16日付ブログによると、西野は15日夜、都内で行われた音楽イベントで「リンダリンダ」を激しく歌い踊り、その日は酔いつぶれたという。後輩芸人にタクシーまで運ばれ、翌朝、自宅で気がつくと異変が。「起きたら、右手がまったく動かないので今から病院に行ってきます」と書き込んだ。イベントでけがしたとみられる。

さらに、17日付で「僕の右肩は簡単な脱臼をしていたみたいで、病院でカコンッとハメてもらって、後はシップを貼って2週間安静との事。痛さは残っていますが、右腕は少し動くようになりました」と報告した。
(キングコング・西野が右肩脱臼)


関節は骨、靭帯や関節包といった安定性を保つ機構、周囲の筋肉により構成されています。この骨の形態異常や、靭帯や関節包の機構、筋緊張の異常によって、関節を構成する骨の相互の正常な適合関係が失われてしまい、関節面同士の接触が断たれた状態を脱臼といいます。

大きく分けて先天性脱臼と後天性脱臼とがあります。後天性脱臼はさらに、外傷性脱臼と病的脱臼に分けられます。

外傷性脱臼とは、外力の作用によって靭帯や関節包などの支持組織が断裂して起こる脱臼です。病的脱臼には、関節の動きに関与する筋や靭帯などが弛緩しているために起こる弛緩性脱臼、関節内に炎症性の関節液が貯留し関節包が拡張することによる拡張性脱臼、関節を形成する骨・軟骨・関節包の病的変形や破壊による破壊性脱臼、などがあります。

上記のケースのような場合、外力の作用によって起こったと考えられ(激しく肩を動かした)、外傷性脱臼に当てはまると考えられます。脱臼の中で最も多いのは肩関節であり、次いで股関節、肘関節に多いといわれています。

脱臼を繰り返す人もいらっしゃいますが、これは初回の外傷性脱臼時に損傷した骨・軟部組織が完全に治癒せず、その後に軽い外力で脱臼を繰り返すようになったものと考えられます。ちなみに、こうした状態を反復性肩関節脱臼といい、若い人に多いといわれています。

とくに、前方関節唇・下関節上腕靭帯(IGHL)複合体が関節窩から剥離するBankart損傷が94〜97%にみられ、こうした部位の治癒が十分でないために繰り返してしまう可能性が高いと考えられます。

診断や治療に関しては、以下のようなことがいえると思われます。
診断としては、受傷機転(どのように受傷したか)、来院時の肢位(軽く外転位である場合が多い)、肩峰の下に上腕骨頭を触れない、などの理学所見から診断が可能であると思われます。確定診断としては、X線撮影により行います。

整復の方法としては、Hippocrates法,Kocher法,Stimson法,挙上法,外旋法などがあります。たとえば、Hippocrates法とは、患者の脱臼した方の脇の付け根に整復者の足をいれて、引っ張ることで整復を行います。Stimson法は、患者さんをうつぶせにし、患肢を下垂させ、下方に優しく牽引する方法です。

整復後は、軟部組織の修復のため、少なくとも3週間の固定が必要です。痛みが軽減した後は、腱板および肩周囲筋の可動域訓練や筋力強化訓練を行い、スポーツをする人の場合、術後3ヶ月くらいをめどに再開します。

酔っているときなどは無茶をしやすく、痛みの感覚も鈍くなりがちであると思われます。強く肩を打つ、といったことも原因になります。お気をつけ下さい。

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