米国家庭医学会(AAFP)によると、抗うつ薬の使用を中止したいときは、まず医師に相談することが重要だという。医師は、服薬からの段階的な離脱を勧めることもある。
 
服用を急に中断すると、抗うつ薬中断症候群(antidepressant discontinuation syndrome)と呼ばれるさまざまな症状の引き金となることもある。この症状には以下のようなものがある:
・不安感
・抑うつ、悲哀感
・不機嫌、いらだち
・疲労
・頭痛、めまい
・吐き気、嘔吐
・下痢

抗うつ薬が原因で不快な副作用がある場合は、医師に用量を減らしてもらうか、全く別のタイプの抗うつ薬を処方してもらうこともできる。
(抗うつ薬の服用は勝手に止めない)


うつ病に対しては、抗うつ薬の服用が行われ、臨床的にその効果が実証されていると考えられています。ただし抗うつ薬の効果は必ずしも即効的ではなく、効果が明確に現れるには1〜3週間の継続的服用が必要です。

抗うつ薬のうち、従来より用いられてきた三環系あるいは四環系抗うつ薬は、口渇・便秘・眠気などの副作用が比較的多いです。これは、抗コリン作用、抗α1作用なども併せ持っているため、こうした副作用が現れると考えられます。

さらに、三環系抗うつ薬の場合、大量服用時にQT延長や急激な徐脈などの致死的な不整脈をきたす可能性があります。四環系抗うつ薬では、抗コリン作用や心毒性が比較的弱いといわれています。

近年開発された、セロトニン系に選択的に作用する薬剤SSRIや、セロトニンとノルアドレナリンに選択的に作用する薬剤SNRI等は副作用は比較的少ないとされています。ですが、臨床的効果は三環系抗うつ薬より弱いとされています。また、不安・焦燥が強い場合などは抗不安薬を、不眠が強い場合は睡眠導入剤を併用することも多いです。

ただ、SSRIであるフルボキサミン、パロキセチンはセロトニン受容体を刺激するため、投与初期に不安、焦燥や不眠を引き起こしたり、性機能障害などを生じることがあります。

また、肝臓の薬物代謝酵素チトクロームP450の阻害による薬物相互作用をきたしやすく、セロトニン症候群や薬物中止による離脱症状の可能性もあります。さらに、パロキセチンが18歳未満の大うつ病性障害患者において自殺念慮、自殺企図のリスクを増加させるとの報告があり、使用を控えるべきであるといわれています。

治療における注意点としては、さらに以下のようなものがあります。
抗うつ薬による副作用が、顕著な場合には原因薬剤の漸減・中止を考慮します。その際、他の抗うつ薬への切り替えが原則となります。副作用に対する、安易な併用療法(副作用のために薬剤を使うといったこと)は避けるべきであると考えられます。

上記の内容にもありますが、抗うつ薬の減量・中止時には、抑うつ症状の増悪や、再燃の危険性・離脱症状出現の可能性があります。ですので、事前に減量時の危険性を十分説明し、患者や家族に対して理解を求めることが必要です。

薬を止める時には、慎重に漸減中止(段々と薬の量を減らしていく)を行います。くれぐれも、一気に止めてしまう、ということではなく、医師と相談して中止することが勧められます。

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