茨城県つくば市の「筑波メディカルセンター病院」(石川詔雄院長)で平成4年に行われた心臓手術の際、医師が患者の体内にガーゼを置き忘れ、約9年後の再手術で取り出していたことが8日、分かった。患者は再手術から約3年後、心不全で死亡。病院はガーゼと死因に因果関係があった可能性を認めている。

病院によると、手術を受けたのは同県内の当時73歳の女性。心筋梗塞や狭心症のため、4年6月に心臓の冠動脈バイパス手術を受けた。手術後、女性は入退院を繰り返したが症状が悪化し、13年2月に再手術。その際、心臓の裏から約30センチ四方のガーゼが折りたたんだ状態で見つかった。女性は16年1月に心不全で死亡した。

石川院長は「ガーゼが体内にあったことで心臓を圧迫した可能性はあるが、どの程度影響があったかは分からない」と話している。
(心臓の裏にガーゼ9年 死因との因果関係は)


最近では昨年12月に群馬県の県立がんセンターで、手術をした患者の腹部に吸引用の管の一部を残したままにする医療ミスがあったことがありました。

8月にも、兵庫県伊丹市の病院で甲状腺眼症治療のため眼窩の骨を削る手術を受けた患者さんの眼球の下付近に、止血用ガーゼを置き忘れる医療ミスが少なくとも4件あったと発表しされており、いずれも当時10〜30代の女性で、手術後、副鼻腔炎などを発症してしまうというケースもありました。

2003年のNew England Jarnal of Medicineに、Gawandeらが「手術後の異物置き忘れ群とコントロール群を比較した研究」という発表がなされています。この発表では、緊急手術や、予期せぬ手技の変更、ガーゼ・器具のカウントがなかった、患者の体格指数が高い、といった場合に、異物置き忘れが有意に高いということが分かったそうです。また、医師同士、医師と看護師のコミュニケーション不足が背景にあるとも考えられます。

せっかく手術が成功したのに、また手術をしなくてはならなかったりと、術中の置き忘れは大きな問題であると考えられ、基本的なことながら、やはり確認作業が非常に重要であると思われます。

上記の手術である冠動脈バイパス術とは、以下のようなものを指します。
狭心症や心筋梗塞の多くは、冠動脈狭窄・閉塞により発症し、その治療法は薬物治療、経皮的カテーテルインターベンション(PCI)、冠動脈バイパス手術(CABG)などがあります。

最近では、薬剤溶出性ステント(DES)の使用により、再狭窄率の著明な減少が期待され、経皮的カテーテルインターベンション(いわゆるカテーテル手術)の進歩が目立っています。

一方、外科的手術では人工心肺を使用しない冠動脈バイパス手術が普及し、手術成績も向上し、安定した治療手術となっています。冠動脈バイパス手術のメリットは、確実な血行再建が望め、動脈グラフト使用の場合の良好な長期予後が得られる、という点があります。一方で、カテーテル手術と比べて、麻酔・手術の侵襲がまだ大きいのが欠点であるといえるでしょう。

適応となるのは、以下のような場合です。
ヾЬ動脈造影上75%以上の狭窄を有する。
3枝病変(重症)
typeC(狭窄長が20mm以上、高度の蛇行、石灰化、3ヶ月以上経過した完全閉塞病変、大きな分枝が保護できない病変など)を有する多枝病変
jeopartized collateralを有する病変
ズ諺芦執垰(LAD)中枢病変を有する多枝病変
PCIによる急性閉塞および再狭窄例、PCI困難例

などです。一般的には、左主幹動脈などの重症冠疾患の治療では冠動脈バイパス術がとられることが多いようですが、最近ではこういった症例にもカテーテル手術が応用されており、ますます冠動脈バイパス術の対象は狭められているそうです。

上記ニュースでは、死因との因果関係を病院は可能性として示唆しているようですが、再発防止のため、しっかりとした事故の調査や対応が求められます。

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