平成18年の分娩などに関する重大な医療事故や過誤の報告事例は369件で、うち死亡例は62件だったことが日本産婦人科医会の調査で分かった。前年と比べて全体で約6割の増加となったが、報告制度の浸透や、「事例ゼロ」でも報告を求めてきたことが原因とみている。出産に絡む訴訟の主な要因になっている新生児の脳性まひも目立った。

調査は大学病院など全国の医療機関4628を対象に実施。報告率は67・7%で、件数は17年より133件増えた。詳細な内容が報告された203件のうち、分娩関連が70・5%を占めた。

死亡例の内訳は胎児と新生児が計35件、妊産婦が27件。妊産婦では出産時の大量出血のほか、血栓が肺の血管に詰まる肺塞栓症や、羊水が母体の血中に入って呼吸停止などに陥る羊水塞栓症などが目立った。

一方、新生児の脳性まひは19件で、うち7件が医療訴訟に発展。訴訟は若い医師らが産科を敬遠する一因となっており、医会では新生児蘇生に関するインストラクターの養成や、脳性まひにつながる低酸素脳症防止のため、胎児の心拍数などを監視する装置の使い方の再研修などに取り組む方針だ。
(分娩事故、過誤369件 産科医会、「脳性まひ」対策強化)


脳性麻痺とは、厚生省脳性麻痺研究班では
ー胎から新生児(生後4週以内)までに起きた原因による。
脳の非進行性病変がもとで、一生継続し、しかし成長とともに多少の変化はある。
1親阿篁兩の異常で,その症状は満2歳までにあらわれ、
た聞埓の病気や一過性の運動障害または将来正常化する可能性のある運動の遅れは除く。
と定義されています。大きな特徴としては、妊娠〜新生児の間に受けた原因で、それ以後に変わらない運動や姿勢などの異常が起こったもの、と言うことができるでしょう。

最近の特徴としては、周産期医療の進歩や母体管理・新生児の医療管理の向上で、脳性麻痺の頻度は一時期低下しましたが、早期産・低出生体重児の生存率の増加に伴い、年間出生児千に対して2人とされています。他にも、いわば中間が少なくなり、軽症・重症の二極化傾向にあります。

以前は、未熟児(低出生体重児)、仮死、黄疸が三大原因とされていましたが、最近では胎生期から周産期に至る様々な病態による脳損傷が原因として考えられ、胎内感染症、奇形,胎盤機能不全、胎児仮死に引き続く新生児仮死、分娩時脳外傷、出生後の脳外傷などが要因として挙げられます。残り半数の原因は、低出生体重児にみられ、脳室周囲白質軟化症(PVL:periventricular leukomalacia)が原因であるといわれています。

脳性麻痺の症状の基本的症状は、運動発達の遅れや筋緊張,姿勢の異常です。他の随伴症状としては、聴覚障害・視覚障害、言語障害や精神遅滞、てんかん,情緒障害・行動異常などがあります。

医療的なサポートとしては、以下のようなことを考えます。
基本的には、「家族中心アプローチ」といった考えでサポートは進んでいきます。これは、生活の質(QOL)の獲得と維持には、家庭での継続的な管理が重要であり、家族全体への援助・指導が大切であるという観点からスタートしています。

家族が無理なく行え、家庭や学校での生活場面に応用でき、バランスのよい発達を促すことのできるアプローチを探っていくことが重要であると考えられます。機能訓練が重要であり、病歴や神経学的所見、画像所見などを参考にして、発達段階や個人差に応じた機能訓練を考えていきます。

年齢ごとでは、幼児期には機能訓練や保育を通じて、障害の具体的な理解や生活動作の獲得をはかり、学童期には学校教育との関係から障害の受容を進めていく、といったことが考えられます。

ただ、その前に、診断や告知に関して大きな問題があると思われます。それを受け入れられるご家族の心構えや、理解、心理状況など、多くの事柄を考慮する必要があると思われます。

たしかに、福祉サービスを享受するためにもできるだけ早期に行った方が良いというのは分かりますが、妊娠の継続や分娩という大きな仕事を終えた後に、多大な精神的なショックを与えかねない告知をするということも、非常に難しいと思われます。

出産に絡む訴訟の主な要因となっていることからも、トラブルの大きな原因となっているとも想像に難くないと思われます。

最近では、産科医不足に関連して、医師の過失を立証できなくても患者に金銭補償する無過失補償制度などの構想も考えられているようです。ですが、それ以前にソーシャルワーカや精神科との連携など、まずはご家族のサポートをするシステム作りが必要になっているようにも思われます。

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