フランスで1月1日から、レストランやカフェなど飲食店が原則禁煙となる。
フランスでは、カフェでのひとときや美食の後の一服に対するこだわりを捨て切れぬ愛煙家が多く、同国特有の個人主義も手伝って、禁煙の取り組みは遅れていた。これでアイルランドなど欧州の禁煙先進国に肩を並べることになったが、たばこ販売店の組合などは猛反発している。

バシュロナルカン保健相は「年越しのお祭り騒ぎを終え、ビストロに立ち寄ってコーヒーを飲むころには、もうたばこを吸ってはいけないんですよ」と禁煙徹底を呼び掛けた。ただ、実際に取り締まりが始まるのは2日からの予定。

飲食店での喫煙は、開放されたテラスや強力な換気装置を備えた喫煙室の中に限られる。違反者には最高750ユーロ(約12万円)の罰金が科される。

公共交通機関や企業、学校、商店などの公共の場所は既に2007年2月から禁煙となったが、飲食店は猶予措置が取られていた。今後は街頭や個人の住宅などを除き、喫煙者は肩身が狭い立場に置かれる。
(「美食後の一服」もうダメ…仏の飲食店、禁煙に)


2003年施行の健康増進法では、屋内の受動喫煙防止を「努力義務」にとどめています。ですので、たとえ喫煙を許可していても罰則規定もありません。ただ、世界保健機関(WHO)は5月29日、すべての加盟国に対し、飲食店やオフィスを含む公共スペース内を全面禁煙とする法律を制定するよう勧告しています。

日本での成人の喫煙率は1966年頃(男性83.7%、女性18.0%)をピークに、2006年では全体で26.3%(男性41.3%、女性12.4%)と減少傾向にあるといわれています。特に、60歳以上の男性の喫煙率は、ピーク時の約5分の2に低下しているといわれていますが、先進国と比較すると、日本の全人口の喫煙率はまだ高く、特に男性に関してはトップレベルであるといわれています。

喫煙の害は、死亡率の上昇だけに留まらず、COPDを始めとする呼吸機能の低下や動脈硬化、心筋梗塞などの循環器疾患との関連性、歯周病となるリスク、最近では喫煙者の方が認知機能低下のペースが速いことが示されています。

また、本人だけの問題だけではなく、受動喫煙も能動喫煙も、量に差はあるものの、同様の成分を吸入する行為であり、喫煙と同様の疾患リスクが増加する可能性があると考えられています。

厚生労働省研究班が調査した結果によると、自分はたばこを吸わないのに夫が吸う女性は、夫も吸わない女性と比べ肺腺がんになる危険性が約2倍高まるそうです。夫の1日の喫煙量が20本以上だと、リスクがさらに高まるとのこと。

同センターの最新の推計値によると、平成13年に肺がんを発症した女性は2万1000人あまり。別の調査では、肺がんの女性の約70%は非喫煙者とのデータもある。調査をまとめた倉橋典絵・国立がんセンター予防研究部研究員は「分煙を進め、他人のたばこの煙を避けることが重要だ」と話しています。

喫煙をめぐる健康被害との関連性は、さらに以下のようなものがあります。
喫煙によって罹患率が、肺がん、喉頭がん、咽頭がん、食道がん、膀胱がんなどで上がることは明らかとなっています。また、喫煙により慢性気管支炎、肺気腫(これらの2つの疾患のことをCOPDとも言う)などが生じます。軽度のものを含めると、習慣的喫煙者のほぼ100%に気腫性変化が生じます。

タバコの煙に含まれる活性酸素は、血管内皮細胞を障害することが知られています。そのため、動脈硬化が促進され、狭心症、心筋梗塞、脳血栓 、脳塞栓、動脈硬化、動脈瘤、閉塞性血栓性血管炎(バージャー病)などのリスクが増加することが統計的に示されています。他にも、妊娠中の影響や免疫低下・感染症、歯周病などのリスクが挙げられます。

さらに、受動喫煙の問題もあります。受動喫煙をする人の周囲の人が、その煙を自分の意思とは無関係ににたばこの煙に暴露され、それを吸引させられることです。問題としては、喫煙者以外の者が当人の意思に関わりなく環境たばこの煙を吸わされてしまうことで、健康被害が出てしまう点です。

受動喫煙によって、主に急性影響によって咳やくしゃみ、眼のかゆみなどを生じることがあります。慢性影響等により、がん、心臓疾患及び呼吸器系疾患などの様々な疾病の危険が高まることも指摘されています。

最近では、分煙が進んではきているようですが、公共の場は完全に禁煙スペースとするといった方針にするべきであると思われます。

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