札幌大は29日、男女の学生3人がはしかを発症したとして、2月5、6の両日、大学内で行う5学部すべてのA日程入学試験の会場を、ホテルロイトン札幌に変更すると発表した。

全受験生約1000人のうち、800人以上が影響を受けるとみられる。札幌大によると、はしかで入試の会場を変更するのは全国初という。
(はしかで入試会場をホテルに変更 800人に影響)


昨年は特に成人の麻疹流行が問題となりました。2007年6月までに、高校34校、高専18校、大学54校が休校し、高校・高専・大学のみで1337人の患者が発生したことで、麻疹ワクチンが見直されるようになりました。

流行の特徴としては、15歳から29歳の世代で全体の8割近くを占めるという点です。この背景として、定期接種世代の時点で使用されていた、MMRワクチン(麻疹、流行性耳下腺炎、風疹の三種混合生ワクチン)の副反応の影響による接種率の低迷や、ワクチンを接種していても抗体価が低下して発症した、といったことがあると考えられます。

MMRワクチンは、1988年から定期接種が開始されましたが、ムンプス(流行性耳下腺炎)ワクチンを原因とする、無菌性髄膜炎の発症率が想定以上に高かったため、1993年に接種が中止されました。その後、MMRワクチンからムンプスワクチンを除いたMRワクチンが2005年6月に認可され、2006年4月から定期接種されるようになりましたが、その間の接種率低下が、麻疹流行の一つの原因として考えられます。

また、麻疹に罹患したことのある人や、ワクチン接種を行った人は終生免疫を獲得するとされていましたが、ワクチン接種を行っていても十分な抗体価を得られない場合や、麻疹ウイルスに曝露しないまま長く経過すると、抗体価が低下してしまいます。

そのため、現在ではMRワクチンを2回接種することで、ブースター効果(対象ウイルスに接触することによりさらに抗体価が上昇する効果)を発生させ、抗体価を上昇させています。

麻疹の他の特徴としては、以下のようなものがあります。
麻疹は発熱および発疹を主徴とする疾患で、ヒトに対する感染力はきわめて強いといわれています。ですので、感染=発症という経過をとる例が多いと考えられています。ゆえに、「麻疹の既往がない」「予防接種を受けていない」「周囲に麻疹患者がいた」という人は、要注意なわけです。受験生に万が一のことでもあったら、と考えると、大学が講じた措置も、決して大仰なことではないと思われます。

上記でも書きましたが、2006年4月からは麻疹風疹混合生ワクチンの2回接種(第1期は生後12−24か月の間、第2期は5歳以上7歳未満で小学校就学前の1年間)が開始され、麻疹流行防止への第一歩は踏み出されたと思われます。

ですが、母からの移行抗体が減衰してからワクチン接種年齢になるまでの乳幼児(6か月頃から12か月)の麻疹と、自然麻疹との接触機会が減少したためブースター効果が得られず防御能力が不十分になるため発症する成人麻疹の、二峰化傾向のある発生パターンはしばらくは続いていくと思われます。

ただ、麻疹は根本的な治療法はなく(基本的に対処療法)、また重症化の可能性がないとはいえませんが、基本的には自然治癒する疾患です。必要以上におそれることはないといえるでしょう。今のところは、接種がきちんと行われ、麻疹が撲滅の道を歩んでくれることを祈るしかないと思われます。

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