世界保健機構(WHO)国際ガン研究機関(IARC)は先ごろ、「美容師はほかの人たちと比べ、ガンにかかるリスクが高い」とする研究報告を発表した。彼らは仕事で、染料や発ガン性物質を含む化学物質に頻繁に接しているからだ。

IARCはホームページ上で、関連する研究報告を発表している。AFPは26日、この報告を引用し、「美容師は日常業務の中で発ガン性物質に接する機会が多い」と報じている。

IARCの研究者は、ガン発生率に関する複数の研究結果を検証後、男性美容師は膀胱ガンの発生率がほかの人に比べ20-60%高く、女性美容師では卵巣ガンやリンパ腫の発生率がほかの人よりも高いことを発見した。もちろん、こうした研究を否定する論文もある。

美容師の肺ガン発生率もほかの人に比べ30%高いとされているが、これは美容師にタバコを吸う人が多いことと関係があるのではないかと考えられている。
(「美容師のガン発生率は他の人より高い」WHOが指摘)


膀胱癌とは、膀胱の粘膜から発生する癌であり、90%以上は移行上皮癌です(ほかに、扁平上皮癌、腺癌もみられる)。尿路系の癌(腎盂、尿管、膀胱)の中で、膀胱癌が最も死亡数が多く、7割以上を占めています。

人口10万人に対する年齢調整死亡率は男性3.8人、女性1.0人で、男性に多く、女性では減少傾向にあります。罹患率は男性6.8人、女性1.7人程度であるとのことです。男女とも60歳代以降に発生しやすいという特徴があります。

症状としては、(無症候性肉眼的)血尿がみられます。また、感染を合併し、膀胱刺激症状を訴えることもあります。上皮内癌では頻尿、残尿感などの不定愁訴がみられることもあります。腫瘍の浸潤や上部尿路癌の併発があると、水腎症が生じ、側腹部痛をきたすこともあります。

膀胱癌は、化学物質や喫煙などが危険因子となります。古くからベンジジン(染料原料)などの化学物質による発癌が知られています。中でも、アニリン系染料、ベンジジン、2-ナフチルアミン、4-アミノビフェニル、4-ニトロビフェニル、2-アミノ-1-ナフトールなどを製造あるいは使用する産業の従事者に発生する膀胱癌のことを、職業性膀胱癌といいます。

患者さんは、ほとんどが男性であり、曝露後長期の潜伏期間を経て発症することが多いといわれています。ほとんどの発癌物質は、芳香族アミンです。

現在では、製造も使用も禁止されていることが多く、なおかつこうした措置がとられて、20年以上経過しているため、新たな発症は少なくなったと言われています。ただ、どのような染色液を使うか、長期間使用している場合はどうなのか、といったことで状況は変わると思われます。

上記ニュースと関連のある記事でも、暴露期間や時期との強い関連性を示すものはあまり見当たらないとした上で、発ガン性の可能性を指摘しているようです。

診断や治療としては、以下のようなことが行われます。
尿細胞診では、自排尿または膀胱洗浄尿で検査します。ただ、悪性度の低い癌では陰性も多いです(また、小さな乳頭状の癌では、尿細胞診で癌細胞と断定できないことがある)。経腹的超音波断層法では、尿をためた状態で検査すると、膀胱内に突出する腫瘍を認めます。

膀胱鏡検査も行われ、表在癌は乳頭状有茎性、浸潤癌は非乳頭状広基性といった所見が見られます。膀胱鏡で診断することが多いようですが、組織を含めた確定診断は、膀胱鏡下生検で行います。

膀胱癌が見つかった場合、他のがんと同様に、CTや胸部X線撮影、腹部のエコーなどの画像診断(特に、骨盤部造影CT、経尿道的超音波断層法、骨盤部MRIなど)で、その拡がりと転移の有無を調べる必要があります。

治療としては、表在癌であるならば、経尿道的内視鏡下腫瘍切除術(TUR-BT)を行います。TUR-BTとは、膀胱内に特殊な膀胱鏡を入れ、内視鏡で確認しながら電気メスで癌組織を切除する方法です。再発予防に抗癌剤やBCGの膀胱内注入療法を行うこともあります。

浸潤癌では、膀胱全摘除術および尿路変向術を行います。男性では前立腺・精嚢合併切除、女性では腟前壁・子宮合併切除を行います。尿路変向には回腸導管のほかに、腸管を用いて代用膀胱がつくられ、術前と同様の自力排尿も可能となることがあります。他にも、放射線療法や化学療法(M-VAC療法)が行われることがあります。

はっきりとした関連性がある、とは現時点では言えませんが、できるだけ染料に触れることを避けたり、その原料をしっかりと把握した上で使用したりすることが重要なのではないか、と思われます(もちろん、禁煙も心がけましょう)。

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