2007年も日本列島はさまざま感染症に見舞われた。特徴的だったのは、はしかや百日咳など“子供の病気”がわれわれ大人の脅威となったことだ。

【麻疹(はしか)】
今年4月、埼玉県、東京都、千葉県、神奈川県の10代、20代を中心に流行。その後、全国に拡大。高校や大学の休校が相次ぐなどパニックになった。
ワクチンの問題が大きい、と指摘する専門家も多い。というのも、他の先進国は、麻疹関連のワクチンは2回接種が主。ところが日本は過去20年をさかのぼって見てもワクチン接種は1回という人が多い。今後も成人麻疹が流行する可能性は十分に残されている。

【インフルエンザ】
今シーズンのインフルエンザは、過去20年で最も早く11月中から全国的な流行が始まった。
「沖縄県では、冬だけでなく夏場にも流行するなど3シーズン連続で発生。今年は、終息の切れ目もはっきりしていない」と話すのは国立感染症研究所・安井良則主任研究官。ワクチンは企業内でも推奨されつつあるが摂取率はまだ低い。今後、どの程度流行拡大するのか予測不能だ。

【ノロウイルス】
今年も流行のピークを迎えつつある。ウイルスはほこりとともに舞い上がり、それを吸い込む「塵埃感染」により被害を広げる。昨年の大流行で吐物や下痢便の適切な処理の重要性も認識されつつある。しかし、それだけでは流行は防げない。
「保育園や幼稚園などの集団施設では発病者から直接感染して施設内で蔓延し、地域内の流行に繋がっていっていると思われる。大人も含め、具合が悪いときには、休ませる勇気、休む勇気が必要といえる」(安井主任研究官)

【百日咳】
1歳未満で感染すると重篤な症状を引き起こすが、年々、成人層での発病者が増加。
「小児の流行が大きく減少する一方で、20代以上の若者の間で、過去に接種したワクチンの抗体価が下がっていると思われる。百日咳は大人の病にもなりつつある」
身近に迫る感染症は、来年も、人間の油断をついて猛威を振るいそうだ。
(07年の日本列島…猛威振るった感染症を総括)


麻疹に関しては、厚生労働省の予防接種に関する検討会にて、国内での麻疹の流行をなくすため「麻疹排除計画」を策定することで合意したそうです。平成24年までの5年間をかけて、ワクチン接種により免疫保有率を95%以上に高め、患者が発生しても流行が起きない状況にすることを目指しています。

麻疹予防には、ワクチンの2回接種が重要とされますが、たたき台では昨年から始まった小学校入学までの2回接種の徹底に加え、接種の機会が1回だった世代に対し、5年間の時限措置として中学1年生と高校3年生での定期予防接種を追加する案などが示されています。

麻疹・風疹混合ワクチンとは、従来の麻疹・風疹ワクチンを混合し、1回で接種するために使用されるワクチンです。予防接種法改正に伴い、2006年4月から接種が開始されました。麻疹(Measles)、風疹(Rubella)の頭文字をとってMRワクチンともいいます。

2006年4月以降、新規にワクチンを接種する1歳以上2歳未満の幼児からは、麻疹・風疹混合ワクチンを接種することが可能となりました。接種スケジュールとしては、以下のようになっています。1回目は月齢12〜23ヶ月、2回目は小学校入学前の1年間で行われます。

インフルエンザのトピックスとしては、異常行動とタミフル、インフルエンザ脳炎・脳症などとの関連でしょう。インフルエンザ治療薬タミフルと異常行動の関係を科学的に検証してきた厚生労働省の調査会は12月25日、因果関係の有無の明確な結論を出せず、先送りしています。調査会座長の松本和則・国際医療福祉大教授は、現状維持の結論について「現時点ではタミフルと因果関係を示す結果は得られていない。解析が終わっていない調査があり、使用解禁の根拠がない」としており、調査の困難さが伺えます。

現在、10代は体格などによるが、異常行動を静止することが難しいことがあり、タミフルの使用を控え、10代未満ではインフルエンザでの死亡率が高く、静止も容易であるということで使用可能、としています。10代には、同じノイラミニダーゼ阻害薬であるリレンザを処方し、それ以外はリレンザかタミフルか選んでもらう、という方針の病院が多いのではないでしょうか。

ノロウイルスは、最近ではNTT東日本長野病院にて31日、入院患者や看護師など計25人が下痢や嘔吐などの症状を訴え、うち80代の女性入院患者が30日に死亡したと発表されています。

また、栃木県では12月25日に学校給食で出たケーキを食べた児童、生徒と教職員98人が下痢などの症状を訴えた、と発表されています。12月始めにも、横浜市立藤が丘小学校で、児童が相次いで嘔吐や発熱などの症状を訴え、169人が欠席、36人が早退しているなど200人近くが感染してしまったとされています。

特に、「患者のノロウイルスが大量に含まれる糞便や吐物から人の手などを介して二次感染」が多いように思われます。そのため、以下のような予防策が重要であると考えられます。対策としては、石けんを使った流水での手洗いと、一般家庭にもある塩素系漂白剤による食器やまな板などの消毒が重要であるといわれています。

百日咳の特徴としては、以下のようなものがあります。
国立病院機構福岡病院の野上裕子部長らの調査によると、2000年以降に同病院を受診した大人の患者で、1ヶ月以上せきが続き、結核や気管支ぜんそくなどの病気が見つからない144人について血液を調べ、百日ぜきの免疫の有無などを調べたそうです。結果、29人(20.1%)に、百日ぜきの毒素や菌に対する免疫が強く表れ、百日ぜきに最近感染した疑いが強いことがわかったそうです。

つまり、原因不明のせきが長く続く大人の約2割に百日ぜきの疑いがあるのではないかと考えられる、というわけです。症状としては、最初は鼻水や咳などの普通の風邪症状で始まりますが、やがて咳の回数が増えて程度も激しくなります。

発熱などはなく咳(発作性けいれん性の咳)が続き、咳き込み方が激しくなっていきます。咳は、顔を真っ赤にしてコンコンコンと立て続けに激しく咳き込み(スタッカート)、それに引き続いてヒューと音をたてて息を吸い込む(フープ)という一連の発作を何度も繰り返します(レプリーゼ)。咳のために嘔吐したり、連続的な咳のあとに急に息を吸い込むため音が鳴ったりします。

小児期に三種混合ワクチン(DPTワクチン)による予防接種が行われていますが、成人に感染しているようです。

来年においても、こうした流行するおそれがあるため、しっかりと予防対策をとることが望まれます。

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インフルエンザに関するまとめ