以下は、最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学で扱われていた内容です。
家電メーカーの営業課長、A・M(43)さんは、新商品販売のチームリーダーに抜擢されてから生活が一変。毎月の残業は100時間を超え、慢性的な疲れを覚えるようになっていました。
それでも新商品の売り上げが伸びないため休むに休めなかったA・Mさん。疲れから目がしょぼしょぼし、肩がこって仕方がないなどの症状が出ても、チームリーダーとしての責任感から、部下に疲れを見せることも出来ませんでした。
そんな激務が続くこと1ヶ月、新商品が急に売れ始めると、それまでのひどい疲れが一気に吹き飛んだ気がしたA・Mさん。やがて、彼を小さな異変が襲い始めます。具体的には、以下のような症状が現れていきました。
こうした症状が現れてしばらく経ちました。頑張りが報われ、大きな成果を得ることができました。それを会社に認められ、昇進することが決まったと知らされます。
その報せに興奮し、お辞儀した瞬間、部下が異変に気づきました。名前を呼びかけると、A・Mさんはその場に倒れてしまいました。
病院に運ばれ、救命処置が施されましたが、その甲斐無く亡くなってしまいました。A・Mさんが診断されたのは、以下のような病名でした。
家電メーカーの営業課長、A・M(43)さんは、新商品販売のチームリーダーに抜擢されてから生活が一変。毎月の残業は100時間を超え、慢性的な疲れを覚えるようになっていました。
それでも新商品の売り上げが伸びないため休むに休めなかったA・Mさん。疲れから目がしょぼしょぼし、肩がこって仕方がないなどの症状が出ても、チームリーダーとしての責任感から、部下に疲れを見せることも出来ませんでした。
そんな激務が続くこと1ヶ月、新商品が急に売れ始めると、それまでのひどい疲れが一気に吹き飛んだ気がしたA・Mさん。やがて、彼を小さな異変が襲い始めます。具体的には、以下のような症状が現れていきました。
1)慢性的な疲労
長時間働いた後、家に帰ると寝るだけ…そんな生活を続けていました。そのなかで、慢性的な疲労感を感じるようになっていきました。ですが、それでもチームリーダーとして頑張り続け、家でも残業を続けていました。
2)目の疲れ
目がしょぼしょぼし、ボンヤリするなど、疲れ目となっていました。
3)肩こり
目の疲れとともに、肩こりがひどくなっていきました。
4)手に力が入らない
部下に頼まれて書類にサインをしようとしたところ、手に力が入らず、振るえてしまいました。
5)暑くもないのに汗が出る
手や額にじっとりと、暑くもないのに汗が滲んでいました。ひどく汗をかき、書類に汗が落ちてしまうほどでした。
6)寝付きが悪い
以前は、疲れ切ってベッドに入り、すぐに眠りに落ちるという生活でしたが、最近ではベッドに入っても眠れず、寝付きが悪くなっていきました。
7)疲れを感じない
以前は慢性的な疲労感を感じていましたが、次第に疲れを感じなくなり、さらに仕事を続けるようになりました。
こうした症状が現れてしばらく経ちました。頑張りが報われ、大きな成果を得ることができました。それを会社に認められ、昇進することが決まったと知らされます。
その報せに興奮し、お辞儀した瞬間、部下が異変に気づきました。名前を呼びかけると、A・Mさんはその場に倒れてしまいました。
病院に運ばれ、救命処置が施されましたが、その甲斐無く亡くなってしまいました。A・Mさんが診断されたのは、以下のような病名でした。
脳内出血(脳出血)とは、何らかの原因によって脳の動脈が破れて出血し、脳実質内に出血(血腫)を形成したものです。脳血管障害の3大疾患である、脳梗塞、くも膜下出血とともに、脳内出血はその内の1つです。
以前は日本での発症率が、欧米諸国に比べて高い傾向にありましたが、生活環境の変化や高血圧管理の普及とともに、減少しつつあります。年齢別発症率では、60〜70歳代にピークがあり、男性に多いという特徴があります。
ところが、A・Mさんはまだ43歳でした。さらに、健康診断でも異常なしであり、高血圧(高血圧性脳出血が60〜80%を占める)などの基礎疾患や喫煙歴もなく、食生活も問題となるようなこともありませんでした。
どうして脳内出血が起こったのかというと、背景に蓄積された疲労がありました。長時間のデスクワークにより、必要な大量のエネルギーが生み出されるのと同時に、活性酸素も大量に発生。全身のあらゆる細胞にダメージが及び、「目がしょぼしょぼする」「肩が凝る」といった症状が起こりました。
さらに、担当していた商品の販売が一気に好転。同時にA・Mさんは疲れが吹き飛ぶような充実感を覚え、さらに仕事にのめり込むようになりました。実は、意欲や充実感など高揚した気分には、疲労感が覆い隠されてしまう(マスクされる)そうです。
そうなるとさらなる異変が起こりました。自律神経のバランスが崩れてしまいました。自律神経には交感神経と副交感神経があります。体に「休め」という信号を出す副交感神経と、「働け」という信号を出す交感神経が、体のバランスをとっているわけです。
仕事が続き、交感神経優位の状態が続きました。結果、暑くもないのに汗をかき、さらに眠れるはずの時間でも、寝つきが悪くなってしまいました。さらに、絶え間なく届く疲労の信号に脳が慣れ、疲れを全く感じなくなってしまっていました。そこで疲労感がないのは、疲れていないことと勘違いしてしまいました。結果、疲労しているのにも関わらず、それを無視して休むことをあまりしませんでした。
結果、昇進の辞令を受け、興奮で血圧は急上昇。さらに、頭を下げて脳の血流がさらに増えたことで、ボロボロになっていた脳の毛細血管が破裂して、脳内出血を起こしてし、意識を失って倒れてしまいました。
このように、脳内出血では突発性の意識障害や、局所脳神経症状で発症します。神経症状としては、片麻痺や言語障害(失語症,構音障害)、眼症状(瞳孔変化,共同偏視,眼振)などがみられます。一方で、小脳出血などでは頭痛やめまい、嘔吐のみが現れることもあります。
さらに、高血圧の人が発症しやすく、日中の活動時などに発症が多いです。最も多い部位では、被殻出血で40〜60%、続いて視床出血20〜30%、脳葉、小脳、橋の出血が、それぞれ5〜10%程度であるといわれています。
診断としては、上記のような症状やCTによる血腫の確認がポイントとなります。発症後早期に行ったCTでは、高吸収域が存在するのが重要な所見となります。
さらに、緊急性には劣りますが(検査に時間が掛かる点で)、MRI検査では、CTでは確認できない小病変や動静脈奇形、血管腫の確認などができます。とくに、血腫周囲に脳浮腫が出現しはじめると、その広がりの描出に有効であるといわれています。
治療としては、一般的に脳圧降下薬(脳浮腫の除去)としてグリセオール、マンニトールなどが用いられ、止血薬(血管強化薬および抗プラスミン薬)が用いられることもあります。
外科的治療としては、大脳出血では被殻出血(外側型)の一部か、皮質下出血の一部、小脳出血の一部(血腫最大径が3〜4cm以上で脳幹圧迫が考えられるケース)では適応となるようです。
また、脳内出血では救命できても、片麻痺や言語障害などが問題となることがあります。そのため、積極的に早期からリハビリテーションを行う必要があります。
脳内出血による死亡者数は、1年間で100人以上となっているそうです。脳内出血を起こさないためにも、疲労感を感じにくい…そうした人は、しっかりと休むことを心がける必要があるのかも知れませんね。
【関連記事】
本当は怖い疲労 part1−心筋梗塞
本当は怖い家庭の医学 症例集
以前は日本での発症率が、欧米諸国に比べて高い傾向にありましたが、生活環境の変化や高血圧管理の普及とともに、減少しつつあります。年齢別発症率では、60〜70歳代にピークがあり、男性に多いという特徴があります。
ところが、A・Mさんはまだ43歳でした。さらに、健康診断でも異常なしであり、高血圧(高血圧性脳出血が60〜80%を占める)などの基礎疾患や喫煙歴もなく、食生活も問題となるようなこともありませんでした。
どうして脳内出血が起こったのかというと、背景に蓄積された疲労がありました。長時間のデスクワークにより、必要な大量のエネルギーが生み出されるのと同時に、活性酸素も大量に発生。全身のあらゆる細胞にダメージが及び、「目がしょぼしょぼする」「肩が凝る」といった症状が起こりました。
さらに、担当していた商品の販売が一気に好転。同時にA・Mさんは疲れが吹き飛ぶような充実感を覚え、さらに仕事にのめり込むようになりました。実は、意欲や充実感など高揚した気分には、疲労感が覆い隠されてしまう(マスクされる)そうです。
そうなるとさらなる異変が起こりました。自律神経のバランスが崩れてしまいました。自律神経には交感神経と副交感神経があります。体に「休め」という信号を出す副交感神経と、「働け」という信号を出す交感神経が、体のバランスをとっているわけです。
仕事が続き、交感神経優位の状態が続きました。結果、暑くもないのに汗をかき、さらに眠れるはずの時間でも、寝つきが悪くなってしまいました。さらに、絶え間なく届く疲労の信号に脳が慣れ、疲れを全く感じなくなってしまっていました。そこで疲労感がないのは、疲れていないことと勘違いしてしまいました。結果、疲労しているのにも関わらず、それを無視して休むことをあまりしませんでした。
結果、昇進の辞令を受け、興奮で血圧は急上昇。さらに、頭を下げて脳の血流がさらに増えたことで、ボロボロになっていた脳の毛細血管が破裂して、脳内出血を起こしてし、意識を失って倒れてしまいました。
このように、脳内出血では突発性の意識障害や、局所脳神経症状で発症します。神経症状としては、片麻痺や言語障害(失語症,構音障害)、眼症状(瞳孔変化,共同偏視,眼振)などがみられます。一方で、小脳出血などでは頭痛やめまい、嘔吐のみが現れることもあります。
さらに、高血圧の人が発症しやすく、日中の活動時などに発症が多いです。最も多い部位では、被殻出血で40〜60%、続いて視床出血20〜30%、脳葉、小脳、橋の出血が、それぞれ5〜10%程度であるといわれています。
診断としては、上記のような症状やCTによる血腫の確認がポイントとなります。発症後早期に行ったCTでは、高吸収域が存在するのが重要な所見となります。
さらに、緊急性には劣りますが(検査に時間が掛かる点で)、MRI検査では、CTでは確認できない小病変や動静脈奇形、血管腫の確認などができます。とくに、血腫周囲に脳浮腫が出現しはじめると、その広がりの描出に有効であるといわれています。
治療としては、一般的に脳圧降下薬(脳浮腫の除去)としてグリセオール、マンニトールなどが用いられ、止血薬(血管強化薬および抗プラスミン薬)が用いられることもあります。
外科的治療としては、大脳出血では被殻出血(外側型)の一部か、皮質下出血の一部、小脳出血の一部(血腫最大径が3〜4cm以上で脳幹圧迫が考えられるケース)では適応となるようです。
また、脳内出血では救命できても、片麻痺や言語障害などが問題となることがあります。そのため、積極的に早期からリハビリテーションを行う必要があります。
脳内出血による死亡者数は、1年間で100人以上となっているそうです。脳内出血を起こさないためにも、疲労感を感じにくい…そうした人は、しっかりと休むことを心がける必要があるのかも知れませんね。
【関連記事】
本当は怖い疲労 part1−心筋梗塞
本当は怖い家庭の医学 症例集