うつが心臓組織の硬化を促進するというリポートが、先日米メリーランド州立大学医学部の研究者より発表された。

米紙「USAトゥデイ」は次のように伝えている。うつが冠状動脈性心臓病の患者の死亡率を高めることは明らかな証拠により知られていたが、うつが心臓を患った人にどのような影響を及ぼすのかについては、研究はあまりなされてこなかった。

メリーランド州立大学医学部の研究者が、成人880人を対象に行った研究によると、患者のうつが重症になるにつれて心臓組織の硬化が進むという。健康な心臓はゴムのように伸縮するが、組織の硬化、つまり線維化が見られると、心臓は硬くなり血液を送り出すことができなくなってしまう。

研究者は患者の血液中の心臓組織の硬化レベルを示すタンパク質を検査。さらに心臓の炎症を示すC反応性タンパク質についても検査を行った。C反応性タンパク質はうつと心臓組織の硬化との関連性を説明するカギだ。うつに陥った成人はC反応性タンパク質のレベルが高く、炎症も深刻だという。

心理学者のエミリー・クール氏は語る。「炎症はコラーゲンの生成を刺激する。そして多すぎるコラーゲンは、心臓組織の硬化をもたらす。うつの人にとっては悪いニュースだ。うつはコラーゲンを蓄積させ、心臓病をさらに深刻化させるからだ」。

またコロンビア大学の心臓血管病専門家、カリーナ・デビッドソン氏も、次のように述べている。

「うつと心臓の炎症、どちらが卵でどちらがニワトリか、判断することは難しい。うつが炎症を引き起こすように、炎症もまたうつを引き起こすことを、多くの研究が証明しているからだ」「いずれにせよ、うつは患者の死を早めるということは言える。うつの人は治療を受けず、運動もせず、禁煙も難しいからだ」
(うつが心臓病を悪化させる、米研究者が報告)


C反応性蛋白質(CRP)とは、代表的な急性相の反応蛋白質の1つです。もともと、肺炎球菌のC多糖体と結合する血漿蛋白として発見されました。施設ごとに異なりますが、多くは基準値0.3(〜0.6)mg/dL以下を採用しているようです(正常人の血漿中には0.1mg/dL未満含まれる)。

CRPは、病原微生物の侵入や、循環障害などによる細胞や組織の傷害・壊死、手術や外傷、免疫反応障害などで炎症が発症したとき、血中に速やかにかつ鋭敏に増加します。疾患特異性は乏しいですが(単に炎症の存在などを反映するだけで、どういった疾患かなどは分からない)、病気の活動性や重症度をよく反映します。

どうしてCRPが上昇するのかといえば、炎症が起こると体内で放出されたサイトカインと関連があります。

体内に侵入、または体内で生じた異物は、マクロファージに貪食されます。すると、活性化されたマクロファージはサイトカイン(インターロイキン1、インターロイキン6、TNF-αなど)を放出します。このサイトカインは、肝細胞に働きかけ(CRPをはじめとする急性相反応物質の生合成を司る遺伝子)、CRPの合成を促進させます。

CRPは発症後6時間後には増加し始め、回復後も速やかに正常化します。CRP値は赤沈値とよく相関しますが、CRPの方が赤沈より早く増加し、正常化も早い(より鋭敏)であると考えられています。

上記のように、冠動脈疾患のリスクの高い患者さんでは、高感度測定法でCRPの低濃度域を観測することによって、発症を予知することができるのではないか、ということがいわれています。

他にも、冠動脈が原因で起こる心臓病と血液検査の関連には、以下のようなものがあります。
狭心症の診断に、有用と考えられる生化学検査はあまりありませんが、不安定狭心症などでは、トロポニンTやI、あるいはCRPの測定値と予後が関連するので有用であるといわれています。

心筋梗塞時では、壊死に陥った心筋細胞から細胞成分が逸脱し、リンパ系を経て血液循環系に出現してきます。それらの成分のうち、一定時間濃度を血中に維持するものとして、逸脱酵素とその他の逸脱蛋白があります。

心筋梗塞の診断上では、正常上限値の2倍以上の増加を診断指標とすることが多いようです。一般的に、逸脱酵素の総量および最高値は心筋壊死量の指標となるので、この値が高いほど重症と考えます。

現在、臨床的に用いられる逸脱酵素はクレアチンキナーゼ(CK)、クレアチンホスホキナーゼ(CPK)、グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(GOT)、乳酸脱水素酵素(LDH)、αヒドロキシ酪酸脱水酵素(HBD)などがあります。中でも、心筋特異性の高いアイソザイムであるCK-MBやLDH1は診断的価値が高く、有用です。

血中に増加してから消失する速度は、CKが速く4〜8時間で出現し、12〜20時間でピークに達し、72〜96時間で正常化します。HBDとLDHは最も遅く、発症後約12時間で増加し、48〜96時間でピークに達し、10〜14日で徐々に正常域に戻ります。

酵素以外の心筋逸脱蛋白として、ミオグロビン、ミオシン軽鎖、トロポニンT、トロポニンIの測定法も開発されています。ミオグロビンは心筋特異性は低いですが、発症後1〜3時間と最も早期に上昇します。ミオシン軽鎖やトロポニンT、トロポニンIは心筋特異性が高いです。

こうした指標を元に、上記の研究もなされていることと思われます。ただ、CRPが本当に心疾患を反映しているのか、うつ病との関連性が本当にあるのかなどは、まだ不明であると思います。

ですが、メンタルヘルスと外傷の治癒の早さなどの関連が研究され始めているなど、今後は身体だけでなく、精神面でのサポートの重要であるといったことが、より強く言われるようになるのかも知れませんね。

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