群馬大生体調節研究所の原田彰宏教授(44)らの研究グループは20日、米国、台湾の大学との共同研究で、細胞がコレステロールを取り込む際に働く2つの遺伝子を発見したと発表した。研究成果は欧州学術専門誌「EMBO Journal」電子版に同日付で公開された。血中コレステロール量を調節する新薬開発などで活用できる可能性があるという。

血中の悪玉コレステロール(LDL)が増えすぎると、高脂血症や動脈硬化など生活習慣病の原因になる。このため、研究グループは、体長約1ミリの線虫という生物(線形動物)の細胞を使って、人間の細胞がLDLを取り込む構造の解明を進めた。

その結果、線虫と人間が共通して持っている遺伝子「RAB35」と「RME−4」を発見。細胞表面の「LDL受容体」というタンパク質がLDLをとらえ、細胞内に効率良くコレステロールを取り込み再利用することで、血中コレステロールを適切に保っていたことが分かった。

原田教授らは「血中コレステロールを下げる展望ができた」と話しており、今後、血中コレステロールを調節する研究などに役立てていきたいとしている。
(血中コレステロールを調節できる遺伝子発見 群大グループ)


高コレステロール血症とは、血中のコレステロール値が増加する状態を指します。空腹時の総コレステロール(TC)値が220mg/dL以上、LDLコレステロール(LDL-C)値が140mg/dL以上の場合を指します。

脂質であるコレステロールは、血液中ではトリグリセリドやリン脂質などの脂質やアポ蛋白とともにリポ蛋白粒子を形成しています。リポ蛋白には、カイロミクロン(CM)、VLDL(超低比重リポ蛋白)、IDL(中間比重リポ蛋白)、LDL(低比重リポ蛋白)、HDL(高比重リポ蛋白)が存在します。

LDLはいわゆる「悪玉コレステロール」、HDLは「善玉コレステロール」といわれ、LDLはその値が高いと問題となり、後者は少ないことが問題となります。現在、HDLはコレステロールの逆転送にかかわると考えられており、低HDL血症は粥状動脈硬化のリスクファクターの一つとされています。

総コレステロール値は、LDL、HDL、VLDL中のコレステリルエステルの総和となっています。つまり、総コレステロール値が基準範囲内であっても、LDLの値が高い(その際、HDLが少ない状態であるとも考えられる)、という状態も考えられ、注意が必要となります。

高コレステロール血症と疾患との関係性は、以下のようなものがあります。
高コレステロール血症は、それ単体では自覚症状を伴わいません。ですが、高HDL-C血症以外の高コレステロール血症は、虚血性心疾患や脳梗塞、閉塞性動脈硬化症といった動脈硬化性疾患の最も重要なリスクファクターであると考えられています。

そのため、これら疾患の予防または再発予防のために、高コレステロール血症の治療を行うことは非常に重要です。

ただ、治療開始前に、続発性高コレステロール血症かどうかの診断を行う必要があります。甲状腺機能低下症やネフローゼ症候群、クッシング症候群や糖尿病などでは、こうした疾患が原因で高コレステロール血症が起こされることがあります。

こうした続発性高コレステロール血症の場合には、まず原疾患の治療を行うことで脂質代謝異常が改善する場合が多いと考えられます。ただ、治療後も脂質代謝異常が残る症例では、脂質低下療法を行う必要があります。

治療法としては、食事療法、運動療法などによるライフスタイル改善が根幹にあります。カロリー制限・栄養素配分などに加え、1日3食の配分をほぼ均等にし、間食をしないなどの食生活の改善も重要です。

3〜6ヶ月観察しても管理基準に達しない場合には、薬物療法を開始します。ただ、動脈硬化性疾患を生じた症例や、LDL-C値が200mg/dLを超えておりライフスタイル改善のみではコントロール困難な症例では、早期から薬物療法を開始します。

薬物療法としては、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)、陰イオン交換樹脂、プロブコールのいずれか単独、あるいは適宜併用にてコントロールを図ります。ただ、高脂血症治療として、LDLコレステロール値が優位に上昇している場合はスタチン、中性脂肪値が優位に上昇している場合にはフィブラート系薬剤、あるいはニコチン酸誘導体を第1選択薬として用います。

こうした治療は、自覚症状がないことや、副作用の問題などもあり、長く続かないという患者さんもいらっしゃるのではないかと思われます。ですが、動脈硬化性疾患のリスクを下げたりする上では非常に重要な治療となります。

上記のように、より治療効果の高い方法が登場しても、患者さんに対する服薬指導は、変わらずに重要なことであると思われます。

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