以下は、ザ!世界仰天ニュースで取り上げられていた内容です。

2005年02月。イギリス・ニューキーでゴミ回収車の運転手をしているジョン・ブランドリックにはパートナーのサリーと二人の子供がいた。しかし幸せだったジョンだったが19Kgも痩せてしまい、体の不調を訴え病院へ。精密検査を勧められたジョンに告げられた病名は膵臓癌。それも悪性腫瘍で7cmほどの大きさ、既に手の施しようがなく余命半年の宣告を受けた。

ジョンはこの先どうしていくか悩んだ。いつ死ぬか分からない恐怖と戦う日々が始まった。そしてサリーや子供たちにある決意を話す。「貯金を全て使い果たし残された人生を楽しむ」と。貯金は600万円、ジョンはすぐに会社を退職し、ディナーは高級レストラン計10万円、一流ホテルで優雅な一時、エステにグルメ三昧計20万円。サリーや子供たちとも楽しみ、最高の幸せを得ることが出来た。時には友人に奢り15万円を使い不思議がられたことも。

しかし、一人になると不安と恐怖に襲われる。常に誰かと一緒にいたい。余命宣告から2ヶ月、自宅のローン支払いを中断し残りの人生を楽しむことに。3ヶ月が経ち、体も重く感じられるようになったジョンは身の回りの整理を始めた。4ヶ月が経ち、貯金も残りわずか。覚悟を決め、葬儀の手配まで進め死装束用のスーツまで用意。サリーに迷惑はかけたくなかった。

車も売り、自分の物は衣類くらいで殆ど無くなった。運命の6ヶ月を迎え家族や友人らと盛大な食事会を開いた。死を覚悟した男にとんでもない奇跡が起こる。なんと余命から1年がたっても生きていた。むしろ顔色も良くなり体重も増え、病院で再検査をすることに。

結果は膵臓癌ではなく膵炎。医者の誤診だった。腫瘍は2僂泙脳さくなり完治までは目前だという。喜ぶのも束の間、ジョンは貯金を全て使い果たしてしまい一文無しになってしまったため、この責任を病院側にあるとして損害賠償を求めた。2年たった現在も病院から補償金は一切支払われておらず、現在でも裁判は続いている。


膵臓癌は、膵臓から発生した悪性腫瘍(上皮性悪性腫瘍)です。進行が早く、きわめて予後が悪いとされています。発生率は約1,000人に1人で、60〜70歳代の高齢者に多く、増加傾向にあるといわれています。

膵臓は膵液を産生する腺房、膵液を運ぶ膵管、および内分泌腺であるランゲルハンス島などからなりますが、膵癌の約90%は膵管から発生する膵管癌(ductal cell carcinoma)で、通常「膵癌」といえば膵管癌を指します。膵臓の中でも、膵頭部癌が約2/3で多く、周囲組織へ浸潤していきます。見つかりにくく(検診などでは普通、あまり膵臓癌を疑って検査をする、ということも少ないため)、診断時にはほとんどが進行癌です。

症状としては、腹痛、体重減少、黄疸、耐糖能異常などがありますが、初期には無症状のことが多いため、発見が遅れやすいとされています。進行癌になると背部痛、腹痛、下痢が出現します。膵頭部(膵臓の右側)の癌では皮膚や尿の黄染で発症することもありますが、これは腫瘍が総胆管を閉塞して黄疸が出現するためです。後腹膜神経叢へ浸潤すると、耐えがたい痛みがでてきます。

検査としては、スクリーニングとして腹部エコーが有用であるといわれています(∞溝,ら十二指腸に消化液を送るための主膵管の直径が2.5mm以上(通常2mm以下)、∝溝,膨招3cm以下の小さな袋がある、といった特徴など)。また、局在診断、手術適応を判定するにはCTが有用です。乏血性の腫瘍であるため、造影CTにて低吸収域として鮮明に描出されます。腫瘍マーカーとしては、CA19-9があり、約80%のケースで陽性化し、有用な腫瘍マーカーといわれています。他にも、内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)が行われ、膵管の狭窄や閉塞を認めます。

鑑別するべき疾患としては、上記でも問題となっていましたが、慢性膵炎、特に腫瘤形成性慢性膵炎が鑑別の対象となります。この点に関しては、以下のようなことがいえると思われます。
上記の例では、半年で19Kgも痩せてしまっているということや、CTで7cmほどの大きさである腫瘤を形成していること、強い腹痛があるといったことから、膵臓癌を疑ったのではないかと考えられます。

しかしながら、膵臓癌の鑑別では、慢性膵炎、特に腫瘤形成性慢性膵炎が重要となってきます。上記でも大きな問題になっていますが、「余命あと半年」などといわれることを考えると、患者さんにとっては大きなショックです。

しかも、膵臓癌の治療としては、外科的切除が原則ですが、進行癌が多く適応例は少ないと考えられます。すると、化学療法や放射線療法が選択として考えられますが、効果は不十分であるといわざるをえないでしょう。となると、事実上の「死を宣告された」のとほぼ等しいと考えてしまうのも無理はないと考えられます。

ただ、ジョンさんは「残りの余生を思い切り楽しみたい」と考え、治療に対して消極的であったため、詳細な検査を受けなかったのではないか、と考えられます。故に、精密検査(たとえば、腫瘍マーカーの追加検索や癌関連遺伝子の検索として、膵液中のK-ras,p53,SMAD4の点突然変異を調べたり、腹腔鏡など)を受けていれば、「膵臓癌ではない」と分かったかも知れません。

癌の告知をされた患者さんは、ショック状態に陥り、医師の説明も十分に聞くことが出来ず、いわゆる「真っ白な状態」になってしまうことも少なくないと言います。できれば、改めて冷静になってからもう一度検査を受けたり、説明を聞きに行く、といったことが重要であると考えられます。

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