「レバーのような鉄分を多く含んだ食品は、C型肝炎には良くないんですよ」

2003年、三重大病院(津市)を受診した三重県鈴鹿市のA子さん(66)は、消化器内科助教授(現・みえ消化器内科院長)の垣内(かいと)雅彦さんの説明に目を丸くした。それまで、「レバーやシジミは肝臓に良い」と思って、むしろたくさん取るように心がけていたからだ。

垣内さんによると、C型肝炎や脂肪肝の患者では鉄分を取り込む調節機能が壊れ、通常の何倍もの鉄が肝臓にたまり続けてしまう。たまった鉄がさびて肝臓を傷つけ、がんを引き起こす原因にもなることが、最近の研究でわかってきた。

健康な人にとっては体に良い、鉄分を豊富に含んだ食品も、C型肝炎の患者にとっては禁物というわけだ。垣内さんの指導では、一般女性なら1日10ミリ・グラムが適量とされる鉄分を、6ミリ・グラム程度に減らす。

また、「肝炎患者がよく使っている健康食品のなかにも鉄分を多く含むものがあり、注意が必要」と垣内さん。A子さんは1日18ミリ・グラムの鉄分を取っていたが、8種類の健康食品だけで8・5ミリ・グラムもあった。

管理栄養士のアドバイスを受け、健康食品はやめ、鉄分の多い赤身の肉や豆類は避けるといった鉄制限食を開始。肝臓の炎症を表すALT(基準値40以下)は230あったのが、健康食品をやめたら80にストンと落ち、食事療法を始めて数か月後には60台にまで下がった。

40歳で肝炎と診断され、この時までに2回肝臓がんが見つかり、アルコール注入などで治療。肝炎の進行で血小板数が下がり、インターフェロン治療ができないため、飲み薬や注射で炎症を抑える治療を続けてきた。

高齢などの理由でインターフェロン治療ができない患者や、治療でウイルスが消えなかった場合には、少量のインターフェロン注射を長期間続けるなど「肝臓を守る」治療が中心となる。鉄分制限もこの一環だ。

さらに肝臓の鉄分を減らすためには、一定量の血を採る瀉血治療もある。血液を抜くと肝臓の鉄分が血液中に放出される仕組みを利用したもので、2006年に慢性肝炎に保険適用された。

200〜400ミリ・リットルを2週間に1度か、40〜60ミリ・リットルのミニ瀉血を週に2、3回、血中の鉄分(血清フェリチン値)が十分下がるまで数か月続ける。その後は月に1〜2回のミニ瀉血を維持療法として行う。A子さんも現在月に2回、ミニ瀉血を続け、ALT値は45前後と基準値近くにまで下がった。その後、肝臓がんの再発もない。
(鉄分制限 肝臓を守る)


慢性肝炎とは、6か月以上肝臓に肝炎が持続している病態を示しています。慢性肝炎はさまざまな病因からなり、C型慢性肝炎などがその代表でです。

その内訳は、B型が約20%、C型が約75%であり、ウィルス性肝炎が多くを占めています。他にも、非B非C型慢性肝炎や自己免疫性肝炎(AIH)はそれぞれ数%存在します。慢性肝炎患者は潜在例も含め、全国で200万人程度いることが推測されています。

慢性肝炎になるとどうなるかというと、感染肝細胞に対する細胞性免疫反応が起こり続けます。結果、持続的な肝細胞壊死と、これに伴う線維化が引き起こされていきます。

具体的には、進行例では門脈-門脈、および門脈-中心静脈間の線維化が起こり、肝小葉構造が改築されていき、最終的には肝硬変へと至ります。また、線維化が進むと、肝細胞癌の合併率が高くなると考えられます。

症状や治療法としては、以下のようなものがあります。
慢性肝炎の患者さんの多くは、初期にはあまり症状を認めません。全身倦怠感、食欲不振、腹部不快感などの非特異的症状を認めることもありますが、急激に大きな症状が現れてくる、ということはあまりありません。ただ、急性増悪時には黄疸が出現するといった場合があります。

検査としては、C型慢性肝炎ではC型肝炎ウイルス(HCV)抗体が陽性となります。ウイルス血症の確認には、PCR法でHCV-RNAを測定することもあります。また、HCV遺伝子型の判定やHCV-RNA量の測定を行うことで、インターフェロン(IFN)治療効果の予測ができます。

インターフェロンは、糖蛋白質の一種で、抗ウイルス性蛋白質をコードする遺伝子の転写を選択的に誘導することにより、抗ウイルス活性などを示す分子です。B細胞活性化抑制、T細胞を介する抗体産生能増強およびナチュラルキラー活性の増強などの免疫調節機能をもつため、ウィルス性疾患の治療薬、特にC型肝炎などの治療に用いられています。

I型〜祁燭離ぅ鵐拭璽侫Д蹈鵑存在し、タイプ汽ぅ鵐拭璽侫Д蹈(α、β、ω、ε、κ)、タイプ競ぅ鵐拭璽侫Д蹈(IFN-γ)、タイプ轡ぅ鵐拭璽侫Д蹈(IFN-λ)に大別されます。現在医薬品として数種のインターフェロン(α、β、γ)が承認され、C型などのウイルス性肝炎、またいくつかの腫瘍の治療に抗がん剤や放射線と併用して用いられています。

ただ、副作用としては、発熱、だるさ、疲労、頭痛、筋肉痛、けいれんなどのインフルエンザ様症状、また投与部位の紅斑、痛みが多いです。とくに、抑うつは問題となり、注意が必要です。

こうした副作用などにより、治療を続けられなくなる可能性があります。そうした場合、上記のような治療が役に立つのではないでしょうか。もし慢性肝炎の患者さんで、鉄分摂取を過剰に行っているようでしたら、担当医の先生と相談された方が良いかもしれませんね。

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