青少年の流行が問題となっている「はしか」撲滅に向けた「麻しん対策推進会議」第1回会合が12日、東京・霞が関の厚生労働省で開かれ、国立感染症研究所に自治体向けの支援チームを設けることなどを決めた。

会議では、専門家から、昨年の10〜20代のはしか大流行はワクチン接種の不徹底を原因とみる指摘が相次いだ。さらに2005年(平成17年)時点で、WHO(世界保健機関)加盟国でワクチンを2回接種している国が89%にのぼることや、米国やカナダを訪れた日本人が発症し、日本がはしかの“輸出国”となっている現状が報告された。

日本は平成24年までのはしか撲滅を目標にしており、18年4月から2回接種を開始。今春から高3と中1への追加接種も実施するが、免疫を持たない大学生などの若い世代へ接種の推奨が課題となっている。

このため、すべての都道府県に「麻しん対策会議」を設置し、接種を徹底させるほか、国立感染症研究所に「麻しん対策技術支援チーム」を立ち上げ、疫学調査や流行時の対応などの情報発信を進めることを決めた。
(はしか対策会議第1回会合 日本が“輸出国”と報告)


「麻疹の輸出国」とは、何とも不名誉なレッテルですが、現在の状況を鑑みると「それもやむなし」、といったところでしょうか。昨年の6月に日本への旅行から帰国した21歳のアメリカ人男性が麻疹を発症し、翌日にこの男性と会った別の20歳代の男性も発症したそうです。

昨年から15歳から29歳の世代で全体の8割近くを占めるという特徴をもった流行がみられました。この背景として、定期接種世代の時点で使用されていた、MMRワクチン(麻疹、流行性耳下腺炎、風疹の三種混合生ワクチン)の副反応の影響による接種率の低迷や、ワクチンを接種していても抗体価が低下して発症した(1度ワクチン接種を受けたが、抗体価が低下し、発症した場合など)、といったことがあると考えられます。

2006年4月からは、麻疹風疹混合生ワクチン(MRワクチン)の2回接種(第1期は生後12〜24か月の間、第2期は5歳以上7歳未満で小学校就学前の1年間)が開始されています。そのため、日本でもその排除へ向けて一歩前進したのではないでしょうか。

2回接種の施行においては、その実際の予防効果が出るまでには、さらに数年を要することも予想されますが、麻疹発生数はさらなる減少に向かうと期待されます。少なくとも、昨年のような流行は、みられなくなっていくのではないでしょうか。

ですが、現在の所は麻疹に罹る恐れがある人もいると思われます。札幌大で、男女の学生3人が麻疹を発症したため、受験会場を変更せざるを得ない、という騒動もありました。

「麻疹に罹ったのでは?」と思ったら、以下のような点に注意すべきであると考えられます。
まず、麻疹の特徴として空気感染する点があげられます。空気感染は、病原微生物を含む飛沫核(直径5μm以下)で長時間空中を浮遊し、空気の流れにより広く伝播されます。結核菌や麻疹ウイルス、水痘ウイルスなどがこの形をとります。

また、麻疹ウィルスはヒトに対する感染力が、きわめて強いといわれています。ですので、感染=発症という経過をとる例が多いと考えられています。ゆえに、「麻疹の既往がない」「予防接種を受けていない」「周囲に麻疹患者がいた」という人は、要注意なわけです。

そのため、こうした心当たりがあり「もしかして、麻疹に罹ったかも」と思われる方は、病院に電話されてから受診されることが望ましいと考えられます。なぜなら、待合室に抗体価の低下した人がたまたまいて、その人たちに感染させてしまう恐れがあるからです。電話をした上で、指示を仰いでから受診した方がいいかと思われます。

麻疹を疑う特徴としては、以下のような経過を参考になさると良いかもしれません。
まず、潜伏期は10〜12日であり、その頃に周囲に感染者がいなかったか、なども重要です。

発症すると、以下のような経過をとります。
カタル期:初期症状は発熱、咳嗽、鼻汁、結膜炎などが現れます。発症後 2〜3日目にKoplik(コプリック)斑と呼ばれる、口腔頬粘膜に周囲に発赤を伴う小斑点が出現してきます。このKoplik斑の診断的価値は高いといわれています。

発疹期:発症後 3〜4日目に入ると、一度は解熱しますが、再度高熱が出現し、同時に斑状丘疹性発疹が出現してきます(二峰性の発熱が特徴的です)。発疹は耳後部、頸部から始まり、融合性をみせながら全身へと広がっていきます。

回復期:さらに2〜3日高熱が続いたのち、急速に解熱し、落屑や色素沈着を残して発疹は消退していきます。

こうした経過を経ていきます。麻疹は根本的な治療法はなく(基本的に対処療法)、また重症化の可能性がないとはいえませんが、基本的には自然治癒する疾患です。必要以上におそれることはないでしょうが、それでも予防するにこしたことはないと思われます。

不安な方は、一度病院などで検査を受けて抗体があるかどうか調べられてはいかがでしょうか。

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