自分や家族ががんになったとき、まずインターネットで情報を探す人は多いのではないだろうか。しかし、あふれる情報の中で、どれが信頼できる情報かを見分けるのは難しい。がんと向き合い、前向きに生きるために、必要な情報をどう得ていけばいいのだろう。

ITを活用した人材教育事業を行うライトワークス(東京・麹町)社長の江口夏郎さんの父親に胃がんがみつかったのは平成11年秋。当時はまだネットの黎明(れいめい)期だったが、それでもネット上にがん情報がたくさんあり、江口さんは「どの情報が信頼できるのか、素人には分からなかった」と振り返る。父親は胃の全摘手術などを行ったが、翌12年11月に亡くなった。
 
現在のネットでのがん情報は、当時よりもさらに増え、膨大な量となっている。がんと向き合うために治療法や医療費についてなどの情報は不可欠だが、ネット上から必要な情報を得るのは意外に難しい。

そんな中、帝京大学医療情報システム研究センター長の中田善規教授らのグループが、ネット上のがん情報を分析、人気サイトについての評価を試みた。患者にとってよりよいがん情報のサイトを開発するのが目的で、江口さんもこれに協力した。
 
平成19年1月から2月にかけてヤフーやグーグルなどの検索を使い、閲覧の多いがんに関連したサイトを300抽出、内容について分析した。最も多かったのが「がんに効く」などとされる健康食品系のサイトで46あった。次いで病院・クリニックが32、患者個人の体験・闘病記が28、大学病院が21、国の機関・独立行政法人が19、民間療法などを行う各種療法院が16の順だった。
 
また、ページ内にweb広告を貼り付けているサイトが22あった。このうち、がんと直接関連がないと考えられる個人が運営しているサイトは7あり、「がんというキーワードに集客力があることに着目し、“小遣い稼ぎ”を目的にした個人サイトが少なからず存在していることになる」と中田教授。

さらに、広くがんについて扱った人気サイトを10選び、有用性、信頼性、わかりやすさなどを、がん診療にかかわる専門医21人に評価してもらった。その結果、すべての項目で評価が高かったのが国立がんセンターの「がん情報サービス」のページだった。がんについて多岐にわたって詳細な解説がされていることが高い評価につながった。一方で東洋医学や民間療法を扱ったサイトには厳しい評価がつけられた。
                
中田教授は「よく見られているサイトでも、必ずしも質の高くないものがあった。ただ、がん情報は人によって求めるものが違う。がんセンターのサイトも一般の人がみればわかりにくいかもしれない」と、サイト評価が思った以上に難しかったことを打ち明ける。
 
江口さんも「調査をすれば何が正しく何が正しくないか“断定”できると思っていた。しかし、専門家の意見を聞くうちに、がんは分からないことも多く、ある情報が正しいか正しくないかを断定できない場合も多々あることを知った」と話す。
 
その上で、ネット上のがん情報を利用する際の注意点として、(1)サイトの情報提供者が何を目的にその情報をアップしているか考える(2)複数の情報源から情報を取得する(3)担当の医師と納得いくまで話し合う−の3点をあげる。

江口さんは「ネットの情報は、非常に役立つ情報から誤った情報、いかがわしい情報まで玉石混交。見方によって正解が異なることがあることからも、多面的に評価するために複数の情報源から情報を取得するべき。ネットに限らず書籍など他のメディアも活用して判断してほしい」と話している。
(「がん」情報の人気サイトを医師が“診断”)


「検査の結果…食道癌の可能性があります。今後の治療方針は、また後日、ご家族のかたと話し合いましょう」などと医師に言われた場合、患者さんが、まず真っ先にすることといったら、検索サイトで『食道癌』と入力して調べてみるのではないでしょうか。すると、"食道癌は、予後が悪い癌の内の一つ。5年生存率も低い"…などと書かれていて、ショックを受けてしまう、ということもあるでしょう。

こうした切実な患者さんにとって、ネット上にいくつもある情報が、一つ一つ重大なことに感じられるはずであると思われます。ですが、天に唾する発言で躊躇われますが、こうした情報を書く人間も多数であり、匿名性をもって書かれています。となると、その信憑性というのも確かなものではないでしょう(ここの情報も、実戦経験の乏しい、不出来な学生が書いているわけです)。

となると、その情報をどのように集めたらいいのか、という以前に、「どこを見れば確かな情報が得られるのか」といったことを確かにしておいた方が、良いと思われます。上記の、中田善規教授らのグループが推薦しているのは、以下のようなサイトです。
国立がんセンター「がん情報サービス」
→がんについて多岐にわたって詳細に解説

癌研有明病院
→わかりやすい。患者さんにとって有用な情報が載っている。

NHKがんサポートキャンペーン
→家族への告知や、癌との向き合い方など具体例が参考になる。

がんになっても
→患者の視点から良心的に作られている。経済的サポートについても記載してあり役立つ。

癌情報紹介サイトがんチラ
→悪質な商法への注意を喚起している。

特に、国立がんセンター「がん情報サービス」などは非常に分かりやすく、理解しやすいと思われます。どのような病気なのか、といったことから症状、検査、治療法、国立がんセンターでの治療成績なども掲載されており、確かな情報が得られやすいのではないか、と思われます。

他にも、私個人が勉強させていただいているサイトには、以下のようなものがあります。
PDQ日本語版
→米国国立癌研究所(NCI)が配信する Cancer Information Physician Data Query from National Cancer Instituteの情報を基に日本語翻訳です。がんに関する多くのデータが揃っています。診断から臨床試験のデータまで詳細に書かれています。

メルクマニュアル(日本エム・エス・ディ)
→医学辞書として用いることが出来るかも知れません。説明も平易で、非常に分かりやすいです。

たしかに、ネット検索は便利なツールの一つであり、もはや欠かせないものとなったと思われますが、逆に膨大な情報の中で、必要なものを見つけ出すのが難しい現状になったのかもしれませんね。

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