映画監督の市川崑(本名・市川儀一)さんが13日午前1時55分、肺炎のため東京都内の病院で死去した。92歳だった。

私生活では、脚本家の和田夏十(本名・市川由美子)さんとおしどり夫婦として有名だったが、和田さんを昭和58年に亡くしていた。ヘビースモークがトレードマークだったが、晩年は「あと1、2本は映画を撮りたいから」とたばこをやめていた。
(映画監督の市川崑さん死去)


肺炎は過去50年以上に渡り、日本人の死因の第4位であり、かなりの方が亡くなっている病気です。「たかが肺炎」とあなどることは出来ません。そのため、早急に予後の不良な市中肺炎を的確に診断し、治療することが求められます。

成人市中肺炎において、生命予後に重大な影響を与える上で、患者の背景因子が非常に重要です。たとえば、高齢者、男性、ナーシングホーム居住者、そして何より合併症の存在、たとえば悪性腫瘍、肝疾患、うっ血性心不全、脳血管障害、腎疾患、および慢性肺気腫などがあると肺炎が重症化しやすいと考えられます。

肺炎とは、肺胞や肺間質に生ずる炎症のことです。原因は種々の微生物や化学物質、物理的、免疫学的要因など、さまざまなものがあります。一般的には肺の急性感染症として理解されています(ウィルスや細菌などが原因となっています)。

罹患場所によって市中肺炎(普通の生活のなかで発症した肺炎)や院内肺炎(病院で治療中の患者、他の疾患を持つ患者に発症した肺炎)と分けたり、他にも感染した細菌やウィルスなどで分類したりします。起炎微生物の種類としては肺炎球菌とレジオネラの2菌種が重症肺炎の原因菌となり、注意する必要があります。

肺炎で最も頻度の多い原因は、肺炎球菌です。特に、ウイルス感染や喫煙で気道の線毛運動によるクリアランス機構(細菌を排除する機能)が障害されると、細気管支や肺胞腔内に吸入されて、肺炎が起こってしまいます。

一般的なこうした定型的な細菌が原因の肺炎症状としては、急激に出現する発熱やせき、喀痰などが生じます。ときには、胸痛を伴います。胸部の身体所見では、打診上濁音が認められます。

症状や治療法としては、以下のようなものがあります。
臨床症状としては一般的に、喀痰や咳嗽、発熱、胸痛、息切れなどが重要です。一般細菌性肺炎(膿性痰を伴う湿性咳嗽が多い)と非定型肺炎(痰を伴わない乾いた咳が多い)では臨床像や検査所見などが異なり、治療方針も違ってくるため、両者を判別することは臨床的に重要です。

ただ、高齢者の場合、こうした症状があまり前面に出てこなく、食欲不振や自発性の低下のみが前面に立つ場合も多いので注意が必要です。

肺炎を疑ったら、まず胸部X線を撮影し、陰影が認められれば肺炎として、重症度の判定や病原微生物の検索へと進んでいきます。胸部X線で陰影の有無が判明しないときには、胸部CTが役立つ場合があります。また、胸水の存在や空洞形成なども診断には有用な所見です。

血液検査では、白血球数やCRP、赤沈、ムコ蛋白などの急性相反応の上昇がみられます。これは、炎症が起こっていることを示します。また、細菌性肺炎では白血球増加が特徴であり、マイコプラズマやクラミジア、ウイルスなどによる非定型肺炎では白血球は一般に増加しません。また、こうした非定型蓋炎では、ASTやALTなどの酵素の上昇がしばしばみられます。マイコプラズマ肺炎では、寒冷凝集素の上昇も特徴的です。

原因となった微生物は、痰を検体としてGram染色などを行います。他にも、血液培養や血清学的診断法として、抗体価の上昇などをみて同定していきます。

市中肺炎の治療薬に関しては、肺炎球菌を目標に薬剤を選択します。ペニシリン系抗菌薬が第1選択です。ですが、最近では、ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)の増加が問題となっているため、別の抗生物質を使わざるを得ないことがあります。

特に肺炎はお子さんや高齢者の方々にとって、非常に大きな問題となり得ます。お気をつけ下さい。

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