日赤は9日までに、献血者の健康増進を図るため献血の際に無料で実施している血液検査に、糖尿病の疑いがあるかどうかが分かる項目を新たに加える方針を決めた。早ければ今夏から実施する。

糖尿病が予備軍も含めると約1600万人に上るとされ、今や国民病となったことを受けた対応。関心の高い検査項目の追加で、深刻化する献血者の減少傾向に歯止めをかける狙いだ。

学生やフリーター、専業主婦など、勤め先の定期健診などを受けられない層にとっても早期発見、治療のチャンスとなりそうで、日赤幹部は「結果的に健康な献血者の確保にも役立つ」としている。

日赤によると、献血時の無料検査は昭和57年から実施。コレステロールや、肝機能障害の指標となるGPTなど7項目の値をチェックし、約2週間後に結果を本人に通知している。今回は、糖尿病の判定に使う検査項目を追加するとともに、既存の項目も見直す。費用は日赤が負担する。

糖尿病の血液検査は空腹時の血糖値を測定する方法が一般的だが、空腹での献血は体調に悪影響が出る恐れがある。このため日赤は、飲食した後の測定でも問題ない検査方法を導入する方針。

厚生労働省生活習慣病対策室によると、糖尿病は食生活の変化で若い世代にも広がっているが、自覚症状が少ないため治療が遅れ、合併症や後遺症が出るケースが増えている。
(献血で糖尿病発見 日赤、今夏にも実施へ)


糖尿病とは、インスリンの絶対的もしくは相対的不足により引き起こされる、持続的な高血糖状態を指します。自己免疫的機序により発症する1型糖尿病と、それ以外の原因による2型糖尿病に大別できます。

1998年の厚生省による全国調査では、糖尿病患者数は690万人であり、40歳以上では10人に1人が糖尿病である計算になります。いわば国民病ともなった病気です。最近では、糖尿病性腎症により慢性腎不全に陥り、血液透析導入のトップになっています。

1型糖尿病は、自己免疫的機序により、膵臓のインスリン産生を行っているβ細胞の傷害によって起こると考えられます。故に、絶対的なインスリンの不足(産生自体が難しくなるため)が起こってきます。

臨床的には突然発症するかのように見えますが、発症に至るまでに、比較的長期にわたり、β細胞が序々に破壊されるという過程が存在します。1型糖尿病の基盤として、免疫現象に深く関わっているHLA分子の多型に代表される遺伝因子が関係しているといわれています

一方、2型糖尿病とは、生活習慣が大きく関わっており、慢性的な高血糖状態やインスリン抵抗性(インスリンが多く分泌されていても、効かない状態)により、相対的なインスリン不足状態を指します(分泌自体はあっても、作用が追いつかない状態)。その後、インスリン分泌不全も起こってくる可能性があります。

糖尿病患者の90〜95%は2型糖尿病に属しています。こちらは、遺伝的素因に加齢、過食、肥満、運動不足やストレスなどの環境因子が後天的に加わって発症する疾患です。

原因としては、遺伝的因子と環境的因子の両方がいわれています。多因子遺伝疾患と考えられており、現在は多数の候補遺伝子が報告されています。環境因子としては、肥満、過食、ストレス、薬剤、ウイルス感染などがあります。

症状としては、高血糖により口渇、多飲、多尿、脱水を生じ、重症例では昏睡などの意識障害をきたします。インスリン作用の不足により、体重減少、筋萎縮などをきたすこともあります。

いわゆる3大合併症としては、糖尿病網膜症による視力障害(失明に至ることも)、末梢神経障害による知覚障害や自律神経障害、糖尿病性腎症による浮腫、腎不全などが起こりえます。

検査や治療としては、以下のようなものがあります。
日本糖尿病学会(1999)では、
/鏤血糖値が200mg/dL以上
空腹時血糖値が126mg/dL以上
75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値が200mg/dL以上

のいずれかがあれば"糖尿病型"とし、
・違う日の検査で糖尿病型が2回確認されるか、
・1回の確認でも糖尿病の特徴的な症状がある。
・HbA1C6.5%以上、または糖尿病網膜症がある。

こうした場合、糖尿病と診断します。

HbA1cは、HbAのβ鎖のN末端アミノ酸にグルコースが結合したもので、HbA1の大部分を占めます。簡単に言ってしまえば、ヘモグロビンにくっついている糖を検出して、普段、どれくらいの血糖値になっているのかを調べる検査です(具体的には、ヘモグロビンが糖化されると、より陰性に荷電するため、HbAの主要成分であるHbA0と区別することができ、これをHbA1と総称しています)。

正常値は4.3〜5.8%であり、HbA1は赤血球の寿命(120日)から、過去1〜2か月間の平均血糖値を反映すると考えられています。これは直前の食事などに左右されることはないという利点があります。同様な指標に、グリコアルブムミンがあり、過去約2週間の平均血糖値を反映し、HbA1c(ヘモグロビンA1c)より短期的な血糖管理指標として用いられるものもあります。

「検査も一緒にしますよ」というアピールをしないと、献血してくれる人が少ない、というのも寂しい話ではありますが、「糖尿病が気になる」という方には、有用な上に、献血に貢献できる、という一石二鳥のありがたいサービスかもしれませんね。

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