読売新聞の医療相談室に、以下のような相談が寄せられていました。
骨粗しょう症の治療でビスフォスフォネート(BP)製剤を飲んでいます。先日、ニュースであごの骨が壊死する副作用があると知り不安になりました。治療中の注意点などを教えて下さい。(80歳・女性)

この質問に対して、兵庫医大歯科口腔外科の教授である浦出雅裕先生は、以下のようにお答えなさっています。
国内で販売されているBP製剤は、乳がんや前立腺がんの骨転移などに対する注射薬と、骨粗しょう症に対する経口薬があります。副作用で、あごの骨の壊死が起こることは2003年に米国で初めて報告され、日本でも、BP製剤の普及に伴い増えています。

大部分は注射薬で起きています。発生率は注射薬で0・88〜1・15%、経口薬で0・01〜0・04%程度です。しかし、投与中に抜歯などの歯科治療が加わると発生率は10倍ほどに増加します。

体内に入ったBPは、骨を壊す役割をもつ細胞(破骨細胞)の機能を抑え、骨の強度を高めます。しかし、骨の代謝を抑制しているため、この時期に抜歯などを行うと、周辺の骨の治りが悪く、骨髄炎や壊死を起こすと考えられています。

壊死が起こるまでの平均的な投与期間は、注射薬で12〜24か月、経口薬で36か月といわれていますが、個人差があります。

骨粗鬆症とは、骨量が減少し、骨微細構造の劣化により骨強度が低下して、骨折をきたしやすくなった全身性の疾患です。骨が形成される速度よりも、骨が吸収される速度が高くなり、骨に小さな穴が多発する(結果、脆くなる)症状をいいます。

女性の有病率は男性の2倍以上であるといわれ、閉経後の数年間の血中エストロゲン濃度の低下に伴う急速な骨量減少が原因で起こることが多いようです。

閉経後骨粗鬆症では、骨吸収および骨形成がともに亢進した骨代謝高回転型を示すことが知られています。一方、老人性骨粗鬆症は骨代謝低回転型が多く、骨形成能の低下が主因と考えられています。

骨粗鬆症においては、日常生活程度の負荷によって骨折を引き起こします。骨折による痛みや障害はもちろん、大腿骨や股関節の骨折はいわゆる高齢者の寝たきりにつながり、生活の質 (QOL) を著しく低くすることになってしまいます。

自覚症状がある場合には、腰・背痛の頻度が高いといわれています。椎体変形を認めなくとも、微細骨折や脊椎周辺の筋過緊張によって腰痛が起こります。椎体変形があると、身長が低くなったりします。

治療法としては、以下のようなものがあります。
疼痛などの合併症や骨折に対する治療については、整形外科疾患として治療します。生活習慣では、十分なカルシウム(Ca)とビタミンDの摂取、運動、日光を浴びることなどが推奨されます。

また、喫煙やアルコールやカフェインの過量摂取を避けることも重要です。骨粗鬆症に保険適用となっている薬剤としては、Ca製剤、活性型ビタミンD3、カルシトニン、ぅぅ廛螢侫薀椒鵝↓ッ素鯑渦愁好謄蹈ぅ鼻↓Ε┘好肇蹈殴鵝↓Д咼織潺K2、┘咼好曠好曠諭璽函↓選択的エストロゲン受容体モジュレーターなどがあります。

ビスフォスフォネート(BP)製剤とは、破骨細胞の機能阻害作用を示し、骨吸収を抑制して骨代謝回転を抑制すると考えられています。副作用としては、食道・口腔内障害(逆流性食道炎)や肝機能障害、顎骨壊死、顎骨骨髄炎などがあります。逆流性食道炎予防のため、服用時に30分程度体を起こしている必要があるそうです。

上記のように顎骨壊死、顎骨骨髄炎があらわれることあり、症例のほとんどが抜歯などの歯科処理や局所感染に関連して発現しているそうです。リスク因子として、悪性腫瘍や化学療法、コルチコステロイド治療、放射線療法、口腔の不衛生、歯科処置の既往などが知られています。

このことに関連して、浦出先生は以下のように説明なさっています。
BPを使う時には、歯科治療は前もって行い、使用中も口腔内を清潔に保つことが大切です。歯の処置によっては、使用開始時期を遅らせるなどの配慮が必要です。

使用中は、一般的に抜歯、歯肉などを切除する歯周病治療、インプラント(人工歯根)の埋め込みなど外科的な処置は避けることが勧められています。あごの骨の壊死がいったん起こると治りにくいので、治療前に主治医や歯科医とよく相談し、治療中も歯ぐきの腫れや痛みを感じたらすぐに報告して下さい。

しっかりと口腔ケアを行い、その上でビスフォスファネート製剤を使用することが重要なようです。

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