複数の病院が連携して安全な出産を図るため、周産期医療の課題を考える研修会が29日、大阪府医師会館(大阪市)で開かれた。広域連携に取り組む近畿の医師と助産師らが、医師不足に苦しむ実態や取り組みを報告した。

奈良県では昨年8月、妊婦が医療機関に救急搬送の受け入れを10回以上断られて死産し、産科医療施設の減少などが社会問題化。このため、大阪府医師会が各地の取り組みなどの情報交換ができるよう研修会を開催した。

大阪府母子保健総合医療センターの末原則幸副院長は、妊婦の重症度や緊急度を的確に判断し、緊急搬送の病院探しを行う緊急搬送コーディネーターを設置したことを報告。

また、和歌山県立医科大総合周産期母子医療センターの南佐和子講師が、正常分娩の受け入れ可能な診療所の情報の集約化や、住民の理解を深めるための広報活動などを紹介した。

各地域とも、早産や多胎などリスクの高い妊婦の増加や医師の不足など問題は共通しており、「問題解決のためには現場レベルでは限界がある。集約化など進めるには行政の強いリーダーシップも求めたい」という声も多くあった。
(広域連携で周産期医療を守れ)


周産期とは、妊娠28週以降から生後7日(出生当日を第1日とする)までを指します。ですが、特に発展途上国などでは妊娠週数が曖昧な妊婦の多い国もあり、国際間の周産期統計を比較する場合には、「出生体重が1,000 g以上(28週以降に相当)の児」を対象とするよう、1975年にWHOは提案しています。

どうして、このような「周産期」という概念が必要となるかというと、この妊娠後期(妊娠28週以降)〜新生児期早期(とくに生後7日あたり)は、胎児死亡や新生児死亡の原因と深くかかわりをもつ時期だからです。この時期に胎児・新生児、母体を総合的に管理することは、母子衛生において、重要です。

妊娠22週以降の死産と、生後7日未満の早期新生児死亡を併せたものを、周産期死亡といいます。胎児および新生児死亡の原因には共通性があるため、その地域の衛生水準を示すよい指標となるといわれています。

1966年以降の減少が著しく、周産期死亡数は、平成18年で5,100、周産期死亡率(1年間の出産数1,000に対する年間の周産期死亡率)は、3.3となっています。欧米各国と比較しても日本の周産期死亡率は低く、世界最低の周産期死亡率を維持しているといわれています。つまり、国内の周産期医療システムは非常に高いレベルにあると考えられます。

2003年度の周産期死亡の死因では、周産期に発生した主要病態が原因であるものが83.4%を占めており、その中の67%は「母体側要因ならびに妊娠および分娩の合併症による影響」が原因です。たとえば、妊娠高血圧症候群、骨盤位を含む胎位異常、胎盤早期剥離、その他の妊娠合併症などが考えられます。次いで、15%が先天異常による死亡となっています。

こうした問題に対し、主として分娩周辺期の母子(母体,胎児,新生児)を対象とした救急医療、高度医療を行う施設を周産期母子医療センターと言います。具体的には、以下のような業務が行われています。
周産期母子医療センターには、総合周産期母子医療センターおよび地域周産期母子医療センターがあります。総合周産期母子医療センターでは、

・6床以上の「母体・胎児集中治療管理室(MFICU)」を含む産科病棟に加え、
・9床以上の「新生児集中治療管理室(NICU)」を含む新生児病棟を含む新生児病棟を備える。
・24時間体制で産科医2人、小児科医1人以上
・地域の周産期医療関係者の研修体制整備

などが条件となっています。地域周産期母子医療センターも、総合周産期母子医療センターに近い設備やマンパワーを持っています。

施設の機能としては、
母体、胎児特殊治療施設
母体・胎児集中治療室(MFICU)、集中管理分娩・手術室、産褥集中治療室からなる。
新生児特殊治療施設
新生児集中治療室NICU、強化治療室、回復期治療室からなる。
そのほかの部門

などから構成されています。こうした施設により、合併症妊娠、重症妊娠高血圧症候群、切迫早産、胎児異常などに対応できるようになっています。

ただ、いまだに未整備の県があることや、2005年度に妊産婦の搬送受け入れができなかった経験がある施設が、約7割にのぼることが、厚生労働省の調査で判明している(42施設のうち、31施設である73.8%)ことなど、慢性的な満床状態で非常に厳しい状況にあるようです。

やはり他施設との連携を密にし、妊婦の重症度や緊急度を的確に判断し、緊急搬送の病院探しを行う緊急搬送コーディネーター制度の導入などが必要になると思われます。

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