男子マラソンの世界記録保持者、ハイレ・ゲブレシラシエ(34=エチオピア)が10日、北京五輪同種目への欠場を正式に表明した。「中国の汚染は自分の健康にとっては脅威。現在の状況では42キロを走るのは難しい」と答えた。世界の有力選手が、大気汚染を理由に欠場を決断したのはゲブレシラシエが初めて。

同選手は昨年9月のベルリン・マラソンで2時間4分26秒の世界記録を樹立し、今年1月のドバイ・マラソンでも2時間4分53秒で優勝。ただ、記録よりも勝負重視となる五輪や世界選手権のマラソンにはもともと消極的で、ぜんそくの持病を抱えていることもあって北京でのマラソンを断念したものとみられる。今後はトラックの一万メートルに切り替えて五輪のメダルを目指す。

マラソン界では女子の世界記録保持者、ポーラ・ラドクリフ(英国)も中国の大気汚染に懸念を示し、呼吸の障害にならない特殊マスクを着用して練習していると海外のメディアが伝えたことがある。
(ゲブレシラシエ 大気汚染でマラソン欠場)


気管支喘息とは、簡単に言ってしまえば、突然気管支が狭くなり、咳や呼吸困難などの発作を起こす疾患です。

具体的な病態としては、以下のようなものがあります。
慢性気道炎症
好酸球・Tリンパ球・肥満細胞などの炎症細胞と、上皮細胞・分泌腺・線維芽細胞・気管支平滑筋など、気道を構成する細胞が複雑に関与した炎症
気道リモデリング
慢性的な炎症に伴い、気道壁が厚くなって気管支の内腔が狭くなる。
気道の過敏性
抗原など外からの刺激に対し、気道における過敏性が上がる。

こうしたことによって特徴づけられると考えられています。

喘息発症の初期の誘因として、気道における抗原の慢性曝露や、気道感染を代表とする慢性気道刺激があるといわれています。具体的には、花粉やハウスダスト、ダニ、たばこの煙、ディーゼルの排気ガスなど、アレルギー物質を日常的に吸い込むことで、気道に炎症が起こります。

また、上記のような刺激に対する過敏反応として、気管支平滑筋・気道粘膜の浮腫、気道分泌亢進などにより気道の狭窄・閉塞が起こり、いわゆる喘息発作を起こすことがあります。

気管支喘息患者にみられる発作性の呼吸困難、喘鳴(「ヒューヒュー」「ゼェーゼェー」という音が、聴診器を使わずに聞こえる状態)、咳の症状がみられる状態です。

気道狭窄がひどくなり、気流制限(呼吸ができにくい状態)が起こるために生じます。軽度〜致死的な発作まであり、自然に、または治療により発作が終われば元の状態に戻ります。夜間から早朝に出現することが多く、治っても反復し、安静時にも出現することがあります。

発作を誘発する因子としては、運動や気道ウイルス感染、ハウスダストやダニなどの抗原曝露、気象変化、精神的ストレス、過労、空中刺激物ないし塵埃への曝露、月経など様々なものがあります。

喘息発作の程度は、小発作から呼吸不全まで幅が広く、それに応じた対処をすることが重要です。たとえば、小発作はしばらく観察して、改善がみられず悪化する場合は受診、中発作以上は直ちに受診、といった対処が必要となります。

具体的には、小発作や中発作は短時間作用性β2-刺激薬(気管支拡張薬)の吸入や内服を行い、吸入なら15分後、内服なら30分後に効果判定をします。これでも改善がみられないときは、受診するべきであると考えられます。

こうした喘息の発作を起こさないことが重要で、以下のような日常的な治療が行われます。
長期管理薬では、吸入ステロイド薬が最も重要な基本薬剤で、これにより気管支喘息の本体である気道の炎症を抑えることが気管支喘息治療の基本となります。こうした薬(副作用のない薬物療法)により、普通の日常生活が送れ、喘息死などを起こさないことが目標となります。

重症度に応じて、吸入ステロイドの増量、経口ステロイド、長時間作動型β2刺激薬(吸入薬・貼り薬があります。いわゆる気管支拡張薬です)、抗アレルギー薬、抗コリン剤などを併用します。

特に、吸入ステロイドは気道炎症を改善するとともに、早期に導入すれば気道リモデリングの進行を抑制する可能性があるといわれています。

ただ、いくら吸入とは言っても、吸入ステロイドを高用量で長期間使用した場合には副作用が無視できず、特に小児では副腎機能、骨などへの影響も無視できないため、コントロールが不良な場合には、吸入ステロイドを単独で増量するのではなく、長時間作用性β2刺激薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、テオフィリン徐放製剤などの併用を考えることも重要であると言われています。

オリンピックが開催されてからも、同様の健康被害は懸念されていくと思われます。問題となる前に、しっかりとした環境整備やサポート体制の拡充が求められます。

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