20〜30歳代の若い女性に増えている子宮頸癌の治療指針を、日本婦人科腫瘍学会が初めてまとめた。子宮頸癌の治療では、米国では放射線治療が広く行われているが、日本では手術が中心。今回の指針でも手術を第一選択とし、放射線治療は「可能な選択肢」と位置づけた。これに対し、異論も出ている。

子宮癌には、子宮の入り口(頸部)にできる子宮頸癌と、奥の袋状の部分(体部)にできる子宮体癌がある。子宮頸癌は、がんの広がりにより、0〜4期に分かれる。最も早期の0期なら、がんの周囲だけを切り取り、子宮を温存する治療でほぼ100%治る。3期以上は通常、手術を行わない。

日米の治療が大きく異なるのは1b〜2b期。米国立がん研究所の指針では、1b〜2a期なら「放射線治療」か「手術」のどちらかを選ぶ。2b期なら手術を行わず、放射線と抗がん剤治療を組み合わせる。

一方、日本の指針は1b〜2b期のすべてで手術を推奨し、「放射線治療も可能」とした。米国では手術、放射線が同等の扱いなのに対し、日本では手術が第一、放射線は二番目の位置づけだ。日米とも「手術」なら、子宮と周囲の組織を切り取る。切除後に周囲のリンパ節に転移があれば、放射線を外からかける。

「放射線」は、小さな放射線源を入れた管を膣から入れ、内側からがん細胞をたたく「腔内照射」と、外からの放射線照射を組み合わせる。これに抗がん剤治療が加わることがある。

海外のデータでは、5年生存率は手術、放射線とも7〜8割で、治療成績は同じだ。手術を第一選択にした理由について、指針を作成した東北大婦人科教授の八重樫伸生さんは「厳密に比較したデータはないが、手術が普及している日本では、手術方法に工夫が積み重ねられ、欧米より手術成績が良いと多くの婦人科医が考えていることが理由の一つ」と説明する。

これに対し、東京大放射線科准教授の中川恵一さんは「十分な科学的根拠なしに、手術を第一選択にするのはおかしい」と反論する。中川さんらが東京大で過去13年間に放射線治療を受けた子宮頸癌1〜2期の患者の5年生存率を調べたところ、手術を受けた患者と変わらなかった。

治療後の後遺症も考える必要がある。子宮がんの手術後には、膀胱や直腸に続く神経が傷つき、排尿・排便障害や、リンパ液の流れが悪くなって足が腫れるリンパ浮腫が起きやすい。一方、放射線では、腸からの出血や腸閉塞などが起きることがある。

イタリアの臨床試験では、手術後に重い後遺症が出たのは28%だったのに対し、放射線では12%。ただ、放射線治療の後遺症は何年も後に出ることもある。放射線をかけると卵巣が機能しなくなるが、手術は場合によっては卵巣を残すことができる。

後遺症が最も出やすいのは、手術後に放射線をかけた時だ。がんが大きい場合は、手術後に放射線治療が必要になる可能性が高いので、事前に十分説明を受けたい。

栃木県立がんセンター婦人科医長の関口勲さんは「治療した印象では、患者さんへの負担が少ない」として、放射線治療を勧めることも多い。

ただ、日本では手術を勧める婦人科医が多いので、放射線治療医の意見を聞くことも重要だ。東京大では、放射線科が診察している。静岡県立静岡がんセンターでは、婦人科医と放射線科医から説明を聞き、患者が治療を選択する。
(子宮頸がん治療指針)


上記にもありますが、一般に子宮癌と呼ばれていものには、子宮頸癌と子宮体癌の2種類があります。

子宮は西洋梨を逆さにしたような形をしています。体部は球形に近いかたちをしており、胎児が存在する場所です。その下方に続く部分は細長く、その先は膣に突出しており、これを頸部といいます。この頸部にできる癌が子宮頸癌といいます。

好発年齢は40歳程度で発生率が高いとされています。年齢別にみた子宮頸部がんの罹患率は、20歳代後半から40歳前後まで増加した後横ばいになり、70歳代後半以降再び増加します。近年、罹患率、死亡率ともに若年層で増加傾向にあります。

組織学的には、扁平上皮癌が80〜90%と最も多くみられ、腺癌は5〜10%程度です。扁平上皮癌の発癌にヒトパピローマウイルス、特にハイリスク・タイプである16型、18型などの関与が示唆されています(子宮頸癌患者さんの90%以上からHPVが検出されるという)。

症状としては、浸潤前癌は無症状であり、細胞診による検診で発見されることが多いようです(子宮癌検診などで行われている細胞診などです)。初期浸潤癌となると、帯下や性器出血の症状を呈することがあります。典型的な不正出血は、性交後の点状出血として現れます。

腫瘍の発育が進むにつれ帯下の量は多くなり、膿性となってきます。また、性器出血は月経時以外に多量の出血としてみられることもあります。

さらに進行頸癌となると、痛みが生じることもあります。進行して膀胱や直腸に達した場合、頻尿や尿意切迫、血尿、便意切迫、直腸出血などそれに関連した症状が出現してきます。大きな腫瘍や、尿管閉塞による腰仙部神経の圧迫や腰仙部神経根への癌浸潤がみられれると、腰痛や下肢痛が現れることがあります。

診断や治療としては、以下のようなことを行います。
子宮頸癌の診断の基本としては、視触診と組織診があります。

視触診には内診があり、コルポスコープ(一種の拡大鏡で、子宮頸部を拡大して観察する道具)による詳細な子宮頸部の観察と、異常部位を狙った、狙い組織診が必須となります。

細胞診はスクリーニングだけでなく、病巣の診断にも欠かせない重要な手段となっています。中には、細胞診でのみ病巣が把握されることもあります。細胞診に異常が認められた場合には、コルポスコピーを行い、狙い組織診を実施することになります。場合によって(確診できない微小浸潤の有無など)は、円錐切除術が行われることもあります。

病理組織学的に確定診断をつけ、内診や全身理学的所見(特に鼠径、頸部リンパ節腫大の有無)、膀胱鏡、直腸鏡、画像診断や腫瘍マーカーなどの補助診断法を参考にしながら病巣の進展程度、占拠部位を把握して臨床進行期を決定します。

進行期決定には、子宮頸癌取り扱い規約やFIGO(International Federation of Gynecology and Obstetrics)分類があります。それに基づいた標準治療法を選択します。

上記にあるように、頸癌は手術療法と放射線療法がともに有効であり、その成績はおよそ同じであると言ってもよいと考えられます。それぞれに短所長所があり、状況によってどちらを選択するか選びます(ただし、手術適応は挟まで)。

欧米では放射線の適応率が高いですが、日本では重篤合併症や高齢者の場合を除き、手術が多い傾向にあります。放射線治療の大きな利点としては、手術のように開腹することがなく治療が行え、形態や機能を温存しながら治療できるという点があると思われます。

一方、急性期に起こる悪心(放射線宿酔)、下痢、膀胱炎、皮膚炎(特に下方に延長した照射野をとった場合の会陰部)、白血球減少などが副作用として起こる可能性があります。晩発性(grade3以上の頻度)の合併症としても、直腸炎(5〜10%)、膀胱炎(5%以下)、小腸障害(5%以下)などがあります。

こうした副作用もしっかりと念頭に置きながら、治療法を選択なさることが望まれます。

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