東京都の会社員、斉藤勝美さん(63)は、2006年の年末、のどが痛み、夜にはせき込むなどの症状が出た。日中は治まり、熱も出ない。急ぐこともないと、年明けに内科を受診した。内科医も「のどが赤いので、風邪かもしれませんね」と、抗生物質を処方した。けれども、症状は変わらなかった。

のどに魚の小骨がひっかかるような感じもしたが、痛みはない。友人から「おいしい日本料理を食べよう」と誘われたので、「ひっかかった骨を取ってから」と、近くの耳鼻咽喉科を受診した。

医師は、「のどに腫瘍があります。専門の病院を受診してください」と顔色を変えた。医師と相談して選んだ東京医科歯科大(東京都文京区)の頭頸部外科で2007年2月、のどの「下咽頭がん」と診断された。

咽頭は、鼻の奥から食道に続く空気と食物の通り道で、鼻の奥の上咽頭、口の奥の中咽頭、のどぼとけの後ろ側から食道に続く下咽頭に分かれる。

斉藤さんの場合、転移はなく、がんは下咽頭にとどまっていた。教授の岸本誠司さんは、抗がん剤でがんを小さくしてから手術で取る計画を立てた。治療を始めると、がんはみるみる小さくなったため、手術はせず、抗がん剤と放射線だけで治療することになった。

約2か月間入院し、35回の放射線治療を受けた。抗がん剤の点滴で髪が抜け、便秘に悩まされた。がんは消えたが、当初は、放射線治療でのどがひりひりし、食事ものどを通らない。鎮痛薬が手放せなかった。3か月たつと、痛みは消え、髪も少しずつ元に戻ってきた。

下咽頭がんは、進行すると、声帯のある喉頭や食道の一部も摘出する大がかりな手術が必要になる。早く見つかるほど、負担の少ない治療で済む。進行するまで症状が出ない人もいるが、「症状を重く考えず、食べ物がのどを通らなくなってから受診する人も多い」と岸本さんは嘆く。

食事中、のどのいつも同じ場所にしみる、ひっかかるなどの感じが2週間以上続いたら、耳鼻咽喉科を受診する。しわがれ声になることもある。食道がんになった人は、下咽頭がんにもなりやすいので、定期検査が必要だ。

「すぐに耳鼻科に行って良かった。巡り合わせも良かったと、感謝しています」と斉藤さんは振り返る。
(「ひっかかる感じ」で受診)


下咽頭癌に関しては、最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学でも扱われていました。

番組の方でも、上記と同じような症状が現れていました。
1)喉の違和感
食事をしている際、物を飲み込んだ時に違和感を感じるようになりました。まるで喉に何か詰まっているような感じがしました。
2)喉に小骨が刺さったような痛み
喉の違和感は続いていましたが、その症状にも慣れてしまい、気にしなくなってしまった頃、今度はまるで、喉に小骨が刺さったようなチクチクした痛みを感じるようになりました。
3)耳の奥にキュッとしまるような痛み
喉の痛みを感じ始めてから3ヶ月後、耳の奥に突然、鋭い痛みが走り、中耳炎にでもなったのではないかと思うような症状がおこりました。
4)喉に染みるような痛み
違和感が出てから6ヶ月経過した時、喉に焼けつくような痛みが出始めました。自分でも「おかしい」と感じ始め、家族の薦めもあって耳鼻咽喉科を訪れました

「小骨が刺さっているかのような痛み(違和感)」というのも、一致しています。咽頭とは、鼻腔および口腔、食道および喉頭との間にある筋肉で構成された管を指し、下咽頭は「のど」の一番底の部分です。ここに腫瘍が発生することで、まるで「のどに小骨が刺さった」かのような違和感を感じるわけです。

下咽頭癌は、進行型が多いため、頭頸部癌の中でも治療成績が特に不良であることで有名です。初診時に50〜60%の症例は、頸部リンパ節転移を伴っているというデータもあります。

症状としては、「食事をしている時に、食べ物がひっかかる感じ」「飲み込むときに痛い」といったものがあり、こうしたケースでは検査を行う必要があります。

喉頭内視鏡では、早期の癌や粘膜面の広がりの観察に有用であるといわれています。頸部食道造影検査は病変の大きさや梨状陥凹先端部の病変、誤嚥の有無の診断に役立ちます。CTやMRIは、喉頭内あるいは軟骨浸潤、下咽頭外への進展の有無、頸部リンパ節転移の検索のために行います。確定診断は、生検による病理診断で行います。

治療としては、以下のようなものがあります。
早期癌では、斉藤さんのように放射線療法を行います。頸部にリンパ節転移が明らかでない比較的早期の場合(I、挟)や、掘↓鹸でも手術ができない場合に放射線治療を行います。

進行期では、喉頭を含む下咽頭の切除が必要になることが多いです。切除後の欠損部分には、形成外科的な再建(遊離空腸や前腕皮弁など)を行います。下咽頭癌では、放射線や抗がん剤だけで完治する数は少なく、現時点において手術が下咽頭がん治療の中心となっています。

手術法としては、下咽頭・喉頭・頸部食道切除術や下咽頭・喉頭・全食道抜去術、下咽頭部分切除術、これらに頸部郭清術(頸部のリンパ節に転移していたり、転移している可能性が高い場合に行う手術)を組み合わせたりします。

手術の場合、話したり、食物を飲み込んだりできなくなります(ただ、一部のT1症例では喉頭保存が可能)。また、大きく切除するほど、機能が悪くなります。さらに、5年生存率も鬼で約70%、挟郡で40〜50%、IV期で30%弱と、やはり機能や生存率を考える上でも、早期発見・早期治療が必要です。

上記のような症状がある場合、すぐに耳鼻咽喉科などを訪れることをお勧めします。

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