挙げればキリがないほどメタボ対策を意識した商品が相次いで登場しているが、その背景として存在するのは、今年の4月より40歳以上の人たちにメタボ検診の健康診断が義務付けられることである。今までもダイエットブームは定期的に発生してきたが、それが一時的なブームで終焉していたのは長続きさせる外的プレッシャーが不足していたことがあると思われる。しかし、今回は健康診断という強制力が働くため、今までのダイエットブームに比べると持続性が期待でき、それゆえに、各社ともこの分野をターゲットとした商品を提供しているのであろう。

ただし、過去の事例をみるとダイエット商品で定着し、ロングセラーとなっている商品はほとんど存在しない。体脂肪を減らすということで、発売当初から大人気を博した花王の緑茶飲料の「ヘルシア」も、最近は一時ほどの勢いがないとのことで、この分野の商品での大ヒットロングセラーが容易ではないことが見て取れる。

ダイエット商品がなかなか定着化しないことの理由の一つは、その効果測定が難しいことが挙げられる。最近はヒット商品のキーワードとして、「見える化」が挙げられることが多いが、まさにダイエット商品では効果が見えにくいことから、なかなか定着化しないものだと思われる。そこで、何らかの方法で「見える化」を実現することがカギになる。

一つヒントとなるのは、任天堂のWii Fitである。これはWiiを用いて、家庭内でフィットネスができるというソフトであるが、毎日の体重や体脂肪率、そして走った距離などを記録することができるので、日々の効果の「見える化」が可能である。それが発売間もないにもかかわらず、すでに100万個以上販売された理由の一つであろう。

通常のメタボ対策商品でWii Fitのような明確な「見える化」を実現することは簡単ではないかもしれないが、そういう視点を取り入れていかないことにはどれも小粒なひと時のブームで終わる可能性が高い。
(メタボ対策商品は長続きするのか)


上記で「今年の4月より40歳以上の人たちにメタボ検診の健康診断が義務付けられる」とありますが、これは政府の医療制度改革の目玉でもある「特定健診・保健指導」のことを指していると思われます。

生活習慣病は、一般診療医療費の3割を占めると言われています。その生活習慣病の発症リスクが高まるとされるメタボリック症候群を予防するため、企業の健康保険組合や国民健康保険を運営する自治体に、40〜74歳の健診を義務化する制度を上記の「特定健診・保健指導」と称しているわけです。

だいたい、これまで行われてきた職場などでの定期健康診断に、特定健診の項目を追加する形に代えられるようです。この特定健康診査の対象となる人は、厚生労働省の推計によると5,600万人にも及ぶといわれています。そのため、対応を迫られる医療機関は大きな負担となるところも多いそうです。

保健指導の内容としては、医療機関や管理栄養士などから生活習慣病に関する知識を伝えたり、メタボリックシンドロームやその予備軍と判定されると食事や運動などの指導を、最高6ヶ月にわたり受けることになるそうです。こうした国を上げての「脱・メタボ」の動きからも、上記のようなブームが作り出されてきた、ということも言えるでしょう。

ただ、メタボリックシンドロームなるものの正体は、以下のような論争を巻き起こしていることも確かです。
メタボリックシンドロームの診断基準を決めた日本内科学会など8学会が、基準再検討へ動き出したことが分かっています。世界の人種別基準を作っている国際糖尿病連合は今年6月、日本人の基準を他のアジア人と同様に男性90cm、女性80cmとすることを発表しています。現行では、女性で90cm以上なのに対し、男性は85cm以上と、諸外国に比べても厳しい基準となっています。実は、国際的にみても、男性の方が厳しい基準となっているのは日本だけです。

内科学会はこれを受け、「早急に関係学会の意見を取りまとめて見解を出す必要がある」と再検討を呼びかけたといいます。腹囲だけでなく、他の検査数値も議論があり、「メタボリックシンドローム」が生活習慣病への認知度を上げ、国民の予防意識を高めた意味は大きいが、さらに一歩踏み込んで、科学的な検討を加えることが必要、という意見もあります。

健康診断などを受けると、こうした「検査値の異常」で悩まれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。やはり、"異常"などと言われてしまうと、「何か深刻な病気でも抱えているのではないか」と思ってしまうものです。

ですが、「検査値が正常範囲(基準値)にない=何かの病気」ということでは決してありません。健康診断や病院で行う血液検査には基準値があり、検査結果の値を基準値に照らし合わせて、正常か異常かを判断するのが一般的です。しかし、健康な人すべてが基準値の範囲内に入るのではなく、健康でも基準値から外れる人もいます。

また、日本人間ドック健診協会の試算によると、「特定健診」の結果、受診者のおよそ5割が医療機関での診察が必要になる恐れがあることが分かったそうです。

日本人間ドック健診協会は、過去1年間に全国12ヶ所の大手健診機関で人間ドックを受診し、特定健診の方法に準拠した検査を受けた約5万3,000人分のデータを分析したそうです。

結果、血圧や中性脂肪、血糖などの検査数値について、厚生労働省が医療機関を受診する目安として定めた「受診勧奨判定値」を一つでも超えた受診者の割合が、49.7%に上り、65歳以上の高齢者では、54.6%とのこと。およそ半数の人たちが「異常」とされる検査が、果たして意味あるものなのか、疑問も残ります。

たしかに、健康に注目が集まることは喜ぶべきことですが、気にしすぎるのも考えものです。数値にとらわれすぎず、「生活を見直す」といったことで、食事や運動習慣を改善する、といったことのほうが重要であると思われます。

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