★外出時は必ずマスクをする=せきやくしゃみ、会話中のつばなどに含まれるウイルスは1・5メートルも飛ぶ。空気中を浮遊するウイルスから感染することもあり、流行期には常時装着が基本。特に内科系の病院に行く場合は、必ずマスクをしていくこと

★手をまめにせっけんで洗う=電車のつり革など、不特定多数の人間が触れる機会が多いものにはウイルスが付着している危険性がある。手で口元や鼻をさわる癖がある人は特に注意

★うがいをする=帰宅後のうがいはウイルスの付着防止につながる。紅茶や緑茶などのポリフェノール(カテキン)には、抗ウイルス作用があるので、これらを使ってうがいするのもよい

★かんきつ類などを積極的に食べる=ビタミンCには、抗ウイルス作用がある。旬を迎えたみかんなどを食べるとともに、バランスのとれた食事を心がける

★加湿器などで室内の空気の乾燥を防ぐ=ウイルスが生息しやすい環境は乾燥・低温。加湿器で、湿度を50〜60%に保つ

★抗ウイルス薬を予防に利用する=家族に罹患者がいる場合などは、抗ウイルス薬を予防的に使うと、感染を防ぐことができる

★禁煙する=たばこを吸うと呼吸器が弱くなり、インフルエンザをはじめとするウイルスに感染しやすくなる
(この冬大流行…インフルA型、中高年は要注意)


インフルエンザなどの呼吸器系ウイルスの感染を予防するには、薬よりも手洗いやマスクの着用といった物理的な方法が効果的との可能性を示す研究結果が明らかになっています。英国医師会誌「British Medical Journal(BMJ)」に掲載された過去の51研究のレビュー(再調査)で示された結果によると、「インフルエンザをはじめとする呼吸器系ウイルスを予防するには、薬剤よりも手洗いやマスク着用などの物理的な防御法が有効」とのことです。

呼吸器系ウイルスの動物からヒト、ヒトからヒトへの伝播を防ぐ措置である、"隔離、社会的距離の確保、遮断、個人的な予防措置および衛生対策"を、その他の措置または何もしない場合と比較したそうです(この中に抗ウィルス薬やワクチンは含まれていなかったそうですが)。

結果、手洗いおよびマスク、手袋、ガウンの着用は、呼吸器系ウイルス蔓延の予防にそれぞれ単独で有効であり、すべてを併用すればさらに高い効果が得られることがわかったそうです。また、冬はノロウィルスが流行します。ノロウィルスに対しても、手洗いは非常に有用です。

ただ、流水で洗うだけや、普通の石けん(薬用以外)では汚れを落とすのみで、殺菌効果はあまりないのではないかと思われます。確実な感染症予防には、消毒液を使用した方が良いと考えられます。

いわゆる薬用石けんとは、通常の石けんにトリクロサンやトリクロカルバンなどの殺菌成分を配合したものが一般に普及しています。食事前などでは、できればそうしたものを利用して、しっかりと消毒することが望まれます。

インフルエンザ患者の咳や、痰の飛沫に便乗したウイルスは空中を漂った後、直接または間接的に別の人の気道粘膜に侵入します。この間接経路に、実は「手」が重要な役割を演じます。というのも、咳をする時はエチケットして、手で口をおさえますが、その手で電車のつり革や手すりをはじめいろいろのものに触れます。そのため、手を介して粘膜感染してしまう、ということがあるわけです。

粘膜にたどり着いたウイルスは、すぐに粘膜細胞内に侵入してしまうので、うがいよりも手洗いによって入ってくるのを予防する、というほうが有効であると考えられます。同様に、風邪の感染予防にも重要であると考えられます。他にも、上記の方法を試してみてはいかがでしょうか。

今年のインフルエンザの特徴としては、以下のようなものがあります。
感染研感染症情報センターでは、定点当たりの報告数が1.0人を超えると、全国的な流行開始と判断しています。流行開始は例年、12月中〜下旬ですが、今年は早くなっているようです(ちなみに、昨シーズンは1月中旬と過去10年で2番目の遅さだったそうです)。

現に、先月22〜28日の1週間に全国約4,600の内科、小児科から報告された患者数は931人で、定点当たり0.20人だったそうです。過去10年の同時期は0.00〜0.09人で今年は特に多いと言われています。

今年のインフルエンザのタイプとしては、Aソ連型といわれています。1990年以降は、A香港型が流行の主流であり、Aソ連型の流行は数年おきにしか起こっていないという点からも、免疫を持った人が少ないため、流行しやすいのではないか、と考えられています。

また、Aソ連型インフルエンザは、老人での発生はそれほど多くなく、比較的若い人たちでよく見られ、子供たちに流行したりします。そのため、今回は学級閉鎖が起こった学校も多いようです。

Aソ連型インフルザウイルスは、その名の通り、ロシアからの漁船が寄港する北海道の港町などで流行することが多かったようです。ですが、ロシアからの観光客の方などがやってきていることも関係しているのか、関東近郊でも船の出入りが多い神奈川県や、成田空港を持つ千葉県で患者数が増しています(一方で関東ですが空港や港から遠い、内陸の群馬県では患者の発生はわずかとのことです)。

Aソ連型の流行は過去にあまりなく、本州には免疫を持っている人が非常に少ないので、流行してしまうという背景があります。やはり今年は特に、インフルエンザワクチンの接種が推奨されるのではないでしょうか。

まだまだ寒い日が続き、インフルエンザも流行り続けることが予想されます。しっかりと対策をして、罹らないようにしていただきたいと思われます。

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