タバコを吸っていても、中には例外的に70歳〜80歳まで生きている方もいる。しかし、「肺がん」「肺気腫」「喉頭がん」などの疾病と喫煙の関係については、多くの方々が認めているが、実は、故平山雄博士は長年の調査結果をもとに、「タバコは全身病」と指摘し、吸わない生活習慣を薦めていた。

平山博士は、全国29カ所の保健所(農村、漁村、都市などを網羅)を通して、毎日喫煙者、非喫煙者の男女別のうち、当時元気だった40代の男女26万5118人を1966年から1982年まで、約16年間も追跡調査している。

この16年間に5万1422人の方が亡くなっており、その中で、がんで死亡した人は1万3677人を数えている。その原因を調べてみると、タバコの本数が多かった人と、吸い出した年齢の早かった人が、とても高い比率で亡くなっており、喫煙と早死にが密接な関係を持っていることが明らかとなっている。

また、たとえば喉頭がんの場合、タバコを吸わない人の死亡率を1とすると、時々吸っていた人は9.6倍、10本以上の人は28倍、20本以上の人は34.5倍と死亡率が増えている。そして25本以上のヘビースモーカーの場合、その危険度はグンと増えて、98.6倍にもなっており、吸えば吸うほど喉頭がんの死亡率が飛躍的に増えることがわかったのである。

そのほか、タバコは呼吸器だけではなく、循環器、消化器、泌尿器など、多くの疾病・死亡との密接な結びつきがあることが、この平山博士の調査によって明らかにされた。同様の結果は、その後の世界各国の多くの研究でも明らかになっており、現在は「規制対策」に重点が移っている。
(疫学調査で分かった「タバコは全身病」)


喫煙に関して言えば、ざっと挙げるだけでも
’抓發離螢好を高め、化学物質に曝露される人で相乗的に肺癌を増加させる。
虚血性心疾患、消化器潰瘍、慢性閉塞性呼吸器疾患のリスクを高める。
9頭、口腔など、肺以外の部位の癌のリスクを高める可能性がある。
ぜ動喫煙により周囲の環境を悪化させる。
ヂ杙に影響を与える

など、多くの健康問題を引き起こすことが知られています。

喫煙は肺癌のリスクを高めることは周知の事実であると思われますが、特に石綿などの化学物質に曝露される人では相乗的に肺癌を増加させるといわれています。また、喉頭、口腔、膀胱、膵臓など肺以外の部位の癌のリスクを高めるという疫学的データがあります。

特に若年で喫煙を開始した場合には、その影響が大きいとされており、非喫煙者の同居による受動喫煙が問題となります。自分自身だけでなく、周囲の人の受動喫煙により、健康被害を発生させてしまうという可能性があるわけです。

さらに、こうした癌発生リスクを高めるだけでなく、呼吸器においても大きな影響を与えます。喫煙に伴って起こる慢性的な喀痰、息切れ、咳嗽など諸症状の総称を喫煙者呼吸症候群といいます。

これは、タバコ煙中の微粒子は細気管支から肺胞道に沈着することで起こります。こうした部位は、軟骨を欠き、周囲の支持組織に乏しく線毛もなく、異物排除機構も乏しいといわれています。すなわち、炎症が周囲に波及しやすいというわけです。そのため、気道炎症や気腫化を生じやすいと考えられています。

他にも、タバコの煙に含まれる活性酸素は、血管内皮細胞を障害することが知られています。そのため、動脈硬化が促進され、狭心症、心筋梗塞、脳血栓 、脳塞栓、動脈硬化、動脈瘤、閉塞性血栓性血管炎(バージャー病)などのリスクが増加することが統計的に示されています。

そもそも、何故「たばこを吸いたくなるのか」といいますと、以下のような理由が考えられます。
ニコチンは明らかな依存性を持つことが知られています。ニコチンは、神経伝達物質であるアセチルコリンに分子構造が類似し、ニコチン性アセチルコリン受容体(レセプターとも)に作用することで、中枢神経のドパミン神経系、特に脳内報酬系を活性化します。

そのため、摂取後に一時的に快の感覚や覚醒作用を得られるそうです。ちなみに、このような報酬系を介した薬理作用は、依存性を有する他の薬物と共通です。

ニコチン摂取を続けると、ニコチン受容体がダウンレギュレーション(受容体の数が減ること)を起こし、ニコチンを外部から摂取しないと神経伝達が低下した状態となります。

これがニコチン離脱症状であり、自覚的にはニコチンへの渇望が生じます。喫煙に対して依存性を示す人は「喫煙でリラックスできる」と表現しますが、実際は離脱症状を喫煙によって一時的に緩和しているに過ぎません。別に喫煙するからリラックスできるわけでもなく、離脱症状が苦しいので、それを緩和したい、というだけです。

ですが、なかなか禁煙しようとしても、タバコに対する「心理的依存」、イライラなどの離脱症状(禁断症状)を起こす「ニコチン依存(身体的依存)」は、独りでは難しいものです。ぜひとも、「禁煙しよう」と決めたら、禁煙指導を受けられる病院(禁煙外来)を受診することをお勧めします。

禁煙外来では、全5回の診療を受けるのが一般的です。2006年4月から、一部の施設で禁煙治療が保険適用となりました。初診では、治療法の説明の他、ニコチン依存度、喫煙の状況、禁煙の関心度などがチェックされます。また、呼気中の一酸化炭素濃度の測定、禁煙開始日の決定と「禁煙誓約書」へのサイン、次回診察日の決定を行い、治療のための禁煙補助薬の処方を受けます。

2回目および3回目では、2週間ごとに再診し、喫煙状況の問診を受けます。呼気中の一酸化炭素の測定を行い、禁煙補助薬の追加処方を受けます。以後は4週ごとに再診を受けます。

こうした決意を行動に移すだけでも、継続する力になると思われます。ぜひともチャレンジし、禁煙に成功していただきたいと思われます。

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