フィギュアスケートの世界選手権第2日の女子ショートプログラムで8位だった前年覇者、安藤美姫(20)が20日のフリーを棄権する見通しとなった。今大会前のオランダ合宿中に左ふくらはぎを負傷していたことが発覚。午前中の公式練習前に痛みが出たため、来季以降を考えて、大事をとることを決めた。

日本チームの阿部鉄雄チームリーダーによると、ニコライ・モロゾフ・コーチから欠場の申し出があり、棄権の手続きを進めた。ところが、棄権を申請する書類への署名を安藤が拒み、本番直前の6分間練習で判断することになったという。

安藤はこの日、氷に乗って練習し始めたものの、ジャンプを跳ばず35分の練習時間を約10分で中止した。
(左脚に異常 美姫 フリー棄権も)


肉離れとは、急激に筋肉が収縮した結果、筋膜や筋線維の一部が損傷することを指します。具体的には、「走る、跳ぶ、蹴る」といった動作により、収縮した筋膜や筋線維に強制的な伸びる力が加わって生じる損傷であると言われています。

「筋挫傷」と同義語と言われることもありますが、直接外力が加わって断裂する場合=筋挫傷、強い張力が急に加わり断裂する場合=肉ばなれ、と区別しているようです。

筋挫傷はラグビー、アメリカンフットボールなどのコンタクトスポーツに多く、肉離れはハムストリング、腓腹筋などの二関節筋に生じることが多く、陸上やラグビー、テニス、バドミントンなどのスポーツで生じることが多いようです。

程度としては、一時的に引き伸ばされただけの損傷から、一部筋線維の断裂、さらには筋腱単位の部分断裂まであります。

捻挫(関節包や靭帯の軽度の損傷)や打撲、肉離れや骨折、靭帯損傷などは、スポーツによって急激に大きな力が働いて起こることが多いため、こうしたものをスポーツ外傷と呼ぶこともあります。

症状としては、痛みや腫れ、運動障害などがあります。肉離れの大半は下肢に起こることが多く、大腿四頭筋、ハムストリングス、腓腹筋などに多く発生します。損傷部の圧痛や腫脹、皮下出血などが主立ったもので、運動時痛(自動的に動かした場合や他動的に伸展する場合)も特徴的です。

こむら返りとの違いとしては、一過性・可逆的な筋の痙攣がこむら返りであり、肉離れは損傷(筋肉の部分断裂など)を起こし、すぐには治らない、といった違いがあります。

診断や治療法としては、以下のようなものがあります。
肉ばなれは、ダッシュや全力疾走などの動作中に急激に痛みが出現することが多いようです。こうした受傷機転(直接外力の有無、走っていて急に痛みが生じたなど)および圧痛部位で、ほぼ診断はつきますが、MRIや超音波検査で、その範囲や程度が客観的に判定できます。

MRI所見では、筋挫傷や肉ばなれの部位や範囲、血腫の有無などがわかります。超音波検査では出血、筋損傷の程度などがわかり、筋肉の動きもおよそ把握できます。

受傷早期には、出血や腫脹に対して局所を安静に保ち、冷却して必要に応じた鎮痛剤の投与を行います。肉離れが起こった後は、とにかく安静にすることが最も重要です。最初の2〜3日間はRICE処置(Rest:安静、Ice:冷却、Compression:圧迫、Elevation:挙上)といって、氷などでの冷却、副木やテーピング、ギプスなどで患部を固定するといったことも行います。

痛みに対しては、非ステロイド系抗炎症剤を使用することが多いようです。リハビリでは、損傷した筋線維の回復を促すために温熱療法を取り入れたり、ストレッチ、筋力強化訓練などを行うこともあります。

症状が軽減してくれば、温熱療法などの物理療法を行いながら、ストレッチングや筋力増強の運動療法を行います。疼痛が消失し、可動域が改善してくれば徐々にスポーツ活動に復帰させます。程度により経過は異なりますが、保存的治療で予後良好で、軽傷の場合2〜3週間でスポーツ復帰が可能となります。

また、肉ばなれの場合には再発を繰り返す場合があるため、予防が重要となります。今後のことを考えると、今はぐっと我慢なさって、治療に専念するほうがよろしいのではないか、と思われます。

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