お笑いタレントの出川哲朗(44)が、30日のTBS系生番組「アッコにおまかせ!」に出演し、31日に入院、4月1日に椎間板ヘルニアの手術を受けることを明らかにした。番組冒頭から登場した出川は「明日入院します」と和田にあいさつ。夫人からは「手術とか難しいことよく分かんな〜い」と言われているそうで、「あんまり僕に興味ないみたいです」としょんぼり。

「普段は杖ついてるもん」と和田が心配そうに話すと、出川は腰に手を当てながら「全然ピンピンしてます」と強がってみせた。入院期間は1週間程度で、和田の誕生日に当たる4月10日ごろに仕事復帰の予定。
(出川哲朗が4月1日に椎間板ヘルニアの手術)


椎間板は、隣接する脊椎の椎体と椎体の間にあるものです。円盤状をしており、周辺部の線維軟骨性の線維輪と、中央部のゼリー状構造の髄核からなっています。

機能としては、脊柱において、椎体と椎体の間のクッションとして働いたり、椎体の運動の支点の役割をしています。

椎間板ヘルニアとは、この椎間板に異常な外力が加わり、線維輪を破って中心の髄核が流れ出ることによって生じます。結果、脱出した椎体の部分が神経根を圧迫して、腰痛や坐骨神経痛(下肢痛)を生じます。

20〜40歳台の男性(スポーツ活動なども激しくなる、思春期頃から罹患者が増加する)に多いといわれています。一般的には、寛解と増悪を繰り返すようです。一般に中腰での労働、重量物の挙上、くしゃみなどを誘因として発症することが多いですが、何ら誘因のない場合もあります。

椎間板ヘルニアは、頚椎、胸椎、腰椎のどこにでも発生する可能性があります。ですが、特に後縦靱帯、脊椎骨の構造の差から、頸椎より腰椎に生じやすく、胸椎にはまれなものであるといわれています。

特に、L4/5間(第4腰椎と第5腰椎の間)、L5/S間(第5腰椎と仙椎の間)のヘルニアがほとんどを占めます。したがって、神経根としてはL5(第5腰椎)、S1(第1仙椎)の障害が最も多く、膝以下から足部の疼痛、知覚障害や筋力低下などが主立った症状となります。末梢神経では、S1を主とする坐骨神経、深腓骨神経、浅腓骨神経、脛骨神経などに添った疼痛があり、坐骨神経痛などがよく起こるようです。

診断や治療に関しては、以下のように行います。
診断にあたっては、神経学的所見や疼痛部位と、単純腰椎X線、MRIなどによるヘルニアの高位と横断位が一致した場合に、診断が確定されます。

神経学的所見では、上記のような症状(膝以下から足部の疼痛、知覚障害や筋力低下などや、末梢神経の障害による疼痛など)があるかどうか、ラゼーグテストLasegue testやSLR(straight leg raising)testが陽性であるかどうかなどが重要です。

Lasegueテストとは、伸脚挙上テストとも呼ばれ、あおむけで股関節と膝関節を90°になるようにし(脚を上げて、膝を曲げている状態)、その肢位から膝関節を伸ばしていく手技です。これで痛みがあれば、Lasegue徴候陽性です。

SLRテストとは、坐骨神経伸展テストとも呼ばれます。膝関節を伸ばした状態で脚を上げ、殿部から下肢後面に痛みが誘発あるいは増強される場合を陽性とします。

単純腰椎X線写真では、腰椎椎間腔の狭小化の有無、側面像で正常前彎が保たれているか否かなどをみます。MRIでは、突出した椎間板を確認するうえで有用です。椎間孔外ヘルニアが稀にあるため、脊柱管外側の所見にも注意を払う必要があります。その他、脊髄造影(手術時や多発ヘルニア例の責任高位確認のために行う)、選択的神経根造影(責任病巣の同定が困難な場合の、確定診断および治療として有用)などを用いることもあります。

治療としては、まずは保存的療法が原則となります。というのも、椎間板ヘルニアは自然消退することがあり、ヘルニア塊の大きいものや遊離脱出したもので吸収される割合が高いからです。

非ステロイド性消炎鎮痛薬と筋緊張弛緩薬の併用は、椎間板ヘルニア症例を含む腰痛症例に有効であるといわれ、硬膜外ステロイド注入は疼痛軽減に有効です。他にも、理学療法(マニピュレーション)、物理療法(牽引,温熱療法など)、装具療法などが行われることもあります。

手術は、馬尾症候群(膀胱直腸障害)といって、排尿障害などを呈する場合は、予後の観点からできるだけ早くに手術を施行することが必要となります(絶対的適応)。ほかにも、痛みや神経障害の程度、期間、日常生活における困難の度合いに応じ、十分な説明のうえ患者と相談して、手術するかどうかを決定します(相対的適応)。

手術としては、片側の椎弓や椎間関節内側部を部分切除によって開窓し、神経組織をよけてヘルニア腫瘤を摘出するLove変法が一般的であるといわれています。ヘルニア腫瘤のみを摘出するヘルニア摘出術、母髄核の一部を含めて摘出する髄核摘出術などがありますが、手術成績にはあまり違いはないようです。

手術後は、1〜3日後に軟性コルセットを装着して離床させることが多いようです。7日目から腹・背筋力の協調運動をはじめ、10〜14日で退院となります。術後1ヶ月の間はコルセットを装着して過ごしてもらいます(スポーツ活動は2ヶ月以降)。

バラエティ番組などで体を張ることが多いため、もはや職業病ともいえるかもしれませんね。手術後はしっかりと休み、再び活躍していただきたいと思われます。

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