俳優の唐渡亮(38)が27日、大阪市内で行われた出演映画「子猫の涙」の舞台あいさつに出席し、喉頭がんを患って闘病生活を送っていたことを公の場で初めて明かした。
 
発病は8年前。当時、キックボクシングのプロライセンスを取得したばかりだったが、選手生活を断念し、約2年半の入院中に計5回の全身麻酔手術を受けたという。
 
俳優業は、「おなかの脂肪を、やせた声帯に移植するなどして、声も出るようになった」平成16年から再開。ただ、病気のことは伏せてきた。しかし、がん完治の目安とされる5年が経過し、出身地の大阪を舞台にした作品だったため、舞台あいさつでがん克服を「言おうと決めた」という。
(唐渡亮が喉頭がん告白!8年前、声帯手術で俳優復帰飾る)


喉頭とは、喉頭とは、食物の通路と呼吸のための空気の通路との交差点である咽頭の奥で、空気専用通路の始まりの部分を指します。外から見れば、いわゆる「のどぼとけ(甲状軟骨先端)」の位置にあります。

喉頭の機能としては、咽頭に開いた空気の取り入れ口で、吸気では下の気管へ空気を送り、呼気では気管からの空気を咽頭に送ります(この空気が声帯を震わせ、発生ができるわけです)。

喉頭癌とは、その名の通り喉頭に発生する癌で、組織型からいえば、大部分が扁平上皮癌です。日本ではおよそ10万人に3人で発生し、高齢者(50歳代から80歳代まで急激に増加)に多く、男女比はおよそ10対1で、近年ますます男性の比率が高くなっているそうです。

発生因子(リスクとなるもの)としては、喫煙が重要です。喉頭癌患者さんのブリンクマン指数(1日喫煙本数×年数)は、平均1,000という大きな数値であることも統計としてでています。

原発部位により、声門上癌、声門癌、声門下癌に分類されます。喉頭癌の中でも、声門(声帯)に発生するがんが60〜65%を占め、声門上は30〜35%で 、声門下は極めて少なく1〜2%であるといわれています(声門上癌は次第に減少し、声門癌が増加しています)。

症状としては、声門上癌では咽喉頭違和感や嚥下痛(飲み込むときの痛み)、耳に放散する痛みなどが出現してきます。また、高率(約40%)に頸部リンパ節転移が認められることで、時にリンパ節腫脹が初発症状となることもあります。

声門癌では嗄声(声が、しゃがれて出しにくい)がみられます。小さな癌病変でも嗄声を起こすため、早期発見されることが多いといわれています。

声門下癌は声帯に癌が波及して初めて症状が出現してきます。初期には無症状で経過することが多く、進行して初めて嗄声や呼吸困難などの症状が出現してきます。そのため、進行例が多いといわれています。

検査や治療については、以下のようなものがあります。
スクリーニング検査として、まず最初に間接喉頭鏡検査などが行われます。口腔内に喉頭鏡という小さな鏡を入れて、「えーっ」、「いーっ」などの発声をしながら喉頭内を観察し、腫瘍性病変の有無をみます。他にも、喉頭ファイバースコープなどでも同様に行います。

確定診断としては、組織診断により行います。咽頭、喉頭を局所麻酔剤で麻酔して咽頭反射を抑制して、太いファイバースコープを用いて細かな部位まで観察し、次いで鉗子により病変の一部を採取して、病理診断を行います。

また、CTにて腫瘍の進展範囲、甲状軟骨浸潤の有無、頸部リンパ節転移の有無などを検討して進行範囲などをみます。

治療としては、放射線療法と外科療法が2本の柱となります。外科療法は、がんの原発部位の周辺だけを切除する喉頭部分切除術(早期癌などに)と、喉頭をすべて摘出する喉頭全摘出術(進行癌などに)に分けられます。

最近では、従来は標準治療として喉頭全摘出が行われていた症例に対しても、放射線と多剤化学療法との同時併用治療を行い、喉頭の温存をはかる治療も行われています。

喉頭部分切除では、切除範囲により嗄声の程度はまちまちですが、声を失うことは免れることができると考えられます。唐渡さんの場合も、声帯は温存されていたのではないか、と考えられます。

その後、多くの手術を乗り越え、復帰なさったようです。今後ともご活躍なされることを応援させていただきたいと思います。

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