「高額請求した包茎手術費用を返せ−」東京都消費生活総合センターは9日、都内などの3医療機関が、安価な包茎手術費をうたった広告で患者を勧誘しながら、手術の痛みを緩和するからとコラーゲン注入を強要し、実際には高額な手術代を請求したのは不当だとする20代の男性ら3人の訴えを、都消費者被害救済委員会に付託し、あっせんなどによる紛争解決に乗り出すことを明らかにした。

同センターによると3医療機関は昨年9月ごろ、ファッション雑誌の広告やホームページで「無痛で15万円から包茎手術ができる」とうたって、いずれも20代の男性3人を勧誘。医療機関を訪れた3人に対し、手術痕が目立つ写真を見せて「15万円だとこんな感じになる」と言って、「9ccコラーゲンを打てば手術後痛まない」「安いコースは見た目も悪く、きれいにできないので高いコースがいい」「ほとんどの人は一生に一度のことだから一番高いコースにしている」などとあおって、1cc12万円から15万円のコラーゲン注入を強要し、広告掲載費用の約10倍にあたる140万円から280万円の手術費を要求した。

手術を受けた男性らは「コラーゲンの効果も、高額な手術代にも納得できない」として、3医療機関に対し、手術費の減免を求めている。

同センターによると、平成18年度の包茎手術に関する相談件数は44件で、15年度の23件の約2倍。同センターは「表沙汰にしにくい問題だけに、毎年相談件数が増えているということは、実際に被害者が増えているということ。早期に食い止める必要がある」と話した。
(包茎手術費返せ! 高額請求で相談件数増加)


「美容外科クリニックで、包茎手術を受けたら100万円以上も請求された」といった相談が最近、各地の消費生活センターなどに増えているそうです。相談件数が多いことを受け、愛知県弁護士会などは、包茎手術専門の無料の電話相談を全国で初めて行うということも報じられました。

よくある相談内容としては、未成年の学生が雑誌やインターネットで「包茎手術15万円〜」などとうたう広告を見て来院。スタッフに失敗例の写真を見せられ、「安いコースだと失敗することがある」などと言われ、高額の手術を選ばされた、というようなことだそうです。

さらに上記にあるように、手術の最中に「術後の痛みを和らげる」などと説明され、費用を教えられないままコラーゲン注入などの手術を追加された人も。結局、100〜300万円もの費用を請求されたとのことです。

こうした問題の背景には、「広告内容と異なる診療を行う」といったことがあると思われます。日本を含め、諸外国でも医療に関する広告・宣伝については、厳しい基準を規定しているところが多く、第3回世界医師会総会で採択された『医の国際的倫理基準』でも、「医師による自己宣伝、広告になるような行為は、自国の医の倫理で認められていない限り、反倫理的行為と見なされる」としています。

国内の場合は、医業に関する広告は「虚偽、誇大な広告から患者を保護するため」という観点から、法律により広範に規制されていました。最近まで、「医療機関の名称、住所、電話番号、診療科名や医師の氏名」などのごく限られた事項以外の広告は、罰則付で禁止されていました(医療法69条による)。

ですが、平成14年4月に医療法69条は改正され、広告可能な項目が「専門医資格、治療方法、平均在院日数、手術件数、分娩件数」など、医療の内容に関する事項まで大幅に拡大されています。

さらに、現在ではインターネットによるホームページ上での広告が増えてきているように思います。ですが、この点に関して、以下のような問題が生じてきています。
実は厚生労働省は、このようなインターネットを介しての情報提供は「医療機関の広報と位置付け、医療法の広告規制には該当しない」として、規制する動きを今のところ示していません。

故に、今のところは偽りの広告を掲載していても(虚偽・誇大な広告)原則として、罰則や禁止するすべは、いまのところない、というのが現状です。また、医療に関する情報提供の要求が強まり、これに伴い広告に対する規制もさらに緩和されることが予想されます。

一般的な手術費は、およそ10万円程度であるといわれています。自由診療で保険適応外の手術とはいえ、平均の10倍、しかも最初の説明と異なるとなれば、医療関係全体に対する信用問題となると思われます。しっかりと被害者が声を上げ、糾弾するということがなければ、さらなる被害者が出てしまうと考えられます。法改正を含めた、再発防止のための論議をしっかりとするべきであると思われます。

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