長崎市に暮らす光武聡一郎さん(33)、綾さん(32)夫婦の長男、 上総君(7)は2歳の時に横紋筋肉腫(頭部に発生)を発症した。その後、約3年半の入院生活の中で、2度の再発(頭部および鼻部)、手術を繰り返してきた。

そして2006年01月、骨髄異形成症候群(MDS)を併発し、「余命2ヶ月」と診断された。医師から「治療を続けますか、それとも自宅で一緒に暮らしますか?」と選択肢を提示された。両親は、治療を諦める代わりに、たくさん楽しいことをさせてやろうと決意した。

家族は、かけがえのない時間を全力で生きてきた。12月09日、上総くんが亡くなった。驚いたことに上総くんの葬儀の日、新たな命が誕生した。
(愛してるよ、カズ 〜小児がん・涙の全記録)


横紋筋肉腫とは、小児や若年者に好発する横紋筋へ分化する細胞が悪性化した悪性軟部腫瘍です。0〜14歳の小児に発生する癌の約3.5%、15〜19歳の青年に発生する癌の約2%を占めるといわれています(小児に発生する悪性軟部腫瘍の約50%を占める)。

染色体転座t(2;13)(q35;q14)、t(1;13)(p36;q14)が観察されており、転写因子であるPAX3またはPAX7とFKHRとの融合遺伝子が形成され転写が促進したり、11番遺伝子P15.5でヘテロ接合性の消失が起こることで、さまざまな抑制遺伝子の作用が障害されて発症すると考えられています(大部分は明らかな素因も危険因子もない散発例で、ごく一部には遺伝的状態との関連性がみられます)。

最も多い発生部位は頭頸部(例えば、傍髄膜、眼窩、咽頭)であり、泌尿生殖器、四肢にも発生し、頻度は低くなるものの、他にも体幹や胸壁、腹部(後腹膜と胆道を含む)、会陰/肛門領域などがあります。

症状としては、急激に増大する腫瘍として発症します。自発痛は、軽いことが多いといわれています。

組織学的に3型があり、以下のように分かれています。
胎児型:最も頻度が高く,主として小児に発生する。粘膜部分に発生することの多いブドウ状肉腫もこの型に属する。
胞巣型:2番目に多い型で,主として10〜25歳の人に発生する。
多形型:最も少ない型で,40歳以上に多い。

予後を加味して、予後良好群(ブドウ状,紡錘型細胞)、中間群(胎児型)、予後不良群(胞巣状型,未分化肉腫,多形型)の分類が行われている。

行われるべき検査や治療としては、以下のようなものがあります。
腫瘍が傍髄膜に発生していると考えられる場合は、頭蓋底の浸潤の有無と硬膜を超えた進展の可能性を確認するため、造影剤を用いた原発部位のMRIが施行されます。

また、脊髄への進展を示唆する何らかの疑いがある場合は、造影剤を用いた全脊髄のMRIスキャンを実施することもあります(骨髄穿刺で骨髄転移の有無を確認することもある)。

最終診断は生検を行います。免疫組織染色法(alpha actin、MyoD1、fetal myosin、myosin heavy chainなどの筋原性マーカー)や遺伝子異常が証明され、横紋筋肉腫と診断されます。

治療としては、全身化学療法に局所腫瘍制御のための外科手術と放射線療法のいずれかまたは両方を併用する、集学的治療が行われます。外科手術が第一に考慮されますが、完全切除や美容面で問題が残るような場合は、化学療法が先行されたり、腫瘍の中枢神経浸潤をきたしている場合は、緊急放射線治療の適応となります。

診断時の腫瘍量には予後的意義があり、腫瘍が小さい(5cm未満)患者では、大きな腫瘍を有する患児と比べて生存率が良好となるそうです。また、上総くんのように再発または進行性横紋筋肉腫の患者さんでは、大部分の長期予後は不良となってしまいます。

併発する疾患としては、白内障や成長障害、神経障害、出血性膀胱炎、腎不全、尿管障害、二次発がん、骨髄性白血病などの晩期障害と予後観察が必要となります。

最期まで寄り添うご家族の姿が、非常に感動的でした。小児がんで現在、治療なさっているお子さんやご家族にとって、勇気づけられるドキュメンタリーであったと思われます。

【関連記事】
腫瘍にまつわるニュースまとめ

小児がん「終末期ケア」、初の指針作成へ