドケアや在宅医療介助など、パーソナルサービスに従事する人が、各種職業の中でうつ病にかかる割合が最も高いことが分かったそうです。つまり、人と接することが多い(パーソナルサービスの)職種であると、うつ病を発症しやすいということを数字的には示しているようです。

具体的には、過去1年間に大うつ病エピソードを1つでも経験した人の割合は、パーソナルケアやパーソナルサービスに携わる人では10.8%、食品の調製や給仕に携わる人では10.3%となった、とのこと。一方、割合が最も低い職種分野は、建設・エンジニアリングや科学、取り付け・メンテナンス・修理などで、人と接することが比較的少ない職種のようです。

この研究からすれば、生徒や保護者、同僚などさまざまな人間関係と関わり合いをもたねばならない教師は、うつ病に罹患しやすいのではないか、と考えられます。他にも勤務の多忙化などが上記では示されています。

しかしながら、これは教師だけに限る問題ではなく、北海道大研究チームの調査で、小学4年〜中学1年の一般児童・生徒738人に、鬱病と躁鬱病の有病率が計4.2%に上ったことが判明しています。

一般企業においても、「大阪産業保健推進センター」が府内の企業468社について過去5年間の休職者の実態を調査したところ、精神疾患のため休職した労働者は、12年度は337人でしたが、16年度には約3.5倍の1190人に急増。従業員300人未満の中小企業(153企業)に限ると、12年度の22人から16年度は3倍の66人に増えていたそうです。

作家の五木寛之さんは、現代を「鬱の時代」と表していますが、これはバブル時代が過ぎた頃から、「行け行けドンドン」という躁の時代は終わりを告げ、次第に人々は鬱屈していったのではないか、と語っています。

上記のような数字を考えると、これも的はずれな意見ではないのではないか、と思えてきます。まさしく、「一億総鬱の時代」に突入してしまうのではないか、といった様相です。

うつ病とは、気分障害の一種であり、抑うつ気分や不安・焦燥、精神活動の低下、食欲低下、不眠などを特徴とする精神疾患です。あまり生活に支障をきたさないような軽症例から、自殺企図など生命に関わるような重症例まで存在します。うつ病を反復する症例では、20年間の経過観察で自殺率が10%程度とされています。

うつ病の主要症状としては、「抑うつ気分」と「興味・喜びの喪失」があります。「抑うつ気分」とは、気分の落ち込みや、何をしても晴れない嫌な気分や、空虚感・悲しさなどです。「興味・喜びの喪失」とは、以前まで楽しめていたことにも楽しみを見いだせず、感情が麻痺した状態です。

うつ病患者では、抑うつ感、不安、焦燥などのために自殺することを望んだり、実際に実行してしまうことがあります(希死念慮といいます)。抑うつ感などによる苦痛の強い場合、不安・焦燥の強い場合、極端に自己評価の低い場合、罪責感の強い場合、妄想の見られる場合などは自殺のリスクが高いと考えられるため、より注意が必要です。

うつ病になった場合、以下のような治療が考えられます。
うつ病に対しては、抗うつ薬の服用が行われ、臨床的にその効果が実証されていると考えられています。ただし抗うつ薬の効果は必ずしも即効的ではなく、効果が明確に現れるには1〜3週間の継続的服用が必要です。

抗うつ薬のうち、従来より用いられてきた三環系あるいは四環系抗うつ薬は、口渇・便秘・眠気などの副作用が比較的多いです。これは、抗コリン作用、抗α1作用なども併せ持っているため、こうした副作用が現れると考えられます。

近年開発された、セロトニン系に選択的に作用する薬剤SSRIや、セロトニンとノルアドレナリンに選択的に作用する薬剤SNRI等は副作用は比較的少ないとされています。ですが、臨床的効果は三環系抗うつ薬より弱いとされています。また、不安・焦燥が強い場合などは抗不安薬を、不眠が強い場合は睡眠導入剤を併用することも多いです。

このほかにも、認知行動療法やいわゆるカウンセリング、電気けいれん療法(頭皮の上から電流を通電し、人工的にけいれんを起こす事で治療を行います。薬物療法が無効な場合や自殺の危険が切迫している場合などに行います。保険適応があります)などの治療法があります。

よく、ご家族や知人の方がうつ病の患者さんに「旅行にでも行って、ゆっくり静養してみれば?」と勧めたり、「頑張って」と励ましたりしますが、これはできれば避けた方が良いです。

うつ状態とは、いわば「電池が切れてしまったような状態」であり、旅行にいけるほどのエネルギーも無くなってしまうことがあります。また、励ましの言葉も、「頑張りたいけれども頑張れない」と患者さんの焦燥感を煽ってしまったり、「頑張れない…みんなに迷惑を掛けている…私なんかいなくなればいい」と追いつめてしまう可能性もあります。

周りの方は、ツライかもしれませんがそっとしておいてあげることが大事だと思われます。ですが、孤独にさせてしまうこともダメであり、「そっとしておくけど、独りぼっちにさせない」という、つかず離れずという態度が必要になってきます。

日本で2002年に行われた1600人の一般人口に対する面接調査によれば、時点有病率2%、生涯有病率6.5%とされています。決して人ごとではないし、周りの人が罹患する可能性もあります。「その時」がやってきたとき、どのように対処すべきか、今から考えておくことも必要かも知れませんね。

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