「ふとんに入ると全身がかゆくて、夜眠れない」「かゆみを我慢できずかきむしっていたらひどい湿疹になった」

東京・板橋の東京都老人医療センターには、11月中旬ごろから、こんな症状を訴え皮膚科を受診する高齢者が急増する。種井良二・皮膚科医長は「かゆみが起こりやすいのは、皮脂が少ないスネや腕の外側、腰などで、カサカサして白い粉を吹いたようになっていることもある」と指摘する。

肌が乾燥するとかゆみを感じるのはなぜか。

人間の皮膚の一番外側にあって、外部の刺激から体を守り、生体内部の水分を保つ働きをしているのが表皮の角質層だ。「角質層ではセラミドや天然保湿因子、皮脂が三位一体となって水分の蒸発を防ぐバリア機能を果たしています。しかし、加齢とともにこれらが減少しバリア機能が低下するため、高齢者は肌が乾燥しやすく外部の刺激に敏感になり、かゆみを感じやすくなります」と種井さん。

また、エアコンが普及し気密性の高い住宅や全館空調のオフィスにいることが多くなった近年は、高齢者に限らずかゆみを訴える人が増えている。特に女性の場合は、早い人では20代から皮脂が減り始めるので注意が必要だ。

冬場の乾燥によるかゆみを防ぎ、症状を改善するには、日常生活でのケアが大切だ。
 
乾燥対策のポイントは入浴の仕方。入浴時にタオルで体をゴシゴシこすると皮脂が失われてしまうので洗いすぎは禁物。特に高齢者は手のひらで優しく洗うように心がけたい。保湿成分入りの入浴剤を活用するのも効果的だという。

入浴後は、肌が乾かないうちに、かゆくなりやすい部分を中心に、保湿用のクリームやローションを。手のひらでのばして、強くこすらず皮膚に浸透するように優しく塗るのが肝心だ。

種井さんは「かゆみがひどくてかきむしり、湿疹ができてしまった場合にはステロイド入りの外用薬と保湿剤を併用してみるのもいいでしょう」とアドバイスする。

乾燥した皮膚は敏感になっているので、衣類が肌にこすれたり、下着で締め付けられるなど、わずかな刺激がかゆみの原因になることもある。衣類による刺激を避けるため、チクチクするウールや化学繊維は身につけず、肌に優しい木綿製の下着を着用したい。

もちろん室内の乾燥を防ぐことも忘れずに。加湿器の使用や洗濯物を室内に干すなどして、湿度を50〜60%に保つことが大切だ。

ただし、こうした対策をとっても、かゆみが改善しない場合は注意が必要だ。種井さんは「冬のかゆみの原因は多くが乾燥によるものだが、糖尿病や肝臓・腎臓病など別の病気に起因する場合もある。スキンケアで改善しない場合や、頑固なかゆみが続くときは、早めに専門医を受診してほしい」と話している。
(冬のかゆみ、日常生活でケア)


皮膚掻痒症とは、発疹がなく、皮膚に痒みを感ずる疾病を指します。特に、全身に痒みを伴うのは、汎発性皮膚そう痒症といい、環境の乾燥や高齢による皮膚の乾燥、薬物、食品、内臓疾患(肝障害、腎障害、甲状腺機能異常のほかホジキン病などの悪性腫瘍がある)などにより生じます。

上記にもありますが、加齢とともに角質層におけるセラミドや天然保湿因子、皮脂などが減少し、水分保持やバリア機能としての機能が低下してきます。その結果、かゆみがあるために引っ掻く→さらに皮膚が傷つき、乾燥しやすく外部の刺激に敏感になり、かゆみが増す→また引っ掻く→…という悪循環に陥ってしまいます。

そもそも、かゆみとは以下のようなメカニズムで起こっていると考えられています。
かゆみとは、表皮真皮境界部に存在する知覚神経線維(C線維)ネットワークが何らかの刺激により活性化され、その刺激が大脳皮質の感覚野に達することにより生じる(末梢性のかゆみの場合)と言われています。

そのため、バリア機能をもっている角質が爪破(引っ掻く)されることで破壊されると、もっと刺激に敏感になり、余計にかゆくなってしまう、と考えられます。ちなみに、「垢すり」などがマッサージとともにされている所があるかと思われますが、あれは垢を落としているのではなく、表皮の角層部分をバリバリと剥いでしまっているので、皮膚の炎症や乾燥肌を増悪させてしまう恐れがあると思われます。

同様にバリアー機能の破壊が、アトピー性皮膚炎の患者さんでも起こっているといわれています(表皮表層の細胞間脂質(セラミド)の減少に伴う皮膚の乾燥とバリア機能の傷害)。故に、アトピー性皮膚炎では、スキンケア(皮膚を清潔に保ち,乾燥させない)が重要であるといわれています。

私も、毎年のように乾燥肌に悩んでいます。最近はスキンケア(保湿クリーム)をしっかりとすることでようやく落ち着いてきました。お困りの方も、結構いらっしゃるのではないでしょうか。しっかりとスキンケアをし、部屋を乾燥させないことなどが重要であると思われます。

【関連記事】
アトピー性皮膚炎も「電流」で分かる?

生活習慣と密接な関連がある 「痔」の予防と治療