一体どのくらいの確率なのだろうか?黄斑変性症により法律上で失明とされた男性(92)が、クリアウォーター・カントリークラブでホールインワンを達成した。

ホールインワンを成し遂げたのは、ゴルフ暦60年のレオ・フィアルコ氏(92)。彼自身も初めてのことだという。5番アイアンで110ヤードを飛ばしてホールインワンとなった。

「初めてです。ホールインワンなんて見たこともない。グリーンにのせようと思って打っただけです」とフィアルコ氏は話している。
(法律上失明の男性ゴルファーがホールインワン)


黄斑変性とは、網膜の黄斑部に限局した変性をいいます。ただ、網膜全体に変性があり、その変化が特に黄斑部に強いものも黄斑変性と呼ぶ場合があります。

先天性、遺伝性の変性(遺伝性黄斑変性)であるベスト病(優性遺伝)、模様ジストロフィー(優性遺伝)、中心性輪紋状脈絡膜ジストロフィー8優性遺伝)、良性中心性輪状黄斑ジストロフィー(優性遺伝)などがあります。後天性のものでは、加齢性黄斑変性があります。

特に、「加齢黄斑変性」はアメリカでは失明原因第一位の疾患となっており、重要な疾患です。日本でも、患者数としては、国内で40万人程度であり、高齢化に伴ってさらに増えてくると思われます。久山町研究では、少なくとも1眼に加齢黄斑変性を有する人は50歳以上の人口の0.87%を占めていたそうです。

加齢黄斑変性とは、加齢に伴い網膜の中心にある「黄斑」と呼ばれる部分に異常が生じる疾患です。網膜の中心部は黄斑とよばれ、ものを見るときに最も大切な働きをします。この黄斑の働きによって私達は良い視力を維持したり、色の判別を行ったりします。つまり、この部分に異常をきたすと、長い間かかって視力が低下していきます。

加齢黄斑変性は「萎縮型(新生血管の関与がなく、網膜色素上皮細胞や脈絡膜毛細血管板の萎縮を来す)」と新生血管が関与する「滲出型」とがあります。このうち主に治療の対象となり、また高度の視力障害をきたすために問題となるのは滲出型です。

滲出型では、増殖組織を伴った新生血管から黄斑に出血や滲出を生じ、最終的には瘢痕化して、視力の著明な低下や中心暗点をきたします。

原因としては、活性酸素の関与が考えられています。活性酸素によるダメージを受けると、やがて網膜の細胞の一部がはがれ落ち、老廃物となって網膜の下にたまっていきます。この老廃物が、「ドルーゼン」と呼ばれるものであり、ドルーゼンができると、網膜の奥から新しい血管(新生血管)が生えやすくなる、というわけです。

症状としては、黄斑は、自分が最も見たい視野の中心を見るために必要な部分であるため、この部分に異常をきたすと、視野の中心がぼやけ、日常生活に大きく支障をきたしてしまいます。最初は物がゆがんだり小さく見えたり暗く見えたりします(変視症といいます)。また急に視力が低下する場合もあります。黄斑部に病気が限局していれば通常見えない部分は中心部だけですが、大きな網膜剥離や出血が続けばさらに広い範囲で見えにくくなります。

検査所見や治療としては、以下のようなものがあります。
加齢黄斑変性は、50歳以上であり、かつ、蛍光眼底造影での脈絡膜新生血管の存在があった場合、診断を確定します(滲出型の場合)。一方、萎縮型では直径175μm以上の境界鮮明な網膜色素上皮−脈絡膜毛細血管板の萎縮といった病巣の存在によって、診断をします。

上記の蛍光眼底造影では、インドシアニングリーン蛍光眼底造影が有用であるといわれています。これは、インドシアニングリーンを静注して、赤外線蛍光を撮影する方法です。脈絡膜血管(脈絡膜とは、眼球血管膜のうち、眼球の後ろほぼ5/6に相当する部分で、網膜と強膜の間にある黒褐色の膜)の造影に適しているといわれています。

治療としては、脈絡膜新生血管が中心窩を外れている場合はレーザー抗凝固を行います。また、硝子体手術を行う場合もあります。

最近では、光線力学療法といって、「ベルテポルフィン」という薬を静脈に点滴注射後、レーザーを照射する治療法があります。「ベルテポルフィン」という薬は、新生血管に集まり、レーザーが当たると化学反応を起こして活性酸素を発生、血管内から破壊します。発熱しにくいレーザーを用いるので、網膜への影響がほとんどないという利点があります。

ただ、日焼けを起こす光線過敏症などの副作用の心配があるため、初回治療には3日間の入院が義務づけられています。

上記のニュースは、多くのビックリする要素を持っていると思われます。偶然、の一言では片付けられないような、何かの力が働いたとしか思えないような事例であると思われます。

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