AP通信などによると、スポーツ界では禁止されているステロイド(筋肉増強剤)を使用した疑いのある人物に、ヒップホップ・ソウルの女王、メアリー・J・ブライジ(37)や、ラッパーの50セント(32)らの名前があがっている。

ステロイドはスポーツ界では筋肉増強がフェアなプレーを損なうことにつながるが、芸能界では、筋肉の増強によって若々しく見せることができるという外見から使われることが多いといわれる。
(ステロイドで若返り?)


そもそもステロイドとは、ペルヒドロシクロペンタノフェナントレン環をもつ化合物の総称です。その中には、コレステロール、胆汁酸、ステロイドホルモンなどが含まれます。

ステロイドホルモンには、副腎皮質ホルモン(コルチコステロイド,C21化合物)、男性ホルモン(アンドロゲン,C19化合物)、女性ホルモン(エストロゲン,C18化合物)があります。上記にある"ステロイド"とは、蛋白同化ステロイド(アナボリックステロイド)を指します。

この蛋白同化ステロイドは、男性ホルモン製剤と蛋白同化ステロイドは連続的なものであると言われています。男性化作用が強いものは男性ホルモン(アンドロゲン)と呼ばれ、蛋白同化作用が強いものは蛋白同化ステロイドと呼ばれます。

この蛋白同化ステロイド(アナボリックステロイド)は、その名称通り、蛋白質の同化を促進します。すなわち、筋肉や肝臓、腎臓、その他の諸組織の増殖、肥大を促します。他にも、アミノ酸の異化や血中脂質濃度を低下、骨からのカルシウム放出を抑制する作用があります。

治療としては、再生不良性貧血、手術後や外傷、その他による著しい消耗状態の改善に使用されることもあります。ですが、上記ニュースのように、筋肉増強を目的として、スポーツマンが使用してしまうこともあります。ですが、以下のような副作用もあります。
上記にも書きましたが、作用の一つとして、蛋白質の同化を促進し、筋肉や肝臓、腎臓、その他の諸組織の増殖、肥大を促します。

臓器においては、心臓や腎臓の不必要な肥大を起こすため、機能の低下などを起こします。心臓においては不整脈の誘因となったり、突然死を起こしやすくなり、非常に危険です。また、肝機能障害を起こすことも指摘されています。

他にも、男性化作用があるため、精神神経を昂ぶらせたり、興奮、脱毛や皮膚の老化などの影響があります。また、高血圧や動脈硬化など、全身への影響が考えられます。女性が使えば、外征器の異常や月経不順、無月経などの問題も起こってきます。

上記ニュースでは、若返りや体作りに用いている場合が多いようですが、長期的に見れば逆効果で健康には決して良くないものである、ということをしっかりと認識していただきたいと思います。

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