脳出血で死の境をさまよい、2日に脳死判定を受けた崔堯三(チェ・ヨサム)が入院している牙山病院(ソウル市松坡区)の重患者室前の廊下では、ボクシング界の関係者と崔堯三の家族が悲しみに明け暮れた。

ソウル牙山病院の脳死判定委員会が同日午後、崔堯三に脳死判定を下したという事実が知らされると、母オ・スニさん(65)をはじめ家族は互いに抱き合いながら涙を流し、病院を訪れたボクシング界の関係者らも首をうなだれた。

ボクシング元世界チャンピオンの洪秀煥(ホン・スファン)さん=58=は「わたしも以前は試合が終わると体中が痛くて眠れなかったが、今では崔堯三の死が無念で胸が痛くて眠れない」と泣き崩れた。洪さんは、崔堯三が臓器の寄贈を決めたことについて「新たな生命を生かすことのできる最善の選択だ。故人に深い弔意を表する」と語った。
(ボクシング:崔堯三に脳死判定、病院が涙の海に)


脳出血とは、脳内の血管が何らかの原因で破れ、大脳、小脳および脳幹の脳実質内に出血した状態をいいます。そのために意識障害、運動麻痺、感覚障害などの症状が現れます。血腫が大きくなると脳浮腫によって頭蓋内圧が高くなって脳ヘルニアを起こし、重い場合は脳幹部が圧迫されて死に至ります。

高血圧が原因で起こる脳出血が最も多く、全体の70%を占めます。高血圧性脳出血を部門別にみてみると、最も頻度が高いのは被殻出血(40%)と視床出血(35%)で、この2つが約4分の3を占めます。次いで皮質下出血(10%)、橋出血(5%)、小脳出血(5%)、その他(5%)と続きます。

高血圧性脳内出血は、高血圧症および動脈硬化が起こる50〜70歳台に多いとされます。高血圧だけでなく、喫煙、糖尿病などもリスクファクターとなります。出血の発生部位は、大脳基底核視床部60%(被核からが40%、視床からが30%程度),大脳皮質下20%,小脳10%,中脳橋10%となっているそうです。

非高血圧性脳内出血としては、もやもや病、脳動静脈奇形、脳アミロイド血管障害、脳腫瘍内出血などがあります。崔堯三さんの場合、父親も脳出血で死亡しているとのことで、何らしらかの素因があったのかも知れません。

症状や治療法としては、以下のようなものがあります。
症状としては、一般的には頭痛、嘔吐、意識障害、片麻痺が多くの患者さんにみられます。出血部位および血腫の大きさにより症状は違います。慢性期になっても何らかの後遺症を示す患者さんも多くみられます。

検査としては、CTが最も有用で、発症後数分以内に高吸収域(血腫が白く写る)として現れ、3〜6時間で血腫が完成し、約1カ月で等吸収域(脳組織と同じ色に写る)になり、やがて低吸収域(脳組織より黒く写る)になります。脳動脈瘤、脳動静脈奇形、脳腫瘍による出血が疑われる場合は、脳血管撮影が必要です。

高血圧性脳出血の治療は、血腫による脳実質の損傷を軽くし、再出血や血腫の増大を防ぎ、圧迫によって血腫の周囲の二次的変化が進まないようにすることです。このため内科的治療としては、頭蓋内圧亢進に対する抗浮腫薬の投与、高血圧の管理、水電解質のバランス、合併症の予防と治療が基本になります。

無理な減量やストレスなども、こうした不幸な転帰に寄与してしまったのではないか、と思われます。もちろん、ボクサーとなればそうした苦境を乗り越えなくてはならないのでしょうが、ここまで追いつめられてしまった人がいる、ということを主催者側は今後の教訓にして、しっかりと対策をしていただきたいと思われます。

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