あのKONISHIKIが100キロ減量!? その魅惑の減量法は、手術で胃を小さくしてしまうこと。胃を小袋に分けて小腸につなぐ「腹腔鏡下ルーワイ胃バイパス術」という手術で、一般的には「ガストリック(胃)バイパス手術」と呼ばれる。術後は少量の食事で満腹感を得ることができるので、今までどんなダイエット法を試しても痩せられなかった人でも必ず痩せられるという。アメリカでは年間15万人以上が受けているそうだ。

もっともこの手術は痩せたいからといって誰でも受けられるわけではない。日本で受けられるのは「病的肥満」の人のみ。「病的肥満」とは、BMI[=体重(Kg)÷身長(m)÷身長(m)]が32以上で糖尿病またはそれ以外の2つの合併症を持つ人か、あるいはBMIが37以上の人を差す。治療費はおよそ230万円。

KONISHIKIの現役時代の体重は、最高285キロ。引退後はますます太ってしまい、07年1月時点では300キロあったという。それだけ食べる量もハンパなかったようだが、術後は、テキーラショットグラス3つ分の食べ物でもうお腹いっぱい。今まで1リットルも2リットルも飲んでいた水も、500ミリリットルで精いっぱいになったそうだ。日本に帰国する6月までに200キロを目標にしているという。実に100キロの減量である。

KONISHIKIは順調な経過を辿っているが、やはり手術は手術。術後に合併症を起こすケースや、死亡するケースも0.5〜1%ほどあると言われている。しかし、一方では手術を受けなかった場合、5年後の死亡率は6.17%、受けた場合は0.68%だったというデータもある。つまり、手術が失敗する確率よりも肥満が原因の合併症で死ぬ危険性が高い人が受けるべき手術ということのようだ。

減量のための手術は、このガストリックバイパス手術のほかに、胃にバンドを巻いて締め付ける「腹腔鏡下胃緊縛法(ラップバンド)」、胃の大半を切り取る「腹腔鏡下袖状胃切除術」などがある。アメリカでは大人だけでなく子どもの肥満問題が深刻化しており、子どもにこうした手術を受けさせる親もいるとか。
(KONISHIKIの100キロ減量を可能にする痩せ手術とは?)


胃バイパス手術とは、胃の上部を水平に遮断し小腸と縫合する方法です。胃潰瘍で部分的な胃切除術を受けた患者さんは、体重減少する、という事実に基づいた手術です。

胃を強制的に縮小し、食事摂取量を少なくさせる方法、ということができると思われます。胃の入り口のほうに小さな胃の小袋(胃嚢といい、15ml〜30mlの袋)を作り、ここに十二指腸を繋ぎます。消化液を分泌している残りの胃(幽門側)は、小腸に繋いでいます。

胃バイパス術が行われ始めた当初は、ループバイパス術(Billroth 極,砲茲觝瞳)が行われていました。Billroth(ビルロート)胃切除術は、胃癌患者に対し幽門側胃切除を行い、再建法として残胃切離端と十二指腸の端々吻合させたことに始まっています。

ちなみに、
ビルロート桔:残胃切離端と十二指腸の端々吻合を行うもの
ビルロート極:胃癌幽門狭窄症の患者に対し、幽門側胃切除後に、結腸前を挙上した空腸と残胃を吻合する再建法

という違いがあります。簡単に言えば、残った胃袋(残胃)と十二指腸を直接つなぎ合わせるものがビルロート桔,任△蝓⊇銃鷸慊加巴爾鯤頂燭掘∋聴澆閥腸を吻合するのがビルロート極,任后8什澆任蓮⊃堯垢硫良や変法が考案されています。

現在では、胃癌に対する手術において、食物の生理的な通過や膵液や胆汁の生理的な排出、十二指腸や上部空腸の吸収能を考慮して、ビルロート桔,用いられることが多いです。

ですが、残胃が小さい場合や吻合部再発が心配される場合などはビルロート極,用いられることもあります。ところが、ビルロート極,任亘ス臧堊瓦多かったり、胆汁の胃内逆流と残胃癌リスクが高いため、このような場合にはルー・Y(Roux-en-Y)再建が選択されるようになっています。

こうした経過があり、上記のように胃バイパス手術を行う場合にも、現在ではルーワイ再建が一般的になり、さらに小さな胃嚢を作ることで、胆汁が胃上部は食道に逆流しないようにしました。

ルー・Y吻合は、「十二指腸断端を閉鎖し、残胃と空腸を吻合する」という点ではビルロート極,汎瑛佑任垢、空腸を(途中で)切断して持ち上げて胃とつないでいる点で異なります(を見た方が早いですね)。ちなみに、「ルー」は人名であり、吻合部がY字型をなすことからRoux-en-Y吻合と名付けられました。

腹腔鏡下ルーワイ胃バイパス手術の場合、胃を切除してしまうのではなく、胃の上部で小袋を作り、空腸とバイパスします。その後、残りの部分をその空腸の途中で接続します(これも、を見た方が早い)。

こうした手術で起こる変化としては、以下のようなものがあります。
いままでは空腹時で50mlあったものが、およそ1/3程度になってしまうので、強制的に「少量で満腹」になるようにするわけです。たくさん食べると吐いてしまったり、気持ち悪くなったりします。

もちろん、しっかりとした栄養管理も必要で、無理して食べ過ぎると小袋の部分が伸びてしまい、意味を成さない患者さんもいらっしゃるようです。ダラダラとお菓子を食べ続けたり、高いカロリーの飲み物を飲み続けたりするとことで、手術をした甲斐なく減量に失敗してしまう人もいらっしゃるようです。

また、胃切除後では、当然、その生理的機能が手術により損なわれるため、機能障害や代謝障害が出現することも少なくありません。たとえば、鉄やカルシウム、ビタミンの欠乏がおこる可能性があります。

消化液(膵液、胆汁、胃液など)の食道への逆流も起こる可能性があり、そのため、食後の上体挙上や就寝前2時間は食事をとらない、就寝時は枕1つ分くらい頭部を高くした状態にして物理的に逆流を防ぐ、などの工夫が必要となることもあります。

さらに、ダンピング症候群とよばれるものがあります。食後20−30分以内に冷汗、動悸、めまい、熱感、顔面紅潮などの全身症状と、腹鳴、腹痛、下痢、腹部膨満など腹部症状が4〜5分持続する早期の症状と、食後2〜3時間後に低血糖症状を伴う後期の症状に分けられます。

前者の早期症状は、食物の急激な小腸移行による循環血液量の減少と、上部空腸拡張および蠕動亢進が原因となります。後者の後期症状は、急激に吸収されたブドウ糖による高血糖に伴いインスリン分泌が亢進し、低血糖や低カリウム血症を起こすことが原因です。

この手術は、「どうしても食べることが止められない」といった病的な肥満(BMI32以上で糖尿病の合併がある、もしくはBMI37以上とアジア太平洋肥満外科会議で規定されているそうです)の患者さんに対して適応となる手術と考えるべきでしょう。安易な気持ちで、「手術を受ければ痩せられる」とは思うべきでないように思います。

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