石川県羽咋市の公立羽咋病院(鵜浦雅志院長)で平成17年、静脈にカテーテルを挿入する手術を受けた女性患者=当時(79)=が、手術中に心臓を傷つけられ死亡する事故があり、県警羽咋署が業務上過失致死容疑で、当時病院に勤務していた担当の男性医師(36)を書類送検していたことが30日、分かった。
羽咋病院などによると、女性は17年1月に交通事故のため入院。左足にできた血栓を取り除くために静脈に管を入れ、首から心臓を経由して左足まで通す手術を受けたが、手術の2日後に容体が急変して死亡した。カテーテルが心臓を傷つけたとみられる。
男性医師はすでに病院を退職しており、挿管ミスを認めているという。羽咋署は今年3月に医師を書類送検した。羽咋病院は「ご迷惑をおかけし大変申し訳ない。今後再発防止に努めたい」としている。
(挿管ミスで心臓に傷 女性患者死亡で医師送検)
上記のケースでは、深部静脈血栓症に対する血管内治療が行われていたと思われます。深部静脈血栓症とは、深部静脈(大腿静脈・膝窩静脈など、体の深部にある静脈)に血栓が出来る病気です。交通事故や手術後など、長期臥床(長く寝ていなくてはならない状態)にある患者さんにおいて起こりやすいです。肺血栓塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)の主な原因ともなったり、肝静脈に血栓が出来るとバッド・キアリ症候群を起こすこともあります。
60〜70%以上は左下肢で、女性に多いといわれています。その理由は、解剖学的に左総腸骨静脈は右総腸骨動脈に騎乗され、腰仙関節との間に挟まれて圧迫されやすく、血流が停滞するために発症するのではないか、と説明されています。ちなみに、右または両下肢に発症した場合は膠原病やベーチェット病などの血管炎が基礎にあるのではないか、と考える必要があるそうです。
症状としては、深部に血栓ができた場合は、痺れや皮膚色の変色、血栓より遠位の浮腫などといったことが起こりますが、無症状のこともあります。血栓が飛んで肺塞栓を引き起こすと、呼吸困難と胸痛などの症状が出て、死に至ることもあります。「手術後にリハビリを開始した女性が、胸痛や呼吸困難を起こした」というシチュエーションが医師国家試験には結構でてますが、これは肺血栓塞栓症を想定したものです。上記にも書きましたが、手術後に臥床していた後に動くと、脱水や血液凝固能の亢進なども関係して肺血栓塞栓症を起こしやすい、というわけです。
深部静脈血栓症に対する治療は、以下のようなものがあります。
羽咋病院などによると、女性は17年1月に交通事故のため入院。左足にできた血栓を取り除くために静脈に管を入れ、首から心臓を経由して左足まで通す手術を受けたが、手術の2日後に容体が急変して死亡した。カテーテルが心臓を傷つけたとみられる。
男性医師はすでに病院を退職しており、挿管ミスを認めているという。羽咋署は今年3月に医師を書類送検した。羽咋病院は「ご迷惑をおかけし大変申し訳ない。今後再発防止に努めたい」としている。
(挿管ミスで心臓に傷 女性患者死亡で医師送検)
上記のケースでは、深部静脈血栓症に対する血管内治療が行われていたと思われます。深部静脈血栓症とは、深部静脈(大腿静脈・膝窩静脈など、体の深部にある静脈)に血栓が出来る病気です。交通事故や手術後など、長期臥床(長く寝ていなくてはならない状態)にある患者さんにおいて起こりやすいです。肺血栓塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)の主な原因ともなったり、肝静脈に血栓が出来るとバッド・キアリ症候群を起こすこともあります。
60〜70%以上は左下肢で、女性に多いといわれています。その理由は、解剖学的に左総腸骨静脈は右総腸骨動脈に騎乗され、腰仙関節との間に挟まれて圧迫されやすく、血流が停滞するために発症するのではないか、と説明されています。ちなみに、右または両下肢に発症した場合は膠原病やベーチェット病などの血管炎が基礎にあるのではないか、と考える必要があるそうです。
症状としては、深部に血栓ができた場合は、痺れや皮膚色の変色、血栓より遠位の浮腫などといったことが起こりますが、無症状のこともあります。血栓が飛んで肺塞栓を引き起こすと、呼吸困難と胸痛などの症状が出て、死に至ることもあります。「手術後にリハビリを開始した女性が、胸痛や呼吸困難を起こした」というシチュエーションが医師国家試験には結構でてますが、これは肺血栓塞栓症を想定したものです。上記にも書きましたが、手術後に臥床していた後に動くと、脱水や血液凝固能の亢進なども関係して肺血栓塞栓症を起こしやすい、というわけです。
深部静脈血栓症に対する治療は、以下のようなものがあります。
内科的には抗凝固、線溶・抗血小板療法としてヘパリン(注射)、ワルファリン(内服)などの抗凝固薬が用いられます。最近は、組織プラスミノーゲンアクチベータが用いられることもあります。
予防としては、理学的に弾力包帯・弾力ストッキングを着用させることがあります。最近、保険適応がなされることもあり、術後にこうした予防がなされる病院も多くなったのではないでしょうか。
上記の例では、血管内治療法(IVR)が行われています。血管内治療法とは、血管内カテーテルを用いて薬剤を注入したり血栓を除去する治療法です。血栓溶解療法が不可能な場合や、大量の血栓を早急に除去する必要がある場合に行われます。この方法は、心筋梗塞や狭心症といった冠動脈疾患や脳梗塞などに対しても用いられます。最近では、脳梗塞に対するt-PA(組織型プラスミノゲンアクチベーター)などがテレビ番組に登場することもあり、ご存じの方も多いのではないでしょうか。
ただ、高度な技術を必要とするため、実施可能施設が限られるといった難点があります。また、上記のように不幸にして亡くなられてしまう患者さんも出てしまいました。高度化した技術や施設は救命率やQOLを上げ、患者さんの負担を減らす側面もあるでしょうが、こうした事故が起こる可能性もあるのだと慎重に考えることも必要であると思われます。
【関連記事】
エコノミークラス症候群とは:4時間以上のフライトで危険2倍に−WHO報告
心臓カテーテル:自分で自分を切り裂いた男
予防としては、理学的に弾力包帯・弾力ストッキングを着用させることがあります。最近、保険適応がなされることもあり、術後にこうした予防がなされる病院も多くなったのではないでしょうか。
上記の例では、血管内治療法(IVR)が行われています。血管内治療法とは、血管内カテーテルを用いて薬剤を注入したり血栓を除去する治療法です。血栓溶解療法が不可能な場合や、大量の血栓を早急に除去する必要がある場合に行われます。この方法は、心筋梗塞や狭心症といった冠動脈疾患や脳梗塞などに対しても用いられます。最近では、脳梗塞に対するt-PA(組織型プラスミノゲンアクチベーター)などがテレビ番組に登場することもあり、ご存じの方も多いのではないでしょうか。
ただ、高度な技術を必要とするため、実施可能施設が限られるといった難点があります。また、上記のように不幸にして亡くなられてしまう患者さんも出てしまいました。高度化した技術や施設は救命率やQOLを上げ、患者さんの負担を減らす側面もあるでしょうが、こうした事故が起こる可能性もあるのだと慎重に考えることも必要であると思われます。
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