一般的には勃起不全の治療薬として知られるバイアグラ(シルデナフィル)ですが、血管拡張を促進する作用がある事から慢性心不全や肺高血圧症の治療のためにも使われることがあるそうです。

肺高血圧症は肺の動脈の血圧を上昇させ取り込む酸素を減少させるため、息切れを起こし、鼻血や目まい、胸の痛みも伴うそうです。

病院で治療を受けるOliver Sherwoodくんは、1錠分を1日4回に分けて投薬されています。

看護士もしている彼の母は、「高価な薬だけど、肺高血圧症の薬としては最も安い部類に入る」と述べています。しかし、成長するとバイアグラでは効果が得られなくなるため、費用のかかる処置を行わなければならなくなるとのこと。

イギリスでは毎年5人の子どもが肺高血圧症だと診断されますが、治療を行っても生存率は低くほぼ5年以内に命を落とすそうです。
(定期的にバイアグラを摂取しないと死んでしまう2歳の幼児)


肺高血圧症とは、肺動脈圧が上昇し、収縮期圧30mmHg、平均圧20mmHgを超えた場合を肺高血圧症としています。

原発性肺高血圧症の診断では、平均肺動脈圧25mmHg以上を診断基準として用いています。健常者では、安静臥位で平均肺動脈圧は15mmHgを超えず、加齢による上昇を考慮しても、20mmHg以上にはなりません。

分類としては、
原発性肺高血圧症
→原因不明で起こるもの
二次性肺高血圧
→左心不全や僧帽弁狭窄症、左-右シャントを伴う先天性心疾患、慢性閉塞性肺疾患など、原因が明らかなもの

このように大別できます。

つまり、他の心疾患や肺疾患を伴わないもの(原発性肺高血圧症)と、それら他の疾患を伴い、その疾患(基礎疾患となりうる心肺疾患)のために肺高血圧症を引き起こしたもの(二次性肺高血圧)とに分類できるわけです。

原発性肺高血圧症は、労作時の息切れで発見されることが多く、妊娠可能年齢の女性に好発します(平均年齢40.8歳であり、子供では性差はあまりないようですが、男女比は1:2.6となっています)。人口100万当たり年間およそ1〜2人の発症と考えられており、きわめて希な疾患です。

症状としては、労作時呼吸困難、易疲労感が多くに観察され、胸痛や失神などを訴えることも多いそうです。まれに、左肺動脈の拡大により左反回神経麻痺(反回神経は、声帯を閉じる神経)が生じ、嗄声(嗄れた声で、発声しづらい状態)を示す(オルトナー症候群といいます)こともあります。

ほかにも、頻脈や手足の冷感、チアノーゼなどに加え、右心不全を合併すると、下腿浮腫や肝腫大などの所見が認められてきます。

診断や治療としては、以下のようなものを行います。
肺高血圧症治療ガイドラインによると、症状所見から肺高血圧症が疑われる症例や、症状がなくとも肺高血圧症の高リスク症例に対しては、簡便で非侵襲的な検査方法から行っていきます。

たとえば、心電図や胸部X線、心エコー、血液ガス検査などがあり、心電図では肺高血圧症に伴い,右室肥大に伴った心電図変化が現れ、胸部X線では右心房、右心室の拡張に伴う心拡大がみられます。

心エコー・ドプラ法では、肺動脈圧の推定ができ、心エコーは非観血的に肺高血圧の有無を診断するのに有用であるとされています。血液ガス検査では、慢性的な低酸素血症を伴う場合には多血症や、最近では、肺動脈圧上昇に伴って、ANPやBNP、尿酸値の上昇などが報告されているそうです。

こうした検査でさらに肺高血圧症が疑われたら、胸部CTやMRI、肺換気血流シンチグラム、右心カテーテル検査、肺動脈造影などを行って精査します。胸部CTでは、右心房や右心室、肺動脈の拡張をみられ、造影剤を使用することで肺動脈内血栓や肺動脈病変の評価が可能となります。

こうした検査で肺高血圧の存在が確からしいと思われたときには、血行動態を評価する上で右心カテーテル検査が施行されます。右心カテーテル検査は、肺高血圧の確定診断法とも言えるかと思われますが、侵襲的検査であるため、繰り返して行うことは困難となります。

治療としては、一般療法として抗凝固薬(血栓形成を防止する)、利尿薬、酸素療法(組織低酸素血症の改善及び肺動脈への直接弛緩作用を期待して、長期酸素吸入が試みられている)などが行われます。

一方で、肺高血圧特異的薬物療法として、カルシウム拮抗剤の大量療法とプロスタグランジンI2(PGI2)の持続静注があります(ただ、循環動態モニター下での投与量調節が必要)。

バイアグラ(シルデナフィル)は、肺血管緊張度低下、運動耐容能や心拍出量、QOLを改善するために投与されます。現在の所は、国内では保険適用外の薬剤であり、少量投与から開始されていきます。基本的にCa拮抗薬やPGI2類似薬であるドルナーなどに反応しないものに対して、投与されています。

最近では一酸化窒素(NO)やPGI2のネブライザー投与といった経気道的肺血管拡張療法、肺移植も試みられ、治療成績の向上が期待されています。

まだ効果的な治療法が確立されたとは言い難い疾患であり、予後としても厳しいものがあると思われます。ですが、これからも治療を続け、元気に暮らせるように願いたいと思います。

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