インフルエンザの当たり年ともいわれている今冬。すでに予防接種を受けた人もいるかもしれない。特に今冬は、例年よりも流行時期が1カ月ほど早く、北海道や関東など全国的に流行していることが特徴のようです。それにしても、インフルエンザと“単なる風邪”との違いって?

「まず症状が異なります。通常の風邪はのどの痛み、鼻水、くしゃみや咳などの症状が中心です。一方インフルエンザは、そういった症状のほかに38度以上の高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛など全身症状が強く見られます。さらに、気管支炎や肺炎、乳幼児の場合はインフルエンザ脳炎など合併症を引き起こす可能性もあります。そもそも病原となるウイルスもインフルエンザと通常の風邪では異なっています」(国立感染症研究所感染症情報センター 主任研究官・安井良則氏)

また、今冬は、ここ数年続いていたA香港型ではなく、Aソ連型が流行している模様。このアルファベットや名称にはどんな意味が含まれているのかも気になるところです。

「インフルエンザウイルスには、A型、B型、C型の3種類があります。激しい症状を引き起こすのがA型とB型で、なかでも感染力が強いのが、A型です。A型は、ヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)という2種類の物質の組み合わせが変異を起こしやすく、古いタイプの抗体は、変異した新しいタイプには効かないため、毎年のように流行するのです。また、香港型、ソ連型といわれているのは、1968年に香港で大流行した“香港かぜ”、1977年に同じくロシアで大流行した“ソ連かぜ”が起源となっているA型の亜種です」(安井氏)
(毎年流行するのはなぜ?インフルエンザのヒミツ)


上記にもありますが、インフルエンザウイルスにはA・B・Cの3型があり、このうちA型とB型がヒトのインフルエンザの原因となります(C型は小児期に感染し、呼吸器感染症の原因となる。ただし、明確な流行の形をとらない)。

インフルエンザウィルスは、一本鎖ネガティブRNAを遺伝子としてもち、A,B型は8分節(HA, NA, PA, PB1, PB2, M, NP, NS)、C型は7分節HE, PA, PB1, PB2, M, NP, NS)
からなっています。このRNAは容易に組み換えがなされ、たとえば、1つの細胞に2種類のインフルエンザウイルスが感染していた場合など、新たなウィルス形成が容易にできてしまうという特性を持つと考えられています。

ウイルス粒子A,B型では、粒子表面に赤血球凝集素(HA)とノイラミニダーゼ(NA)が存在します。A型インフルエンザウイルスにはHA(赤血球凝集素)とNA(ノイラミニダーゼ)の変異が特に多く、年によって流行するウイルスの型はかなり異なります。そのため、A型は世界的に大流行が起こる可能性が高いと言われています。

インフルエンザは、1−2日の潜伏期の後、突然の発熱(38℃以上)、頭痛や全身の筋・関節痛などで発症し、鼻汁・鼻閉や咽頭痛、咳嗽などの呼吸器症状を呈します。通常、約1週間の経過で自然に軽快しますが、高齢者や慢性肺疾患などの基礎疾患をもつ患者では肺炎球菌やインフルエンザ桿菌などによる二次性の細菌性肺炎、小児では中耳炎を合併する場合があるので注意が必要です。

最近のトピックスとして、インフルエンザ脳炎・脳症およびタミフルとの因果関係がクローズアップされることが多いと思われます。そもそも、タミフルとは以下のようなものであると考えられます。
タミフルは、ノイラミニダーゼ阻害薬の一種です。ノイラミニダーゼ(インフルエンザウイルスの増殖過程において、感染細胞からのインフルエンザウイルスの脱殻に必要な酵素)を阻害することにより、インフルエンザウイルスが感染細胞表面から遊離することを阻害し、他の細胞への感染・増殖を抑制します。作用としてはつまり、本剤のヒトA型及びB型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼを選択的に阻害し、新しく形成されたウイルスの感染細胞からの遊離を阻害することにより、ウイルスの増殖を抑制する、ということのようです。

ちなみに、治療に用いる場合、インフルエンザ様症状の発現から2日以内に投与を開始すること、と書かれています。症状発現から48時間経過後に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていない、という点も注意すべき点であると思われます。

他のトピックスとして、2004年からインフルエンザ患者の同居家族や共同生活者で、
々睥霄圈65歳以上)
∨性呼吸器疾患患者または慢性心疾患患者
B綣媽疾患患者(糖尿病など)
た婬’従祿牡擬

に対するタミフルの予防投与が、一応は認められています。ただし、この場合は保険適用外(自費)です。予防の基本はワクチン接種、と明記されています。
 
タミフルと異常行動の関係性については、未だに決着がついていません。厚生労働省の作業部会によって「異常行動と関連づけられるデータは今のところない」とする中間結果が発表されて以降、さまざまな意見があります(現在も結果は先送りしていますが)。

飛び降りなど重度の異常行動を起こしたインフルエンザ患者は、2006年〜2007年にかけての流行シーズンに137人いたが、治療薬タミフルを服用していたのは60%で、38%は服用していなかったと調査結果は発表されています。

このことを受けて、作業部会メンバーの内山真日本大教授は記者会見で「インフルエンザで異常行動が起こりうることが分かった。薬が直接何かを起こしているという可能性は小さいことを示唆するデータ」と述べています。

さらに、タミフルの10代への処方中止をした後も異常行動は減ったとは言えない、と分析しています。この結果を考えると、インフルエンザ脳炎・脳症のリスクの方が考えられるのではないか、と推定しているようです。

今後、毎シーズンのようにこうした問題が議論されていくのでしょう。しっかりと手洗いうがいを心がけ、ワクチン接種を行って「罹らないようにする」という努力が重要であると思われます。特に、お子さんや高齢者のいらっしゃるご家庭ではお気をつけ下さい。

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