ハメを外しすぎた友人が、ベロンベロンに酔っぱらって倒れちゃった! 呼びかけてみても反応はなし。ちょっとこれってやばいんじゃ…。こんな時、一体どうすればいいの? 東京消防庁救急救命士の前田貞樹さん、助けて〜!

「『息はあるけど反応がない!』という場合は、“回復体位”という姿勢をとらせてください。仰向けのままで放置してしまうと、舌が喉に落ち込んで息ができなくなったり、吐いた物が喉に詰まって窒息する危険があるんです。このため、体を横向きにして、頭を反らせて空気の通り道を確保し、嘔吐しても吐しゃ物が自然に外に流れ出るようにします。姿勢を安定させるために、上の足のひざを曲げて、腹部に引き寄せておくのがポイントです」

仰向けのまま寝てる人ってよく見かけるけど、これってNGだったんですね。…って、おえぇ〜!この人、寝ながら吐いちゃってますけど…、どうしましょう?

「吐いてしまった場合は、口の中に残っている吐しゃ物が逆流しないように、ハンカチなどを使って外にかき出してあげましょう。コンビニの袋を手袋代わりにすれば、吐しゃ物に直接触れることも避けられますよ。また屋外の場合は、体が冷えないように毛布をかけるなどして保温することも大切です。酔いつぶれてしまった人を放置せず、誰かがちゃんと付き添って、目を離さないようにしてください。少しでも普通じゃないと思ったら、すぐに救急車を呼びましょう」

はい。吐しゃ物の処理も、人の命を考えればヘッチャラです(涙)。今後、急性アルコール中毒にならないために、注意するべきことってありますか?

「無理して飲み過ぎないように、自分の飲める量をちゃんと把握しておくことが大切です。また、空腹の時はお酒がまわりやすいので注意が必要ですよ。当然ですが、飲酒の無理じいや一気飲みは大変危険ですので、絶対にやめてくださいね」

周囲に惑わされず、自分の飲酒量をしっかりコントロールするのも大人のマナー。楽しい飲み会が一転して病院送りに…なんてことにならないように、適度な飲酒で楽しいお花見を!
(急性アルコール中毒で倒れた人への的確な応急処置を知りたい!)


急性アルコール中毒は、アルコール飲料を短時間に多量に摂取することにより生じます。

最近は注意喚起がなされていますが、典型的な例としては、「いっき飲み」によるものであり、死亡例も決して少なくありません。年末年始などの宴会シーズンになると、急性アルコール中毒による救急車の出動件数は脳血管障害や心疾患などと並んで上位にランクされます。

アルコールは、中枢神経、特に大脳に対する抑制麻酔作用を持ちます。この麻酔作用により、酩酊という状態が出現して、日頃の抑制された部分の「解放」がみられるわけです。ただ、その程度が強いと、中毒症状を呈します。また、エタノールには末梢血管の拡張作用もあり、血圧の低下、体温の下降をもたらします。

多くは特別な処置なく回復する場合が多いですが、意識障害の強い場合には注意を要します。個人差はありますが、血中アルコール濃度が100mg/100ml以上となると多弁や多幸感、頻脈などの症状が現れてきます(一般的に、血中濃度50mg/100ml以下では無症状であるといわれています)。

250mg/100mlを越えてくると鎮静や睡眠状態となり、300mg/100mlを越えると昏迷状態に陥ってきます。600mg/100mlを越えると、死亡してもおかしくはない状態となります(450mg/100mL以上になると、脳幹部麻痺により呼吸抑制が起こり死に至る危険性が高まる)。

診断や治療は以下のように行います。
軽度の酩酊状態にある場合、問診やアルコール臭などで容易です。アルコール徴候として、アルコール臭、顔面紅潮、振戦(ふるえ)、斑状出血などがあります。

ただ、昏迷や昏睡状態にあるときの診断に際しては、他の意識障害をきたす疾患の合併が起こっている可能性があります。たとえば、頭部外傷や脳血管障害、頭蓋内出血などがないか、低血糖、糖尿病性昏睡、肝性昏睡、電解質異常などの存在を考えます。ほかにも、併用服用された薬物などによる中毒の可能性もあります。

そのため、外傷や内科疾患の合併がないかを検索しつつ、経過観察します。アルコール濃度測定、血清電解質(Na,K,Cl,Mgなど)検査、低血糖を除外することも重要です。

軽度の酪酊状態では、特に治療を必要としません。脱水や低血圧、低血糖、アシドーシス、電解質異常に対して、輸液や投薬を行うなどの対処療法が主だったものになります。

興奮状態が強かったり、頭痛や嘔吐、意識障害などをきたしている患者さんに対しては、静脈路の確保とともにやや多めの輸液(糖液や電解質液)を肝保護薬、ビタミン剤などとともに行います。

泥酔による意識混濁や昏睡の患者さんには、適切な呼吸管理を行ったうえで、大量の微温湯により胃洗浄を行い下剤を投与することもあります。誤嚥防止と、嘔気対策のため経鼻胃管はそのまま留置します。アルコール代謝の補酵素であるビタミンB1や尿排泄促進のため、少量のドパミンを投与することもあります。

やはり節度を持って楽しむ、ということが重要であり、病院のお世話にならないようにしたいものですね。

【関連記事】
生活の中の医学

脳死宣告され、臓器提供の間際で意識回復した男性