九州北部と山口県の離島や山間部に6月から救急医療用ヘリコプターを導入する医療法人池友会(北九州市)は27日、離着陸基地として福岡県宗像市の旧庁舎を買い取る契約を同市と結んだ。民間の救急ヘリ導入は、沖縄県の2病院に次いで全国で3例目という。
 
国や県の補助を受ける「ドクターヘリ」は、九州では福岡県久留米市と長崎県大村市の病院で運用されているが、池友会福岡和白病院(福岡市東区)の冨岡譲二医師は記者会見で、「ドクターヘリでは扱えない軽症者や異常分娩などにも柔軟に対応し、着陸拠点を増やして医師がいない僻地や離島にも貢献したい」と話した。
 
池友会は今後、年間300回出動を目標に、旧庁舎に格納庫などを整備。医師、看護師、パイロットや整備士らを常駐させ、診療所としての機能も持たせる予定。ヘリは患者が受診した医療機関や、医療機関のない離島の住民からの要請で出動、池友会の救急病院へ搬送する。患者に搬送費用の負担はない。
(民間救急「ドクターヘリ」、3例目導入)


日本において、患者さんの搬送は主として、消防機関が救急自動車(いわゆる救急車)を運用して実施しています。1963年の消防法の改正により、救急業務が法制化され、1986年には、救急業務の対象範囲と患者が医師の管理下に置かれるまでの応急処置が明文化されています。

これ以外の患者搬送としては、各医療機関が行っているものと、民間救急事業者によるものとがあります。こうした搬送があり、他にもドクターカーやドクターヘリコプターによるものがあります。

救急医療で患者の救命率を向上させるためには、発症後にできるだけ早期に適切な治療を行うことが重要となります。そのためには、一定の地域社会ごとに救急医療体制を整備して、患者発生から適切な救急医療を行うまでの時間を短縮することや、病院に到着するまでに適切な処置を行うことが必要となります。こうした処置をプレホスピタル・ケアといいます。

プレホスピタル・ケアの一環として、ドクターヘリの導入などにより、救急医療を行うまでの時間を短縮することは、特に医療機関が少ない、いわゆる僻地において重要となります。医師不足が叫ばれて久しいですが、中でも影響を大きく受けるのは都市部から離れた地方であると思われます。

ただ、その中にあって救急救命士における役割が非常に大きいと思われます。その役割としては、以下のようなものがあります。
救急救命士制度とは、国家試験に合格し厚生労働大臣の免許を受けた者が、一般の救急隊員の行う応急処置のほかに、重度傷病者のうち心肺停止状態の患者に対し医師の具体的な指示のもとで以下のような処置が行えます。
“昭動式除細動器による除細動
乳酸加リンゲル液による静脈確保のための輸液
食道閉鎖式エアウェイ,ラリンゲアルマスクによる気道確保
ぅ▲疋譽淵螢鵑療衢(薬剤投与認定取得者が2006年4月より可能に)

2000年6月には、厚生労働省医政局より病院前救護体制のあり方に関する検討会報告書で、病院前救護処置の医療の質の確保のため、メディカルコントロール体制がしかれることになりました。

メディカルコントロール(MC)とは、医学的観点から救急隊員が行う応急措置等の質を保証することです。上記のように救急隊員の処置内容の拡充に伴い、それを保証する体制が必要になってきたわけです。

具体的には、
ゝ潴申菽屬了惻体制(指導助言)
救急隊が現場から24時間いつでも迅速に救急専門部門の医師等に指示、指導・助言が要請できる。
救命処置の事後評価(検証)
実施した応急処置などの医学的判断、処置の適切性について医師による事後検証を行い、その結果を再教育に活用する。
J浸から継続した教育体制(生涯教育)
救急救命士の資格取得後の再教育として医療機関において定期的に病院実習を行う。

こうしたことにより、体制の整備などを行うことが必要になってきます。ドクターヘリの拡充だけでなく、救命救急士との連携を含めたシステムの再考が重要であると思われます。

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