映画「ダーティ・ダンシング」や「ゴースト/ニューヨークの幻」などで知られる米俳優パトリック・スウェイジさん(55)が、すい臓がんを患っていることが明らかになった。広報担当者が5日発表した。

タブロイド紙などは、スウェイジさんが余命数週間の病状にあると報じたが、同広報担当者はこれを否定。「病気の程度は限られており、治療がよく効いている」とする担当医師のコメントを発表した。
(米俳優P・スウェイジ、すい臓がんの治療中)


膵臓癌は、膵臓から発生した悪性腫瘍(上皮性悪性腫瘍)です。進行が早く、きわめて予後が悪いとされています。発生率は約1,000人に1人で、60〜70歳代の高齢者に多く、増加傾向にあるといわれています。

膵臓は膵液を産生する腺房、膵液を運ぶ膵管、および内分泌腺であるランゲルハンス島などからなりますが、膵癌の約90%は膵管から発生する膵管癌(ductal cell carcinoma)で、通常「膵癌」といえば膵管癌を指します。膵臓の中でも、膵頭部癌が約2/3で多く、周囲組織へ浸潤していきます。見つかりにくく(検診などでは普通、あまり膵臓癌を疑って検査をする、ということも少ないため)、診断時にはほとんどが進行癌です。

症状としては、心窩部(みぞおちの辺り)不快感、腹部膨満、食欲不振などの上腹部不定愁訴が主だったものになります。

他にも、腹痛、体重減少、黄疸、耐糖能異常などがありますが、初期には無症状のことが多いため、発見が遅れやすいとされています。進行癌になると背部痛、腹痛、下痢が出現します。中でも、膵臓の障害による2年以内の糖尿病発症、急激な体重減少は有力な診断の手掛かりとなります。

膵頭部(膵臓の右側)の癌では皮膚や尿の黄染で発症することもありますが、これは腫瘍が総胆管を閉塞して黄疸が出現するためです。後腹膜神経叢へ浸潤すると、耐えがたい痛みがでてきます。

検査や治療としては、以下のようなものがあります。
スクリーニングとして腹部エコーが有用であるといわれています(∞溝,ら十二指腸に消化液を送るための主膵管の直径が2.5mm以上(通常2mm以下)、∝溝,膨招3cm以下の小さな袋がある、といった特徴など)。

また、局在診断、手術適応を判定するにはCTが有用です。乏血性(血管に乏しい)の腫瘍であるため、造影CTにて低吸収域として鮮明に描出されます。腫瘍マーカーとしては、CA19-9があり、約80%のケースで陽性化し、有用な腫瘍マーカーといわれています。

特に、術前に腫瘍マーカーが高値の症例では腫瘍の切除により腫瘍マーカーは低下するので、術後に再発のモニターとして有用となります。ですが、腫瘍径が1.0cm以下の膵癌での陽性率は低く、早期診断の有用性は低いと考えられます。

他にも、内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)が行われ、膵管の狭窄や閉塞を認めます。鑑別するべき疾患としては、慢性膵炎、特に腫瘤形成性慢性膵炎が鑑別の対象となります。膵液細胞診では、癌細胞が検出されるため、確定診断に繋がります。

膵臓癌の治療としては、外科的切除が原則ですが、進行癌が多く適応例は少ないと考えられます。現に、Stage犬凌聞坿發全体の70%を占め、その切除できなかった症例の平均生存期間は6ヶ月となっています。化学療法や放射線療法が選択として考えられますが、効果は不十分であるといわざるをえないでしょう。

ただ、大きさが2cm以下で腫瘍が膵内に限局しているものは、予後が良いとされています。スウェイジさんのケースで、担当医師の言葉を信じればこうした状態にあるのではないでしょうか。

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