アメリカン航空の機内である女性客が体の不調を訴えたが機内に適切な備えがなく、適切な手当てをすることができなかったためこの女性客が死亡するという出来事があった。

AP通信が25日に報じたところによると、この女性客はニューヨークに住む44歳。彼女は22日、兄らと一緒にアメリカン航空の896便に乗り、ハイチの首都ポルトープランスからニューヨークに戻るところだった。

一緒に飛行機に乗っていた親族の話によると、女性は機内で出された食事をとった後、口が異様に乾くなどの症状を訴えたという。乗務員が渡した水を1杯飲むと、その数分後、彼女は呼吸困難に陥った。乗務員に酸素ボンベを貸してほしいと求めたが、これは再三拒否されたとのことだ。

その後苦痛の表情に変わった彼女を救おうと乗務員や機内にいた医師らが機内に備え付けてあった酸素マスクを彼女の顔にあてる。しかし、肝心の酸素ボンベの中には酸素はまったく入っていなかったという。彼女の死を確認した医師は、「飛行機内で起きたこの出来事が信じられない」と語っている。

アメリカン航空スポークスマンはこの事故の発生を認めたが、死亡した女性の親族が「機内には適切な応急設備がなかった」と話していることについては触れなかった。
(飛行機内で病人、酸素ボンベに酸素がなく病人は死亡)


呼吸困難とは、呼吸に際して感ずる窒息感、空気飢餓感、胸部絞扼感などの不快感が生じている状態です。簡単に言ってしまえば、「空気が足りない」、「胸が膨らまない」、「胸が圧迫される」、「息がつまる」といったさまざまな感覚で表現される状態です。

呼吸器疾患だけでなく、循環器疾患や脳・神経・筋疾患、代謝異常、血液疾患などでもみられます。発症経過は秒・分単位から、年余にわたる慢性的なものまで様々です。上記のように、突然出現する呼吸困難は呼吸器疾患や循環器疾患が原因となることが多いといわれています。

呼吸困難は、上記のような「空気が足りない。苦しい…」といった自覚症状であり、客観的な評価は難しいですが、努力性呼吸や異常な換気運動などの他覚症状を伴う場合もあります。

原因となるのは、以下のようなものです。
血液ガスの異常:動脈血酸素分圧(PaO2)の低下、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)の上昇、pHの低下など。
肺と気道系の受容器の関与:肺と気道には刺激受容器、伸展受容器、J受容器という3種類の受容器が存在し、呼吸困難感の発生に関与している。
胸壁の受容器の関与(呼吸筋の長さ−張力の不均衡説):通常は、呼吸筋線維と筋紡錘線維とが釣り合って収縮するが、これが不釣り合いになると筋肉の長さと張力に不均衡を生じ、筋紡錘からの求心性刺激が中枢に伝えられて、呼吸困難を生じるとする説

慢性の呼吸困難を訴えた患者さんの場合、呼吸困難の原因疾患の頻度は、呼吸器疾患(肺内,肺外)が最多で、次が心疾患、他にも消化器(胃食道逆流)疾患、心因性などがあります。

必要となる検査や治療としては、以下のようなものがあります。
上気道・肺疾患、心疾患(うっ血性心不全、心筋梗塞、心タンポナーデなど)、および心因性による疾患の場合、呼吸困難を主訴とすることが多いと考えられます。

気道閉塞と緊張性気胸は救命措置を必要とし、気道閉塞ならば呼吸に伴う雑音や呼吸運動の減弱や停止、呼吸音の消失など、緊張性気胸ならば突然の呼吸困難、血圧低下、チアノーゼ、皮下気腫などが参考になります。他の疾患でも、病歴情報の入手や身体診察が重要となります。

スクリーニング検査により、病歴や身体診察の特徴から推定された疾患や病態の確認を行います。原因検索に行われる検査としては、胸部X線写真、心電図、スパイログラム、動脈血ガス分析、胸部CT、肺血流スキャン、血算・血液生化学・免疫学的検査、検尿などがあります。

たとえば、胸部レントゲン写真により、心拡大があればうっ血性心不全を疑い、肺野の異常により、無血管野があれば気胸、楔状陰影や血管影減少がみられれば肺梗塞などを疑います。さらに、心電図検査により心筋梗塞、血糖・血液ガス検査などにより糖尿病性アシドーシスなどを考えます。

呼吸困難に対する治療としては、原則として適切な気道確保と酸素療法気道の確保が必要になります。他にも、薬物療法(強心薬、昇圧薬、気管支拡張薬、抗生物質、利尿薬、副腎皮質ホルモン、鎮静薬など)、循環動態の安定化、酸塩基平衡障害の補正、電解質異常の補正、理学療法、原疾患に対する治療などが基本的に考えられます。

肺疾患だけで生じるものではなく、他の循環器疾患や中枢性疾患などによっても発生するので、これらに対する治療も必要となることがあります。

上記のケースでは、必要となる酸素投与ができなかったため、問題となっています。フライト中に急変が起こる可能性がある以上、酸素ボンベやAEDなどしっかりとした補填や拡充が望まれます。

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