尿は健康のバロメーターとよく言われる。黄色すぎる尿はおかしいのか。どんな色の尿が健康なのだろう。新宿石川病院の三木誠先生に話を聞いた。

「健康な尿の色は、“ストローイエロー”と呼ばれるクリアな淡黄色。多少、濃くても問題はありません。むしろ、腎機能が正常に働いて、老廃物をよく溶かしこんでいる証拠です。あまりに濃くて黄褐色になっている場合は、肝機能などに障害があるかもしれません。大量に発汗した時も黄褐色になりますが、水分を補給すれば問題ない。肝機能障害の場合は、白目が黄色くなったり、体がダルくなるのでわかりますよ」

濃いからといって、必ずしもおかしいということはなく、むしろ健康的なわけだ。小学生の自分に教えてあげたいよ。不健康な尿の色には、どんなものがありますか?

「白濁した尿は、塩類尿が多い。尿酸塩とか硝酸塩とかリン酸塩が溶け込んでいる。これは尿路結石の疑いがある。それから膿尿ということも考えられる。ようは、ばい菌による感染症。あまりに透明な尿も、水分のとりすぎならいいけど、腎機能が低下している可能性もある。そして、やはり血尿は危ない。医者として心配なのは、ほかに自覚症状がなく、1回血尿が出て、あとは普通という場合。こういう患者さんは、あまり来院してくれない。痛みがある血尿は尿路結石の場合が多いんだけど、自覚症状がないとガンの可能性もある」(同)

ちなみに、目で見て赤っぽくなくても血尿が出ている場合もある。血尿の程度と疾病の程度は必ずしも比例しないし、血尿の原因と考えられる病気は多いというから厄介だ。尿に異常がなくとも、検査は定期的に行った方がよさそうです。
(尿は健康のバロメーター?トイレで健康チェックしよう!)


検尿異常は、ほとんどすべての腎疾患に認められ、重要な所見となりえます。国内では、学校検尿が行われており、健診制度もよく整備されています。ですので、症状を伴わない検尿異常(無症候性の蛋白尿または血尿)が、腎疾患発見の糸口となることが多いと言われております。

一般的な尿検査では、尿量や尿の外観、比重、浸透圧、pH、蛋白、糖、潜血、ウロビリノゲン、ビリルビン、ケトン体、白血球反応、亜硝酸塩などが調べられています。尿検査の一般的な採尿法は、自然排尿です。採尿の際には前半の尿は捨て、いわゆる“中間尿”を採取します。

尿検査異常としては、蛋白尿や血尿、膿尿や細菌尿などがあります。蛋白尿とは、尿蛋白排泄量が150mg/dayを超えた場合の尿のことを指します。健常人でも微量の蛋白が尿中に存在しますが、その1日排泄量は50〜100mg/日程度です。蛋白尿は生理的蛋白尿と病的蛋白尿に大別されます。

生理的蛋白尿とは腎疾患や全身性疾患のない健康人にみられる一過性あるいは可逆性の蛋白尿をいいます。激しい筋肉労働やマラソンなどでみられる運動性蛋白尿や、体位性蛋白尿、発熱時の一過性蛋白尿などがあります(病的なものではありません)。

蛋白尿は患者が来院時の尿検査で見つかるか、あるいは学校や会社の健康診断や住民検診などで見つかることがほとんどです。多くの場合、患者は蛋白尿に伴う症状を自覚しておらず、いわゆる無症候性尿異常という形で指摘されます。

蛋白尿と疾患の関わりとしては、糸球体性蛋白尿、尿細管性蛋白尿、血中の特定の蛋白過剰による蛋白尿の3つに分類されます。糸球体性蛋白尿とは、糸球体腎炎や糖尿病、高血圧などにより糸球体の蛋白に対する透過性が高まった結果、血漿蛋白(アルブミンなど)が尿細管腔に漏出して蛋白尿になったものです。

尿細管性蛋白尿とは、間質性腎炎や薬剤による尿細管障害などで、尿細管の再吸収機能が低下しており、本来なら尿細管で再吸収されるべき低分子蛋白(β2ミクログロブリンなどの低分子蛋白)が尿中に検出されるものです。

血中の特定の蛋白過剰による蛋白尿とは、多発性骨髄腫のときに尿中に検出される免疫グロブリン軽鎖や、血管内溶血や横紋筋融解などにより過剰に産生された遊離ヘモグロビンやミオグロビンが原因となります。

血尿とは、以下のようなものを指します。
血尿とは、尿に赤血球が排泄されている状態です。臨床的には、肉眼的血尿と顕微鏡的血尿に分けられます。血尿のスクリーニングは試験紙法による潜血反応が用いられており、陽性の場合は必ず尿沈渣の観察が必要となります。

潜血反応は、尿沈渣として強拡大で鏡検したときに毎視野2個以上の赤血球が存在するときに陽性となり、肉眼的に明らかでない程度の血尿(顕微鏡的血尿)でも検出することができます。ただ、ミオグロビン(筋細胞内のヘム蛋白で、心筋や骨格筋に存在)も潜血反応陽性となり、激しい運動後に陽性となることもあります。

肉眼的血尿とは、見て判別できる程度に血液を混じた尿のことを指します。
肉眼的血尿の場合には、腎後性(腎臓を通った後の尿路系、たとえば膀胱など)の出血であることが多く、腎性(糸球体性)の頻度は少ないです。したがって、最終的には泌尿器科を受診することになることが多いです。原因となるのは、炎症性疾患、結石、悪性腫瘍などがあります。

顕微鏡的血尿とは、一般的に「肉眼的には血尿ではないが、5個以上の赤血球を認める場合」を指します。腎糸球体ろ過に際して基底膜の異常により小孔から漏れ出てきたものが多く、慢性や急性の糸球体腎炎のときにみられます。

顕微鏡的血尿で蛋白尿を伴わないもののうち、他の検査の結果、癌や結石がない場合は良性の顕微鏡的血尿として定期的尿検査による経過観察を行います。ただ、中等度以上の蛋白尿を伴うものは予後不良の可能性があり、腎内科で腎生検などの精査をする必要があります。

単に尿検査と一言でいっても、そこからは多くの情報が詰まっています。健康診断でも、必ずといっていいほど行われていると思われます。結果がどのような意味を持つのかなど、しっかりと確認なさってはいかがでしょうか。

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