以下は、最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学で扱われていた内容です。

下町で用品店を営むS・T(45)さんの悩みは、花粉症。彼女の花粉症は軽い方でしたが、今年は去年の2倍の花粉が飛んでいるせいか、まだ2月なのに、もうすでにクシャミが出ていました。

さらにこのところ気になっていたのが、夜、布団に入ると、なぜか咳が出ること。翌朝には咳は止まるため、深刻には考えていませんでしたが、やがて更なる異変に襲われるようになります。具体的には、以下のような症状が現れていました。
1)夜の咳
普段、生活していてあまり咳も出ないのに、寝ようと思って布団にはいると、軽く咳き込むことがありました。しばらくすると治まるので、あまり気にはしていませんでした。
2)夜に激しい咳
上記と同様に、布団にはいると、咳き込むことがありました。以前は軽く咳をするだけでしたが、次第に激しく咳き込むようになりました。
3)息切れ
4月になり、花粉の飛散量がより多くなっていきました。すると、以前はそんなことはありませんでしたが、階段を上るなど、少し体を動かすだけで息切れが生じてきました。
4)激しい咳
上記のような症状が現れ、夜の咳は以前からありましたが、今度は昼間、しかも激しく咳き込みました。
5)呼吸困難
昼間、店に出て働いていると息苦しさを感じ、その場に座り込んでしまいました。ひどい呼吸困難感であり、病院に運ばれていきました。

こうした症状が現れた彼女に、病院で告げられた病名は、以下のようなものでした。
S・Tさんの病名は、気管支喘息でした。
気管支喘息とは、気道の慢性炎症性疾患であり、気管・気管支平滑筋の攣縮、気道内分泌物の過多、気道粘膜の浮腫など、広範な気道の狭窄に特徴づけられます。簡単に言ってしまえば、突然気管支が狭くなり、咳や呼吸困難などの発作を起こす疾患です。

国内の患者数は900万人以上とも言われており、1年間に約3,000人もの人が命を失っています。平成7〜8年の疫学調査によれば、一般に都市部に多く、人口密度と相関し、成人では20代の2.8%から40代の1.8%と、有症率は高齢になるほど減少し、全体の累積有症率は3.0%であるといわれています。小児および成人ともに軽症・中等度症の死亡例が増加して、急激な経過で死亡することが問題になっています。

実は、花粉症と喘息には大きな関係があるといわれ、喘息予備軍とも言われる「気道炎症」状態を引き起こすと考えられています。そもそも、喘息発症の初期のトリガーとして、気道における抗原の慢性曝露や、気道感染を代表とする慢性気道刺激があるといわれています。具体的には、花粉やハウスダスト、ダニ、ディーゼルの排気ガスなど、アレルギー物質を日常的に吸い込むことで、気道に炎症が起こります。

この結果、肥満細胞、マクロファージ、Tリンパ球、気道上皮細胞からの炎症性のメディエータ(介在物質)が放出され、これらの介在物質により炎症細胞である好酸球や好中球が気道に遊走し、気道上皮を傷害。さらに、自律神経による気道平滑筋の緊張異常、粘液の過分泌、線毛細胞の異常、気管支平滑筋の反応性の亢進が惹起され、気管支喘息の発作がおこると考えられます。

S・Tさんも1年ほど前に、この炎症を起こしていたと考えられます。WHOの報告によると、花粉症の人の多くが気道炎症を併発しているとのこと。さらに花粉症の人は、アレルギー体質のため、他のアレルギー物質にも反応しやすいことが分かっています。S・Tさんの場合も、花粉アレルギーを引き金に、店先で吸い込むディーゼルの排気ガスにも反応し、気道炎症は慢性的になっていったと考えられます。

症状としては、
“作性の呼吸困難、喘鳴、咳(夜間、早朝が多い)
可逆性の気道閉塞(種々の原因で起こり、自然に、または治療によって緩解する)
5て参疉卆の亢進
ご超アレルゲンに対するIgE抗体の産生

とくに、喘鳴や咳、胸部圧迫感、呼吸困難といった臨床症状の変化が激しいことが特徴的です。喘鳴とは、呼吸困難の際に呼吸に伴って聞こえる音であり、気管支が狭くなっているため、笛がなるような音がします。また、こうした症状は日内変動があり、夜間や早朝に多いことが特徴です。

この「夜の咳」がS・Tさんの場合にも現れていました。昼は気管支の拡張をうながすアドレナリンが作用して、炎症の影響はさほど出ませんが、アドレナリンが減少する夜は、気管支が収縮し咳込んでしまっていました。

この原因として、大量の花粉が関係していたと思われます。例年より多くの花粉を吸いこんだにもかかわらず、S・Tさんは、たまに薬を飲む程度で、いい加減な対処しかしませんでした。

結果、鼻や口から入った花粉がアレルギー反応を起こし、気管支が収縮。そして肺に取りこむ酸素量が低下し、息切れが起こっていました。そして発作が起こった日、店先を掃除しながら、またもや大量のスギ花粉を吸い込み、さらに冷気の刺激によってアレルギー反応が急激に起き、気管が収縮しました。そこに炎症の影響で発生した、痰などの分泌物が詰まったことで、ついに呼吸困難に陥ってしまいました。

治療としては、大発作(著明な喘鳴と呼吸困難があり、起坐呼吸を呈し、時にチアノーゼや奇脈を認めるような場合。会話は途切れ気味)が起こった場合、入院治療が原則となります。酸素吸入、β2-刺激薬吸入、アミノフィリン点滴静注、ステロイド薬静注などを同時並行で開始していきます。

幸いS・Tさんは病院での措置が間に合い、一命をとりとめることができました。上記のような症状が出ている場合、特に夜に限って咳が出るような場合は、呼吸器内科を訪れるなど、お気をつけ下さい。

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